キャトルグリッド(家畜侵入防止用の鉄柵)に挟まり命を落とした犬(右)。飼い主のジョーさんは、事故後すぐにコミュニティーサイトで愛犬家に注意を呼びかけた(画像は『BBC 2023年5月5日付「Woman heartbroken after dog’s cattle grid death」(JO WATERS)』のスクリーンショット) 先月28日、イギリスで散歩中の犬が家畜の脱走や侵入を防ぐため地面に設置された鉄柵「キャトルグリッド」に挟まって命を落とす事故が発生した。この地域では今後、さらに多くのキャトルグリッドを設置する予定があるそうで、飼い主の女性は州議会に対して「さらに多くの動物が傷ついたり、命を落としてしまう可能性がある」と述べ、計画を見直すべきだと主張した。イギリスの公共放送『BBC』などが伝えた。
【この記事の他の写真を見る】
英ウェールズのスランボイストで暮らすジョー・ウォーターズさん(Jo Waters)は4月28日、愛犬の“エヴァ(Eva、7)”と“ジミー(Jimmy)”を連れてウスク川沿いの牧草地「キャッスル・メドウズ(Castle Meadows)」へ散歩に出かけた。
そして現地時間の夕方6時頃、ジョーさんが立ち話をしていたところ、突然エヴァが走り出してキャトルグリッドに挟まってしまった。
ジョーさんは当時の状況について、こう振り返った。
「あの日のことはあまり記憶にありませんが、私は走って逃げたエヴァを捕まえようとして追いかけたことは覚えています。キャトルグリッドに挟まったエヴァは口から出血し、頭が横向きになっていて…。すぐにニューポートの動物救急病院に運ばれましたが、獣医から首を骨折していると告げられた後、息が途絶えてしまいました。そしてエヴァだけでなく、ジミーも腹部に擦り傷を負っていたのです。」
このキャトルグリッドは、ウェールズ南東部に位置するモンマスシャー州議会の計画の一環として、散歩やサイクリングのルートを改善するために事故発生の3日前に設置されたものだった。
同地域では今後さらに多くのキャトルグリッドが設置される予定であり、ジョーさんは同議会に対し計画を見直すべきだとしてこのように主張した。
「キャトルグリッドがゲートの代わりになることは理解していますが、サイクリングで訪れた人は自転車から降りなければならないし、車椅子や移動用スクーターを使う人にとっては進行が妨げられる可能性もあります。それにキャッスル・メドウズではリードなしで犬の散歩をしている人をよく見かけます。あそこで怪我をしたのは私の愛犬たちだけではありません。少なくとも1匹の犬が足を折ったという話を聞いたことがあります。」
「このままではさらに多くの動物が傷ついたり、命を落としてしまうかも知れません。また動物だけでなく、子供が柵の隙間から落下してしまうこともあり得るのです。幼い子はいつも前を見て歩いているわけではありませんから。私と同じような経験を他の誰にもしてほしくないのです。」
今回の事故発生後、キャトルグリッドの撤去を求める嘆願書には1200人以上の署名が集まったという。
これを受け、モンマスシャー州議会は計画申請を一旦取り下げると同時に、従来のキャトルグリッドや全国で使用されている同様のゲートやバリアについても代替を検討することを明かした。同州議会の広報担当者は次のように述べている。
「先日の悲劇的な事故を受け、私たちはプロジェクトチームの専門家とともにキャッスル・メドウズの計画について見直しを進めているところです。私たちはすべての利用者にとってベストな方法を見つけるために設計やデータの確認を行います。そしてそれが完了するまでキャトルグリッドを封鎖する予定です。」
画像は『BBC 2023年5月5日付「Woman heartbroken after dog’s cattle grid death」(JO WATERS)』『Boodle Bakery 2023年4月29日付Facebook「I M P O R T A N T」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)