どの仕事でもそうだが、特に金融関係の仕事では1円たりとも間違いは許されない。岩手県の40代前半女性(事務・管理)は、金融機関に勤務していた当時、思わず冷や汗をかくようなクレーム対応をしたエピソードを明かした。(文:谷城ヤエ)
「男性の後ろの棚に封筒に入ったままの現金が……」
その金融機関では高齢の利用者も多く、「ATMを使用するよりも窓口での出金される方も多かった」と明かす。ある日、「しょっちゅう窓口に年金を出金に来る高齢男性」からこんな電話がかかってきた。
「さっき下ろしたはずのお金を受け取っていない」
「俺のお金を取っただろう!」
驚くようなクレームの上に、電話をしてきた客は「大口取引先で地元の有力者」だった。「大問題になってはいけないとまず監視カメラで確認した」ところ、映りはいまいちだったが「お客様はお金を受け取って」いたという。
「緊張したまま支店長と窓口担当の私と二人で男性の自宅へ向かい、怒る男性のお話を聞くこと10分間…」
事情を説明することや男性の怒りを鎮めることはなかなか大変だっただろう。
「その間、私は男性の後ろの棚に封筒に入ったままの現金が置いてあった事に気づいていました。やっと会話ができる時にやんわり指摘し、一瞬で解決。笑顔でお見送りいただきました」
どうなることかと思ったが、無事解決したようで何よりだ。さらに良いこともあり
「それからというもの、そのお客様は私を指名し大口預金等をしてくださるようになりました。もう鬼籍となっていると思いますがその節はありがとうございました」
と感謝の気持ちも綴っていた。