2023年05月30日 19:41 弁護士ドットコム
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)やエホバの証人などの「宗教2世」に関するテレビや新聞の報道が2023年から激減していることが、社会調査支援機構チキラボの調査で明らかになった。都内で5月30日に会見を開いた。
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2022年11月に発表した宗教2世の実態調査の第2弾も公表。2世以外の人と比べ、大学・大学院卒が少なく、孤独感が強く抑うつが高い人が多い傾向などがあったという。
所長の荻上チキさんは、報道が減ったのは2022年末の救済法成立でいったんの着地点を見たことなどが背景にあると分析。「社会的関心が下がっても、2世当事者のメンタルヘルスケアについて不十分で、課題は解決していません。その『変わらなさ』に対処するのが国会の役割ではないか」と訴えた。
報道量調査は、エムデータ社が保有するテレビメタデータ(2022年9月8日~2023年3月8日)と新聞データベースから検索語などで分析した。
宗教2世関連は、いずれも2022年度をピークに減少傾向にあった。新聞・テレビとも「統一教会」系の報道が2022年10月、「宗教2世」当事者に関連した報道は同12月がピークだったという。
「エホバの証人」については、2023年になってから弁護団が結成されたり、当事者団体が声を上げたりした背景があり、2023年2月にピークがあった。
また、ツイッターの2007年1月1日~2023年3月1日までの投稿を、2023年4月3日に収集して分析した。「宗教2世」という言葉は、2020年ごろから徐々に上昇していたことがわかった。
荻上氏はツイッターにも12月ごろまで関連投稿があったが、大手メディアの報道量に連動する形で、減少フェーズに入っていると説明。新聞やテレビの「議題設定効果」によって個人が反応する形となっているとした。
チキラボは、定期調査しているウェブアンケートから抽出する形で「宗教2世の精神的・社会経済的状況」「宗教的虐待に関する法規制についての意識調査」を調べた。
メンタルヘルスについては2022年11月、2023年4月の2000人サンプルから分析。回答者のうち「自分を宗教2世と考えている人」は約1%だった。その結果、精神的な健康がよくなかったり、社会的地位が低いと感じていたりする傾向が見られたという。
荻上氏はこの調査を見る上での注意点として、「宗教2世」という言葉は多義的で主観的なものだと指摘し、あくまで「自認する人」が対象となっていると説明。特に、2020年ごろから統一教会やエホバなど新宗教の2世によるSNSなどで認知されるようになったことにも触れた。
また、意識調査については2023年4月の1000人サンプルから導き出した。「子供への体罰や医療拒否は、思想・信条を理由とするものであっても法規制する」「第三者が、保護者らに子供を虐待するよう仕向けることも規制する」に賛成が6割を超えたという。
荻上氏は「2022年の銃撃事件で『この社会をどうにかしなければ』となったが、救済法ができていったん決着してしまった。また声を上げてきた当事者も疲弊した。しかし、2世について課題は依然あるということを訴えていきたい」と話した。