知人や友人に金銭を貸すなら、返ってこないものとして考えたほうがいいだろう。愛知県の40代前半男性(教育・保育・公務員・農林水産・その他/年収500万円)は、前職の同僚Aに1万円を貸したが返ってこず、「諦めました」とこぼす。
「最初は少額でした。『財布忘れて飲み物買う金がない』とかで、数百円とか。翌日とかには返したし、額も額なので気にしてませんでした」
しかし額が変わったのは、数か月経った頃だった。
「『親に金を貸してしまって、○日には返すから5000円貸してほしい』と。同じ職場ですし、逃げはしないだろうとそのときは貸して、期日には返してくれました」
その後、Aの行動はどんどんエスカレートしていったという。(文:福岡ちはや)
「私の1日の賃金で勉強できたと考えて諦めました」
やがてAは職場の休憩時間だけでなく、会社の外でも男性に連絡してくるようになった。
「『今から近くの駅まで行くから貸してほしい』と私の最寄り駅までやって来て。『無理だ』と一度断ったが、『もう向かってる。あと○分で着くから!』……もう半分脅しというか、貸すというより取り立てですよね」
金を借りるために最寄り駅まで押しかけてくるとは、恐怖すら感じてもおかしくない。そのうち大病を患ったAは手術を理由に退職し無職になったが、男性には「保険で毎月定額の収入がある」と話していたそうだ。
当時の男性はその言葉を疑っていなかった。そのため、再びAから
「悪い、金貸してくれない?」
「保険が振り込まれる日までの繋ぎとして1万円」
と頼まれると、いつもどおり貸してしまった。しかし結局、その1万円がAから返されることはなかった。
「『病気が再発して余命宣告を受けた』と一方的に連絡がきたかと思えば、そこから完全に音信不通。今思えば、Aにはほかにも怪しい行動があったのに、疑わず貸してしまったことに後悔しています」
その後を「Aがどうなったかは知りません。本当にわずかな金額ですが、私の1日の賃金で勉強できたと考えて諦めました」と吐露。「軽く詐欺かも?」とも綴っている。
気の毒な話ではあるが、何百万円という大金の詐欺被害があることを考えると、1万円の被害で済んだのは不幸中の幸いだったかもしれない。