2023年05月18日 13:51 弁護士ドットコム
テレビ番組の発言で名誉を傷つけられたとして、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が、前参院議員でジャーナリストの有田芳生さんを相手取り損害賠償などを求めた裁判の第1回口頭弁論が5月16日、東京地裁であった。有田さん側は請求棄却を求めた。この日の口頭弁論後の報告集会で、有田さんは「徹底的に戦う」と宣言した。(ライター・碓氷連太郎)
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有田さんは2022年8月、日本テレビ系の番組『スッキリ』に出演した際、国会議員と旧統一教会との関係について「やはり、あの霊感商法をやってきた反社会的集団だってのは警察庁ももう認めているわけですから、そういう団体とは今回の問題をきっかけに、一切関係をもたないと、そういうことをあのすっきり言わなきゃだめだと思うんですけどね」などと発言した。
これに対して、旧統一教会側は「一般視聴者をして、国家治安機関である警察庁が、統一教会は霊感商法をやってきた反社会的に集団であると認定していると認識させるものであり、原告の社会的評価を著しく低下させ、その名誉を毀損する」として、有田さんと日本テレビを提訴した。
旧統一教会側は、両者に損害賠償2200万円のほか、謝罪文の掲載や謝罪放送を求めている。
有田さんはこの日の口頭弁論後、都内で報告集会を開いた。集まった人たちを前に、今年1月に亡くなった民族派団体「一水会」元代表の鈴木邦男さんの著書『言論の覚悟』のタイトルを引用しながら、次のように述べた。
「『訴えられたことを誇りに思う』と意見陳述に入れて、法廷で語ることができた。まさしく『言論の覚悟』で反社会的な団体と戦ってきたから、訴えられてなんぼのもんじゃという気持ちでやっていく。徹底的に戦う。生きてるうちに戦う。シン・有田ヨシフとして頑張る!」
弁護団長の光前幸一弁護士は、今回の訴訟について「番組での発言を抜き出して名誉毀損だと言っているのは、バカげた訴訟であり、旧統一教会が反社会的集団というのは、社会一般に定着した公知の事実である。よって原告の名誉を毀損していない」と徹底的に戦う姿勢を見せた。
また、有田さんと同様に、番組での発言をもとに名誉毀損で訴えられた紀藤正樹弁護士などの事件を紹介しながら、裁判を契機に有田さんがメディアにおいて、旧統一教会について発言する機会がほとんどなくなったことにも触れた。
この集会には、東大名誉教授で宗教学者の島薗進さんや、旧統一教会について発信を続ける鈴木エイトさん、評論家の佐高信さん、東京新聞記者の望月衣塑子さんなどが登壇して、それぞれの立場から有田さんを激励した。