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花王が「センサイ」のグローバル展開を強化 2030年までに売上3倍目指す

2023年06月16日 19:02  Fashionsnap.com

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花王 化粧品事業部門 プレステージビジネスグループ SENSAIブランドマネジャー 桜井郁子、花王 上席執行役員 化粧品事業部門長 前澤洋介

Image by: 花王
 花王が、グループのカネボウ化粧品によるグローバルプレステージブランド「センサイ(SENSAI)」における海外展開を強化する戦略を発表した。基盤となる欧州での存在感をより高めるとともに、成長市場である中国に年内に旗艦店を出店。ラグジュアリースキンケアの象徴である最高峰ライン「UTM」をリニューアルし、9月1日から日本を含むグローバルで順次発売(日本での発売は9月6日)する。そのほかアジア市場へのアプローチにも注力し、2030年までに売上を3倍に伸長させる考えだ。

 センサイは1983年に誕生した。「ていねいに繊細に生きる」ことを目指し、日本古来の希少なシルク「小石丸シルク」を商品コンセプトの軸とし、メイド・イン・ジャパンの、意匠を凝らしたものづくりにこだわったスキンケアおよびメイクアップ製品を展開。欧州での展開をスタートし、日本発想のラグジュアリーブランドとして、美しい“シルクスキン”に導く商品や、茶道にインスパイアされた、正しく、ていねいなスキンケア方法「Saho(作法)」が共感を得て、イギリスの「ハロッズ(Harrods)」やフランスの「ボンマルシェ(Le Bon March)」といった高級百貨店での取り扱われるなど、認知を拡大。その後中東や、2019年に逆輸入で日本、2021年から中国にも進出し、現在は40ヶ国以上で販売する。商品ではエントリーライン「SP/CP」から、機能性とブランド価値を兼ね備えた中価格帯ライン「EX/AS」、ブランドを象徴する最高峰ライン「UTM」までを揃える。
 今年はブランドの源にある日本の美しい自然とその持続可能性に対するコミットメントに「ジャパニーズ サステナブル ラグジュアリー(Japanese Sustainable Luxury)」を掲げ、環境に配慮した取り組みなどを推進している。
 エリア別ではブランドの売上基盤である欧州において、スキンケアを強化し高収益化を進める。中国では、ブランド価値を体現した旗艦店を軸としながらOMO戦略によって売上拡大を図る。今年オープンを予定するブランド初の旗艦店でもある中国の店舗は、「繊細にていねいに生きる」といったブランドコンセプトを体現したデザイン設計で、五感を研ぎ澄ましてニュートラルな状態へと整える導入体験、心身のバランスを保ちときほぐすような、“ぜいを尽くした”トリートメントを提供する予定。エビデンスと効果実感を重要視する中国市場に向けて、ラグジュアリーなシルクスキン、科学的エビデンスの背景といったブランド価値を発信していく。
 またこれまでのブランドフィロソフィーを継承しながら、新たな付加価値としてサステナビリティの側面も強化。循環型農園で栽培された素材を用いるほか、省資源、リサイクル素材の活用などに積極的に取り組む。リニューアル発売するUTMシリーズのクリームは、京都に拠点を置く手作り茶筒の老舗「開化堂」との協業で、日本のものづくりの精神を落とし込みながらもレフィル対応のデザインを考案。そのほか、日本を代表する建築家 坂茂とコラボレーションし、施工資材の無駄を極力抑えたポップアップ空間を設計した。組み立て、解体、輸送を容易にした独自のL-Profile Systemを採用したもので、これらを使ったポップアップを、これまでオランダ、ミラノで、今後スペインなどでも行う予定だ。ポップアップ使用後は、芸術文化施設などへの寄付を検討している。
  センサイの桜井郁子ブランドマネジャーは、「これまで大切にしてきたことを、より洗練させてブランドの価値を高めていく。欧州ではコロナ禍でECの売上比率が3割まで伸び、可能性を見出している。リアルな体験による価値訴求はもちろんだが、オンライン・オフラインのいずれも推進していく。中国では売上のボリュームはKOL施策も視野に入れながらECを中心に獲得していくが、1番は今年オープンする旗艦店。われわれが大切にしてきた『ていねいに繊細に生きる』スキンケアを、フェイストゥフェイスで実際に体験していただくことに注力する」と意気込んだ。さらに続けて「これまでは欧州の“ローカル”ブランドとしての側面が強く、ヨーロッパのお客さまに対して、どう日本の文化を根底に持つセンサイを伝えていくか、だった。今後、真のグローバルブランドになるために、世界中のお客さま視点に立ち、アップデートしていく」と差別化への新たな視点を語った。
 花王によると、グローバルでの化粧品市場は今後、中国をはじめ、欧州、北米の拡大が予測されるという。中でも、ライフスタイル・フレグランスカテゴリー、ダーマ(皮膚科学発想のコスメ)、ハイプレステージ領域は引き続き成長すると見られている。そこで今後の戦略として、花王の前澤洋介 化粧品事業部門長およびカネボウ化粧品社長は、「これまでグローバルで成長を担うG 11のブランド全てを横並びで見ていたが、今後はセンサイ、「モルトンブラウン(MOLTON BROWN)」「キュレル(Curel)」の3ブランドを先陣として、海外戦略に投資する。それによる蓄積した知見をグループ全体に落とし込むことで、すべてのG11のブランドをグローバルで拡大していく」考えだ。