2023年06月19日 15:51 弁護士ドットコム
女優の広末涼子さんの夫で、アーティストのキャンドル・ジュンさんが6月18日、記者会見を開き、結婚生活や広末さんに対する思いなどを語った。
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会見冒頭、広末さんについて「私にとっても良き妻ですし、なにより子どもたちにとって最高の母」と評し、今回の不倫が報じられる前、広末さんから「離婚して欲しい」と言われ、自身が一人で自宅を出て別居していたことも明らかにした。
広末さんは6月14日、不倫の事実を認め、謝罪コメントをインスタグラムで発表したが、離婚については言及しなかった。キャンドルさんによれば、今後も話し合いを継続したい考えだという。
今回の会見でキャンドルさんが明かした、広末さんが離婚を望んだのが事実であったとすれば、離婚原因を作った有責配偶者からの離婚請求となる。このような場合、キャンドルさんが拒否した場合には、どのように進むのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。
——子どもがいる夫婦の有責配偶者からの離婚請求で、仮に一方が拒んだ場合、一般的にどのような条件で離婚は認められるのでしょうか?
広末さんは、自由な意思に基づき、配偶者以外の異性の者と性関係を結んでいますので、「不貞な行為」(民法770条1項1号)を行ったと言え、離婚原因をつくった「有責配偶者」となります。
判例は、有責配偶者からの離婚請求を信義則により制限する考え方を採用しているといわれます。すでに婚姻関係が破綻している場合、子どもが経済的に自立している、相手の生活保障をしている、などの場合には離婚を認められる可能性もありますが、そうではない場合、複雑な事情を考慮して最終的に離婚を認めるか否かが争われることとなります。
有責配偶者からの離婚請求が信義則に反するか否かを判断するに当たっては、次のようなポイントが判断されます。
(1)有責配偶者の責任の態様・程度のほかに、(2)相手方配偶者の婚姻継続についての意思及び原告に対する感情(3)離婚を認めた場合における相手方配偶者の精神的・社会的・経済的状態及び夫婦間の子、ことに未成熟の子の監護・教育・福祉の状況(4)別居後に形成された生活関係(5)時の経過とともに(1)~(4)の諸事情の社会的意味や評価が変化し得ることを理由に、時の経過がこれらの諸事情に与える影響も考慮されなければならない、とされています。
広末さんのケースでは、お子さんたちも小さいことや、最近まで同居していたことなどから、容易には認められないのではないかと考えられます。
——記者会見によれば、キャンドルさんはすでに広末さんと別居しています。このことは離婚するにあたって、どのように考慮されますか?
夫婦の年齢、同居期間と比べて相当の長期間に及ぶ場合には、有責配偶者からの離婚請求であったとしても認められる場合があり得ます。ただし期間が短い場合には、ただちに婚姻関係が破綻したとは認められないでしょう。
一般的に、別居期間が10年程度であれば、この要件は充足されると言われています。裁判例では、別居期間が6年(東京高判平成14年6月26日)、4年10カ月(東京高判平成28年5月25日)、2年1カ月(東京高判平成26年6月12日)の事例で、離婚請求を認めたものがありますが、子どもの有無や夫婦関係の状態によっても大きく異なりますので、一概には言えません。
なお、別居期間が相当長期となれば、すでに婚姻関係が破綻していると言える上、未成熟のお子さんも経済的に自立していきますので、有責配偶者からの離婚請求が認められやすくなります。
【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。
事務所名:東京新生法律事務所
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