子どもに「勉強しなさい」と諭すとき、誰かの仕事を見下す必要はないだろう。東京都に住む60代男性(教育・保育・公務員・農林水産・その他)は、ある朝「ごみ収集作業されている作業員」に近づく親子連れを見かけ、母親らしき女性が子どもにこんなことを言っているのを耳にした。
「『勉強をしないと、こういうおじさんみたいになるわよ』と。作業員さんの耳にも当然入りましたが、チラッと一瞥するだけで苦笑いしてました」
「今はこんな仕事でも大学出ないと自治体から採用されないんです」
わざわざそれを言うために近くへ行ったのか定かではないが、作業員に配慮していないのは明らかで失礼な話だ。男性は思わず母親にこう苦言を呈したが……。
「『彼らがごみ収集をしてくれるから、我々はごみに埋もれた生活をしなくて済むのではないですか?』と、言ったら逆ギレされて、『こんな仕事しか出来ない人達だから仕方ないでしょう』と捨てセリフ」
後味悪く親子に去られてしまったようだが、男性は作業員とこんなやりとりを交わした。
「私から作業員さんに『困まった人ですね』と伝えたら、作業員さんは、『今はこんな仕事でも大学出ないと自治体から採用されないんです。大変だけど、慣れてますし、1日終わればビールが待ってます』と、笑いながらごみ収集車に乗り込んでました」
確かにゴミ収集は税金でまかなわれる大事な公共サービスだ。男性は感心したように「世の中の為にこれだけ頑張っている方々なんだと思いました。確かにコロナ禍でも1日も欠かさずごみ収集に来てくれました」と綴る。また
「それに引き換え、このお母さんの仕事を下に見る態度は許せませんでした」
として、「我々の為に頑張っている作業員の方へ『ご苦労様』と、皆さんも声を掛けて上げましょう」と呼びかけた。