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【推しの子】結局のところ最も“推されている”のは誰? 「輝け!推しデミー賞」から人気キャラクターを分析

2023年06月09日 17:01  リアルサウンド

リアルサウンド

【推しの子】アイ 1/7スケールフィギュア(KADOKAWA/グッドスマイルカンパニー)

※本稿は『【推しの子】』のネタバレを含みます。原作を未読の方はご注意ください。


 完璧なアイドル・星野アイ、その子どもで主人公格のアクア&ルビーは当然のこと、元天才子役の“重曹ちゃん”こと有馬かな、天才舞台女優でアイの真実に迫る黒川あかね、バズを起こすことに長けたYouTuberのMEMちょ……と、魅力的なキャラクターが多く“推し”に迷ってしまう漫画&アニメ『【推しの子】』。実際のところ人気No.1は誰なのだろうか?


(参考:【写真】推さざるを得ないクオリティの『【推しの子】』星野アイ、1/7フィギュアをさまざまな角度から


 各所で非公式に人気投票が行われているが、苺プロダクション社長でアクア&ルビーの育ての親とも言える斉藤ミヤコ、ルビーの友人でグラビアアイドルの寿みなみ、国民的女優の不知火フリルに、筋トレ系YouTuber・ぴえヨン、努力を重ねて俳優として急成長している鳴嶋メルトなどにも票が分散し、安定した結果は出ていない。公式で大々的にキャラクターに対するファン投票が行われたことはないはずで、参考にできそうなのは2022年12月、連載100話記念で開催された「輝け!推しデミー賞」だ。


 同賞はキャラクターそのものではなく、『【推しの子】』で描かれたパフォーマンスシーンのなかから特に印象的な一コマを選ぶというもので、カテゴリは「アイドル部門」「アクト部門」「バラエティー部門」の3部門。当然、人気投票はその期間の物語の状況によっても結果が変わるが、100話は風雲急を告げる「スキャンダル編」に突入する直前であり、すでに多くのキャラクターに見せ場が訪れていたため、ちょうどいいタイミングだったと考えられる。


 詳しくは『【推しの子】』公式サイトをチェックしてもらいたいところだが、「アイドル部門」最優秀賞のほか、「アクト部門」優秀賞、「バラエティー部門」にも入賞と、目立つのは有馬かなの姿だ。特にアイドル部門では、アイやルビーを抑え、第38話「箱推し」で描かれた“ある一コマ”がピックアップされている。アニメの進行度を考えると、おそらく第一期の終盤を飾るハイライトになりそうなシーンで、作中でも屈指のインパクトだ。プロ根性と人間味がいいバランスでブレンドされており、面倒な性質も持っているのに、舞台では太陽のような存在感を放つ有馬かなは、トップクラスに推されているキャラクターだと考えられる。


 一方、「バラエティー部門」では、主戦場と言える「アクト部門」でも有馬かなの影に隠れがちだった天才舞台女優・黒川あかねが最優秀賞を獲得している。選ばれたシーンはもちろん、アニメでも旋風を巻き起こした、星野アイを完全にトレースした「てへっ☆」の一コマだ。その才能で物語の核心に迫りながら、意外と派手な活躍が多くない黒川あかねだが、このシーンのインパクトは絶大で、彼女の虜になったまま推し続けているファンは多い。ちなみに、同部門の優秀賞はアクアとのキスシーンだ。アクアを巡る恋のライバルでもある有馬かなと黒川あかねのどちらを推すか……というのは『【推しの子】』ファンにとって永遠の難題かもしれない。


 アクアとルビーもきちんと存在感を示している。アクアは「アクト部門」で、珍しい感情演技を見せた1シーンが最優秀賞に。ルビーは「アイドル部門」で、舞台上で輝く姿が優秀賞に選ばれた。ふたりには“前世”もあり、お互いに深い闇を背負っていく物語上、華やかなビジュアルと才能だけでは評価しきれない複雑なキャラクターだ。間違いなく高い人気を得ているが、作品が完結するまで無邪気に「推し」にできない……というファンも、意外に多いかもしれない。


 「推しデミー賞」は作中で描かれたシーンにフォーカスされたものであり、本作を象徴する星野アイはほぼ除外された感があるが、「アイドル部門」で第四話「笑顔の作り方」の一コマが入賞しているのがさすがだ。登場機会こそ限定的だが、『【推しの子】』と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、W逆ピースにペロッと舌を出した、印象的すぎる星野アイの姿だろう。アニメ第1話の衝撃もあり、連載を追いかけているファンもアイの魅力をリマインドしたに違いない。「1番人気」と言われても納得のキャラクターだ。


 異論反論多いにありそうだが、単行本第11巻刊行時点での印象として、ファン人気は「有馬かな&黒川あかね」で有馬かな、「アクア&ルビー」ではアクアがやや優勢に見え、これに特別枠の星野アイを加えた3人が“最も推されているキャラ”候補に思える。それぞれのキャラクターにそれぞれの魅力があり、推す人もそれぞれ……ではあるが、『【推しの子】』はアイドル・俳優・タレントという人気商売のシビアな側面を描いた作品でもあるだけに、公式のファン投票でリアルな結果も見てみたいところだ。


(文=向原康太)