2023年05月22日 14:11 弁護士ドットコム
5人組の男性アイドルグループ「King & Prince」(キンプリ)の岸優太さん、神宮寺勇太さん、平野紫耀さんが5月22日、グループを脱退し、高橋海人さんと永瀬廉さんの2人体制となる。
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ツイッターでは「有給使ってキンプリ休暇取った」「有給とっておいて良かった」など、22日に有給休暇を取得し、キンプリに浸る1日を過ごす「ティアラ」(キンプリファンの総称)も多くみられた。
また、「みんな今日有給とってるよ!いつでも準備できてるよ!」とYouTubeなど各種SNSでのライブを期待する声も上がっている。
一方で、「とてつもない喪失感」という声も。この数日、キンプリのことが頭から離れず、仕事が手につかないというティアラも多いだろう。今からでも会社に有給休暇を申請して、「キンプリロス休暇」をとることはできるのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
——今日は22日ですが、今から23日の有給休暇を申請して休みを取ることは可能なのでしょうか。
大人気アイドルグループですから、お休みされる方が多いのは頷けます。今回は「お休みってそんなに簡単に取れるの?」といった疑問にお答えしようと思います。
法律によると、年次有給休暇(有給休暇、有休)は、6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤していれば発生する労働者の権利です(労働基準法39条)。使用者側は、原則として労働者の取得希望日(時季)に有休を与えなければなりません(同法39条5項)。
ただし、飲食店等で全従業員が一斉に有給休暇をとるような事態になると、お店が回らないことになってしまいます。そこで、使用者側は、事業の正常な運営を妨げる場合には、時季変更をすることが可能になっています(同法39条5項但書)。
一般的にいえば、よほどのことがない限り事業の正常な運営を妨げるとはいえず、会社側に時季変更権を認めることはできないので、労働者が有給休暇を使いたいといえば、認められます。
有給休暇取得希望日の直前に申請した場合でも、原則として取得が認められることには変わりありません。
申請が直前になればなるほど、一般的には代替要員を確保することが難しくなります。あらかじめ申請して休むことを伝えていた場合に比べ、「事業の正常な運営を妨げる場合」に当たるとして、時季変更権を行使される可能性が高まるといえるでしょう。
有給休暇は仕事のリフレッシュのためにとるものです。今回のような場合も仕事のリフレッシュにつながりますので、有給休暇をとってもいいんじゃないでしょうか。
ちなみに私は自営業者なので、有給はありません。逆に休んだら無給休暇になります。有給取れるのうらやましいですね。キンプリのメンバーのみなさん、これからも頑張って下さい。
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/