Text by CINRA編集部
落合モトキとあのがダブル主演を務める映画『鯨の骨』が今秋公開される。
監督を務めるのは、濱口竜介監督と共同執筆した『ドライブ・マイ・カー』が『アカデミー賞』脚色賞にノミネートされた大江崇允。結婚間近だった恋人と破局した間宮は、マッチングアプリで唯一返信をくれた女子高生と会うが、女子高生は間宮のアパートで自殺し、気がつけば死体は消失。間宮はARアプリ「王様の耳はロバの耳」の中で死んだ女子高生と瓜二つの少女「明日香」を発見し、痕跡を追いかけるうちに現実と幻想の境界が曖昧になっていくというあらすじだ。
落合モトキは拡張現実アプリにはまり込んでいく不眠症のサラリーマン・間宮役、あのは孤独なひとびとを引き寄せる明日香役を演じる。そのほか、拡張現実アプリ内で新たなカリスマを目指す凛役に横田真悠、間宮の恋人・由香理役に大西礼芳、明日香の熱狂的な信者・しんさん役に宇野祥平がキャスティング。
今回の発表とあわせて、6月29日から韓国・富川で開催される『富川国際ファンタスティック映画祭』に正式出品されることが明らかになった。
【大江崇允監督のコメント】
「都会の夜は深海に似ている」
このフレーズが映画の発端であり、またその全てです。
深海では、海底に落下した鯨の骨に群がり、その栄養を吸って生きる小さな生物群集が存在しています。それらは鯨の骨の栄養を吸い尽くすと、やがて骨と一緒に消えてしまう儚い生物です。
そんな生物たちですが、どうやら薄っすらと発光しているそうなのです。
僕には深海の点在する光が、まるで空から見た都会の夜の灯りと重なりました。
僕が四角い水中眼鏡をかけて見ている世界、それがこの映画です。
一人でも多くの人にこの眼鏡を楽しんで頂けたら嬉しいです。
【落合モトキのコメント】
大江監督とイメージを合わせながら撮影していましたが、完成した作品を観た時自分の中には存在しないジャンルの映画でした。なので皆さんに観て頂いた後の感想が非常に楽しみな作品です。撮影中、印象に残ってるのはあのちゃんを追いかけるシーン。あのちゃんは信じられないくらい足が速くて久々に本気で走りました。でもそれが可愛らしく見えたり。是非劇場にお越し頂けると嬉しいです。宜しくお願いします!
【あののコメント】
ただ無性に冷たくて息もうまく吸えないそんな時期に撮影し、撮影しながらまるで深海にいるような、何度も明日香が自分と重なっては濁って消えていく、そんな体験をしました。鯨の骨でしか味わえない何とも奇妙な浮遊感を皆様にも楽しんで頂きたいです。
©︎2023『鯨の骨』製作委員会