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【空き家税】「知らない」人が66.2%、半数以上が「反対」、その理由は?

2023年06月20日 12:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
不動産メディア「幸せおうち計画」を運営するAZWAYは4月12日~21日、10代から60代以上までの男女500人を対象に「空き家税に賛成か反対か」について、インターネットによるアンケートを実施した。



高齢化が進んだ日本では2030年には空き家が430万戸になると言われており、京都市では対策として「空き家税」の導入が決定している。2026年以降に施行される予定だが、中には「今後自分の地域でも空き家が導入されたらどうしよう」と不安に思っている人もいるのではないか。



そんななか実施した今回の調査。どんな結果が得られただろうか。有効回答数は500人(女性 289人/男性 211人)。回答者の年齢は、10代0.2%、20代12.2%、30代34%、40代34%、50代15.2%、60代以上4.4%。


10代から60代以上までの男女500人に「空き家が20年間で2倍近くに増加しており、2030年には430万戸になると予測された問題を知っているか」と聞いたところ、「はい」と答えた人は316人で全体の63.2%だった。



「いいえ」は全体の36.8%で、今後ますます高齢化が進む社会において、空き家が問題になっていることを認知している人が多いことがわかる。


また、「もし自分が空き家を相続した場合、どのように対処するか」と聞いたところ、1位が「売る(273人)」、2位が「自分で住む(98人)」、3位が「貸す(77人)」という結果になった。



空き家を相続した場合、半数以上の人が「売る」ことを念頭に置いていることがわかった。一方「放置する」を選んだ人も28人おり、「誰も住む人がおらず売れる可能性も低いためどうすればわからない」という 意見がみられた。


続いて「京都市が全国で初めて導入を決めた空き家税について知っているか」と聞いたところ、「はい」は79人、「いいえ」は331人、「聞いたことはある」は90人という結果に。


空き家税を知らない人は全体の66.2%で、「聞いたことはある」という程度の人も含めると84.2%に上る人がよく知らないという結果になっている。



また、京都市が導入する空き家税(固定資産税とは別に~0.7%の税金を加算する)について知ってもらった上で「空き家税に賛成か反対か」聞いたところ、賛成が243人、反対が257人となった。



賛成の人からは「明らかに住めないような家には税金をかけるなど限定的なら賛成」「放置される空き家が減るなら良い」「動く人も増えるはず」などの意見が寄せられていた。



また賛成した人は、先ほどの空き家を相続した場合の対応で「売る」と答えた人の割合が多くなっており、売るのに困っていない人に「賛成」が多いことがわかる。



一方反対の人からは「売ったり貸したりできない事情がある場合もある」「個人の所有物に対し税金をかけすぎ」「固定資産税で十分」という意見が挙がっていた。全体的に空き家を相続した場合に、売ったり貸したりできず実際に困る可能性のある人が「反対」を選んでいることがわかる。

○■<賛成の理由>



・限定的に賛成です。人が住めるような状態であれば税金をとる必要はないと思います。ただ、明らかに人が住めないような家には税金をかけても良いと思います。(40代男性)

・税金がかかることにより、放置される空き家が減るかもしれないため。また、空き家が減らなかったとしても税収が増えるという利点があるため。(40代女性)

・税金が課されるとなると、空き家の所有者は空き家を放置せずに適切に管理する方向に動くと思われるから。(50代女性)

賛成の理由としては、「人が住めない家には税金をかけても良い」「放置される家が減る可能性がある」「適切に管理する人が増えそう」といったものが挙げられていた。税金を課すことでプレッシャーとなり、行動する人が増えることを望んでいることがわかる。

○■<反対の理由>



・そもそも住む人がいないし、売ったり貸したりできなくて、空き家になってるのに空き家税は、ひどいと思う。(30代男性)

・個人の所有物に対して何でもかんでも税金掛けすぎ。(40代男性)

・空き家が発生する理由というのには、各人でいろんなケースがあると思う。ただの怠慢によるものであれば罰則的な意味も込めて空き家税を課すこともありかもしれないが、そうでないならば通常の固定資産税の枠内での課税とすべきであると思う。(40代男性)



反対の理由としては、「色々な理由があって空き家になっているのに、そこにさらに課税されるのはしんどい」「固定資産税で十分」「税金をかけすぎ」という意見が見られた。ケースバイケースで対応すべき問題を一律で課税対象とすることに、違和感を持っている人が多いようだ。


最後に「空き家税が空き家問題を解決すると思うか」について聞いたところ、「はい」は87人、「いいえ」は184人、「どちらとも言えない」は229人という結果となった。空き家税に「賛成」した人も、「はい」は76人、「どちらとも言えない」が147人という結果になっており、効果について自信のない人が多いことがわかる。



また空き家税に「反対」した人を見ると「いいえ」が164人、「どちらとも言えない」が82人となっており、反対の人は「空き家税は効果がない」と考えている人が多いと言える。

○■<空き家税のメリット>



・崩壊の危機がある空き家の処理を適切にされるのであればメリットになるかと思います。(30代女性)

・空き家をどうにかしようと思い、行動に移そうとする人が増えるのではないか。(30代女性)

・税収が得られるというメリットがある。(50代男性)



空き家税のメリットとしては、「行動に移す人が出てくるかも」「税収が得られる」などの意見が挙がっていました。圧力があることで、行動に移す人がいると期待している人が一定数いることがわかります。

○■<空き家税のデメリット>



・空き家の相続費が負担になり放置された空き家が増え負のサイクルにしかならないと思います。(30代男性)

・売れない土地に空家をもっている人は税金が高くなってどうしようもない状態になると思います。(40代女性)

・空き家の所有者の負担が増えるので、空き家の相続を放棄する人が増えたり、徴収した税金がきちんと活用されているのかの不安がでてくる。(40代女性)



空き家税のデメリットとしては、「相続費の負担が大きくなりすぎて相続の放棄が増える」「売れない人はどうしようもなくなる」「負担が増えすぎる」という意見がみられた。



実際に空き家を相続した場合のことを考えて意見を出している人が多く、相続したせいで生活が立ち行かなくなる可能性を示唆する声も多く挙がっていた。

○■まとめ



2030年には空き家が430万戸を超えると推測される「空き家問題」を知らない人が36.8%で、6割以上の人が日本では今後空き家が問題になると知っていることがわかった。そして自分が空き家を相続した場合は「売る」が最多となっており、54.6%の人が手放そうと思っていることが明らかとなった。



また京都市が全国で初めて導入を決定した「空き家税」について知らない人は全体の66.2%で、「反対」の人は51.4%という結果に。実際に自分が相続する可能性のある家が「売れない」「借り手がつかない」人たちが「反対」の声を上げている。



一方「賛成」の人は、自分が相続した場合「売る」予定の人が多く、現在おかれている状況によって賛成と反対が分かれていることがわかる。



ただ、「空き家税」が「空き家問題」を解決すると答えた人は17.4%と少なく、負担増で相続放棄が増える可能性を指摘する声も多く挙がっている。仮に相続放棄された空き家が増え続けた場合、行政が対応できるのかも含め、今後の空き家問題について考える必要がありそうだ。(エボル)