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先輩からのセクハラ被害を訴える女性に「あなたから誘ったんじゃないの?」という店長【後編】

2023年06月18日 12:00  キャリコネニュース

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セクハラやパワハラが横行する職場は残念ながら存在する。近年は取り締まりが強化されているが、かつては理不尽な経験から職場を去った人も少なくないだろう。

山形県の40代の女性(素材・化学・食品・医薬品技術職/正社員/年収250万円)が新卒入社した頃に受けたセクハラ被害の後編をお届けする。(文:コティマム)

「そんなこと一切してないって言うんだけど!?」

女性は新卒で入社したホームセンターを2か月で辞めた過去がある。女性の同期が恋した男性「2つ上の先輩A」は、女性が倉庫に商品を取りに行ったり在庫管理をしたりしていると、一緒に入ってきて女性のお尻を触るようになった。ずっと我慢していた女性だが、ある日の在庫管理中、急に抱きつかれてしまった。

泣きながら逃げ出した女性は、主任女性に相談。主任も先輩Aの行為をセクハラと認め、「店長に話してみるから安心して私に任せて!今日は取り敢えず帰っていいから」と女性を気遣ってくれたという。言われたまま帰宅した女性は、翌日、思いもよらない事態を知ることになる。

「次の日出勤すると、何となくみんなの態度がおかしい……。話しかけてもシカト、仲良くなった子は私を見るとその場からいなくなる。主任も挨拶すらしてくれない。Aは普段通り仕事してる」

なぜか女性に対してよそよそしい態度をとる職場の人々。不審に思いながら仕事をしていると、お昼休みに店長から呼び出されたという。

「昨日主任に話した件だと思い意を決して行くと、『主任から話を聞いたけど……気のせいじゃないの?あなたから誘ったんじゃないの?Aにも話を聞いたけどそんなこと一切してないって言うんだけど!?』と厳しい口調で言われた。は?私が誘った?『一切してない』って……。何度もお尻を触り、挙げ句、抱きついてきたのに!?」

セクハラ先輩に社内結婚の予定!? 「あなたにされたこと、お喋り主任は知ってますのでお気をつけて」

主任に伝えた女性の被害は言いがかりのようにとらえられており、先輩Aも嘘をついていた。

「店長も面倒臭そうにそう言って、私の様子を見てるだけだった。そして『Aは近々〇〇さん(同じ職場の女性)と結婚するらしいから、揉めるような行動は控えて欲しいんだよね』と。怒りと諦め、職場への不信感、何とも言えない喪失感に、『分かりました。もう結構です』としか言えなかった」

なんと、セクハラするくせに同僚女性と結婚するという先輩A。女性は諦めの境地に。

「話が終わると、同僚と主任がニヤニヤしながら私を見てた。その時、『あ、主任がこの話を周りに言ったからみんなの態度がおかしかったんだ』と気づいた。追い討ちをかけるように同期が、『Aさんがセクハラするわけないじゃん、自意識過剰じゃないの?』と言って笑った」

味方になってくれたと思った主任も面白おかしく話を広めただけで、先輩Aに片思い中の同期からも嫉妬される始末。女性は同期にこう伝えたという。

「Aさん、近々〇〇さんと結婚するんだって。良かったね、セクハラするような男と付き合わなくて済んで。まぁ……不倫相手くらいにはなれるかもよ?」

「同僚は泣いたが、私の精一杯の反撃だった」と女性は振り返る。このセクハラ事件がきっかけとなり、女性は2カ月で退職を決意した。

「次の日辞表を提出し、Aに『ご結婚おめでとうございます。あなたにされたこと、〇〇さんには言いませんが、お喋り主任は知ってますのでお気をつけて』と言い残し退職しました」

先輩Aにも反撃でき、女性は少しはスッキリできただろうか。長い年月が経っても、セクハラは被害者の心を蝕む。ただ女性は、当時の職場を早々と辞めたことについては「大満足です」と語る。

「30年くらい前の話ですが、セクハラしてる社員を擁護し、被害者の話を笑い話にするような職場ですし。そんな人間を店長に置くような会社は、同じようなことが繰り返されてるかも知れませんね」

と吐き捨てるように締め括った。

※キャリコネニュースでは引き続きアンケート「仕事を即行でやめた人」を実施しています。回答ページはこちら https://questant.jp/q/HF78WM9H