高齢化が進む世の中では、「記憶違いのクレーム」が増えていくかもしれない。商店で接客をしている50代前半の男性(静岡県/サービス・販売・外食)は、高齢の夫婦から頼まれていない修理製品の受取りを主張され、しまいには
「俺の頭がおかしいというのか!」
と激昂されたという。(文:永本かおり)
「小さな覚え違いやど忘れが出てしまう年齢」
男性が働く店に訪れたその高齢夫婦は、「注文販売の商品を注文され、後日受け渡し」の予定だった。ところが注文商品が到着し、再来店した際
「注文された商品と同じ種類のものを『以前使っていて壊れたものを修理で預けたはずだ』と言い始めました」
事実にないことを主張され、困惑したことだろう。商品注文と修理依頼では全く内容が異なる。
「修理品を預かったという記録もなく、そもそもその種類の製品を修理で預かることはまずなく、おそらくはお客さんの側の記憶違いなのでは」
と考えた男性は、「預かった事実は確認できないこと、同日不在の売場責任者にも確認を取った旨をお伝え」した。丁寧に対応したものの、その夫婦は納得しなかった。さらには夫の方から、
「俺の頭がおかしいというのか!」
と激昂され、「結局注文商品も購入されないまま」帰ったという。
勘違いで叱責された男性は、夫婦に対して不満が募ってもおかしくない。しかし身なりの整った夫婦だったため「現役時代には有能で鳴らされていたのでしょうが」とした上で
「おそらくは日常生活で小さな覚え違いやど忘れが出てしまう年齢になって自身の老いに強いストレスを受けていた、そのことを第三者に伝えられ暴発してしまったのだと思います」
「壊れてしまった製品のかわりに買っていくはずだった商品もなく困らなかったのだろうかが、今も気がかりです」
と優しい心で受け止めていた。