ネットの普及によってクレーム対応は一層難しくなったと言えそうだ。
「会社の闇とSNSの普及によりお客様対応の難しさを体感する出来事でした」
こう語るのは、「大手引っ越し会社に勤務していた」という、ある30代男性(技能工・設備・交通・運輸)だ。「ある男性のお客様からの電話で事が始まりました」とものものしい雰囲気で語りだした。(文:okei)
引っ越しから半年以上あとに「家財の1つが見つからない」
男性が当時勤めていた会社では、当然ながら引っ越しする客の家財をしっかり管理していたようだ。「自分の支店で家財をお預りして他所の支店が作業する時にはチェックリストがあり、お客様の家財に札を貼りリストに項目を記入していました」と明かしている。
ところがあるとき、「引っ越しから半年以上経過したお客様」から、
「家財の1つが見つからない」
とクレームの電話が入った。「本来は引っ越し時にトラブルが発生した場合は3か月以内で無いと対応が難しいのですが」と男性が説明するように、すでに倍の6か月以上が経ってしまっている。詳細を確認したところ、
「無くなったものは段ボール箱一つで中身は1番大切にされているフィギュアなどだそうです」
「そのお客様に状況を説明して対応が難しい事をお伝えした所『自分はYouTubeのチャンネルを持っているからこの対応を録音してアップする』と脅されました」
段ボール箱がなぜ行方不明になったのかはわからないが、YouTubeで好き勝手に編集されてネット上に拡散されてはたまらない。その客は何度か電話をかけてきたというが……。
「最初は当時の支店長や上司から『お前が断われ』とか『お前の対応が悪いから』と言われましたが、結局最終的には支店長が出向きお客様の仰られる物を購入して対応をしていました」
とクレーマーの言いなりになってしまったようだ。上司のいい加減さまで垣間見えてしまい、男性は「この時会社の闇とSNSの普及によりお客様対応の難しさを体感する出来事でした」と振り返った。