時々思うことがある。子供の頃の僕が、今の家庭用ゲームソフトを目にしたら、果たしてショック死しやしないだろうか、と。
僕は84年生まれで、スーパーファミコンや初代プレイステーション直撃世代である。今と昔とでは、ゲームの質もだいぶ様変わりした。とりわけビジュアル面ではよりリアルに、より精緻に進化している。
初代プレステのソフトといえば、しばしばプレイ中に当時としては綺麗な部類のCGムービーが挿入されることもあったが、いつの間にかゲーム中のCGムービーと、実際のプレイ画面の差異なんてなくなってしまった。考えてみればすごいことだ。気づけばゲームなんて映像表現が凄くて当たり前になってしまった気がする。
一方で映像以外にも進化を続けている部分はある。そこで今回は、あえて映像以外の面に目を向けて、ここ最近のゲームの進化の凄さに驚いたという人たちの声を紹介させていただきたい。(文:松本ミゾレ)
「『Rimworld』。マジでPCゲームってすごいと思った」
先日、5ちゃんねるに「ここ10年ぐらいのゲームで『凄いゲームが出てきたな』と感心したものを教えて欲しい」というスレッドが立っていた。スレ主は凄いゲームがやりたいと、シンプルな要求をぶつけている。
そしてここに、この10年以内にリリースされたタイトルに凄みを感じたというゲーマーの声が結構寄せられているので、ちょっとまずは引用させていただきたい。
「『Hi-Fi RUSH』は凄かったな。トレイラー観たテンションそのままのゲーム体験が出来てて感動したわ。大抵はトレイラーとゲームプレイでは差があるからな」
「『Rimworld』。マジでPCゲームってすごいと思った」
「『スプラトゥーン』」
「『GTAV』、『ゴーストオブツシマ』、『エルデンリング』、『スプラトゥーン』、『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』」
「『ティアキン』凄すぎる。上げに上げたハードルの遥か上を行く」
と、こんな具合である。タイトルを挙げる声は色々あるけど、具体的にどこがどう凄いのかってところまで切り込む声はほとんど見られなかった。
言語化が難しいぐらい凄いってことなんだろう。僕も上に挙がっているタイトルのいくつかで遊んだことがあるが、やっぱり総合的に面白くて「うん、凄いな」と思っちゃったし。
『ティアキン』とは言わずもがな、先日発売された『ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム』のこと。僕の周りでもやけに評価が高い。『ティアキン』のために会社休んだ、といった絶賛の声を聞く。前作も相当な好評だったが、今回それよりもなお面白いってんだから、これこそ凄いゲームと言う他ないのかもしれない。
「バイオ7」は怖すぎてまじで投げ出した
上に挙がっているタイトルは、映像表現ももちろん素晴らしいが、根本の遊びの部分で多くのユーザーから好評を得ているものばかりである。中には発売からかなり時間が経過したものもあるが、未だに根強いファンもいたり、続編展開を見せているソフトもチラホラ。
僕としても『エルデンリング』がかなり印象的だったので、そっちの話をしたいとも思ったが、過去にそういう話をした記憶があるのでちょっとここでは、凄い進化をし過ぎたせいでコントローラーを投げ出したゲームの話を。
そのゲームというのが2017年発売の『バイオハザード7 レジデントイービル』である。
キャッチコピーに「すべては恐怖のために」を掲げているこのタイトル。初代からこのシリーズを遊んできた僕だったが、ちょっとこの『バイオ7』だけは話が違った。
凄く、怖かったのである。
今まで散々ゾンビだハンターだリッカーだを血祭りにあげた僕も、このゲームの怖さには正直お手上げだったのである。閉鎖的な空間を舞台に、一人称視点になったバイオがこれだけ怖いものになるとは夢にも思っていなかった。
厳密に言えば一人称視点のバイオと言えば『ガンサバイバー』がある。だけどあれって銃を撃って撃って撃ちまくれる爽快感が恐怖心を薙ぎ払ってくれる側面もあったので、本格的に怖がらせる気満々の『バイオ7』とは全く毛色が違って感じられる。
少なくとも僕の周りには「『ガンサバイバー』が怖い」と主張する友達はいなかった。ところが『バイオ7』ときたら、マジで怖いんだもの。怖がらせる方法も色々あるし、企画会議とかきっと楽しかったんだろうなぁ。
あまりにも恐ろしいゲーム。プレイすることもためらわれるゲームとして、僕にとってはもうトラウマ。長らく最も恐ろしいゲームは『サイレン』だろうと思っていたが、いやいや、プレイ環境の一新ととにかく怖がらせるための舞台装置のせいで、もう『バイオ7』が堂々の首位になってしまった。
まさしく、怖さという点においてはこの10年の間に出会った、間違いなく凄いゲームであると考えている。正直、あまりに怖いからすぐに投げ出してしまった!
と同時に「今になってこんなに恐怖心を煽るゲームが爆誕するなんて」と、ちょっとだけ嬉しくもなった。だって『サイレン』ですら何とか全クリできた僕が、序盤も序盤で怖すぎてドロップアウトしちゃうんだもの。こういう感じで、ゲームってこれからもじわじわじわじわ進化し続けているんだろうなぁ。