今年の2月か3月ぐらいから、近隣のパチンコホールの目立つところに「当店がプロと見なしたお客様には、退店していただく場合があります」といった文言が掲げられるようになった。
ホールがプロと見なすというのは、昔でいえばジグマタイプの、朝から釘の甘い台を打ち切るゴリゴリのパチプロ。それから完全技術介入を駆使して機械割をフルに活用するスロプロとかのことを指していた。
しかしいつからかホールが見なすプロの大半は、天井やボーナス期待値の高いゾーンだけを狙い打つハイエナや、複数人で出玉を共有する軍団とか、そういうものを指すようになっている。特にハイエナ。通称エナはホール側からも、他の真っ当に遊んでるユーザーからもウザがられる存在だ。
ハイエナが横行するホールは平打ちするのがバカらしくなるため、ユーザーがどんどん消えていく。エナを放置するということは、ホールの営業にもやがて暗い影を落とす、ということになるのである。(文:松本ミゾレ)
「じゃあエナが喜ぶ台を出すなよ!」という声を挙げるパチファン
なんでいきなりエナがどうこうほざいているのかというと、先日5ちゃんねるに「パチ屋『徘徊やエナ禁止です』←これさメーカーがエナ仕様の台出さなきゃいいだけやん」というスレッドが立っていたからだ。
スレ主は、メーカーが天井やボーナス期待値の高いゾーンを搭載した機種を出すことが、徘徊やエナを招いているという指摘をしている。そしてこの指摘って、振り返れば僕がパチスロをしはじめた頃から何遍も挙がってきた議題である。
それでも今に至るまで状況が変化していないということは、少なくともメーカーは天井も、ボーナス期待値の高いゾーンも必要だと考えている……ということになるんだろう。
しかしながらスレ主の気持ちも分かる。パチンコホールにいるユーザー全員が、天井上等でぶん回すわけでもないだろうし、そもそもそんなにお金に余裕がない人たちが集まる施設がパチンコホールだ。
中には天井直前で持ち銭が尽きて撤退してしまう人もいる。その後釜に座ることが出来た後任者は、低投資で当たりを待つことが出来るというのは、まあ確かに不公平かもしれない。
……ただ、僕が思うに、それもひっくるめてのパチンコホールなんだよね。別に公平である必要もないというか、天井やゾーンについての知識がある方が、ない人よりも勝率は少しだけ上がるわけだし。
それに、天井を搭載せず、ゾーンも存在しない『ジャグラー』とか『ハナハナ』みたいな完全確率機もホールにはたくさん導入されているので、一応棲み分けというか、機種の多様性は昔から担保されている。エナられたくなければ、そういった台を打つことで嫌な思いをすることもなくなるのだ。
天井がある機種を打つユーザーの多くは、天井を見越して打っている
それとこれは僕の私見となってしまうが、天井搭載、ゾーンありの機種を打つ場合、もしもに備えて事前に、天井分までは到達出来るだけの予算を用意して打つって人がほとんどに思える。僕もそうだし。
たとえば天井まで平均3万円必要なら、途中で小役落ちのムラがあることを考えて、3万と2千円ぐらい用意して挑むみたいな。
そしてこれも私見なんだけど、天井までの予算がないのに打ち始めて、もう期待値的にプラスになっちゃうようなゲーム数でお金が尽きて撤退する人というのは、その打ち方にも問題があると思っちゃう立場だ。
そういう状況でお金だけなくなってみすみす退店するぐらいなら、最初からもう少し予算を用意して挑むべきだったし、何なら天井がない台を触るべきだったわけで。
「2万しかないけど、まあ500回転ぐらいまでで当たるだろ。まさか天井には行かないはず」みたいな根拠のない楽観は、エナの餌食にされる可能性がある。どうせパチンコホールで遊ぶなら、中途半端に当たらずやめてエナられるような予算ではなく、一応最悪でも天井で当たりを狙える状態で挑む方が絶対いい。たとえ天井で伸びなくても、天井直前で渋々やめてしまうよりは遥かにマシ!
また、天井もゾーンも、エナが狙っていることは事実だけども、それがなかったら青天井になっちゃうし、そうすると僕みたいな貧民は怖くて触れなくなってしまう。天井とゾーンは、とりあえず何らかの結果を目にしたいというスロッターの希求に寄り添う保険である。保険なのだから、掛け金として天井到達まで必要な予算は用意しておこうね、という話だ。
これでエナ被害も防ぐことが出来る。