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『ビクトリノックス クラシックカラーズ』。いつも持ち歩きたい、小さなツールナイフ

2023年05月18日 11:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
これはかつて編集者として在籍していた「GoodPress」が取引先に配るために製作したスモールサイズのマルチツール「クラシックカラーズ」の樹脂ハンドル仕様。裏側に「GoodsPress」のロゴが入っている。


「工具好き」でなくても、だれもがちょっと心を惹かれるのがマルチツール。なかでもナイフを中心にしたもの。だから「ツールナイフ」とも呼ばれる。昔風に言えば「十徳ナイフ」だ。



ナイフを中心にハサミやドライバーやヤスリ、ピンセット、コルク栓抜きなど、いくつもの工具がひとつにまとまっているから、コンパクトで持ち運びしやすい。ひとつで何通りもの使い方ができるから「ちょっとあの工具があればな」と思った時、たとえばアウトドアキャンプのときは特にありがたい。実際に使う機会がなくても、持っているだけでうれしくなる。「いろいろできそう」な気分になれる。ただ何となくではあるけれど、それがうれしい。

○■マルチツール、それもナイフ型なら「ビクトリノックス」



そんなナイフ型のマルチツールのブランドといえばスイスの「VICTORINOX(ビクトリノックス)」と「WENGER(ウエンガー)」。19世紀末、国民皆兵制のスイスでスイス軍のキャンプ用の装備として開発・製造されてから世界に広まった。だから「スイス・アーミーナイフ」と呼ばれることもある。



ただウエンガーは2005年にビクトリノックスに買収されてその傘下になり、2013年にそのナイフ事業がビクトリノックスに統合されたので、ウエンガー・ブランドのマルチツールは現在、製造されていない。そして腕時計ブランドとして存続している。


ビクトリノックスのマルチツールは、本体が58㎜の「スモール」、91㎜の「ミディアム」、そして111㎜の「ラージ」の3種類。また名刺入れや定期入れに入るカード型の「スイスカード」というモデルもある。最も有名なのはミディアムサイズの「スイスチャンプ」だろう。



大小2種類のブレード(ナイフ)に加えて、うろこ引き、針外し、センチメートル単位とインチ単位の定規、ルーペ、せん抜き、マイナスドライバー、プラスドライバー、ワイヤーストリッパー、つまようじ、ピン、のこぎり、マルチフック、はさみ、ピンセット、キーリング、つめやすり、つめそうじ、メタルソー、金属やすり、加圧式ボールペン、リーマー(穴あけ)、千枚通し、のみ、コンビネーションプライヤー、ワイヤーカッター、端子つぶし、缶切り、コルクせん抜きなど全部で33もの機能が、長さ91×幅26×厚さ33㎜に凝縮されている。ちなみに重さは約185g。


○■昔のウエンガーのモデルも



自分で買う人は少ないけれど「あるとうれしい」「もらうとうれしい」ものだから、企業のノベルティーに使われることも少なくない。



当時、モノ情報誌「GoodsPress」(徳間書店)の編集者として1995年からスイス時計の現地取材を始めた筆者は、スイス土産として現地で購入して日本に持ち帰る一方で、スイス時計ブランドから取材のお土産として毎年のように、スモール&ミディアムサイズのこのツールナイフをいくつも頂いた。



また「GoodsPress」のツールナイフ特集の際に社販で格安で購入させてもらったりもした。


だからスモールサイズを筆頭に、3つのサイズをどれも持っている。ラージサイズはキャンプ用なので道具箱に入れたままだが、スモール&ミディアムサイズは、机の引き出しや道具箱、カバンや旅行用トランクのポケット、クルマのダッシュボードにも入れてあって、いつでもその気になれば持ち出して使えるようにしている。



なぜならこの2モデルの刃渡りはそれぞれ約5.2センチ、約3.5センチなので「6センチメートルを超える刃物については、何人も業務その他の正当な理由による場合を除いては、これを携帯してはならない」という、銃砲刀類所持取締法(銃刀法)の第22条に引っかからず、持ち歩いても大丈夫だからだ。



ミディアムサイズで持っているのが、旅行者向けの「ツーリスト」と、パソコンなどの電子機器を組み立てたり分解したりするときに便利なビットレンチやプライヤーが付いている「サイバーツールM」。


またいちばんの変わり種が、ウエンガーが時計工具メーカーのベルジョン(Bergeon)とのコラボで商品化した時計工具付きの「ミナトー(NINATHOR フランス語で時計のミニアトリエという意味)」。8種類の時計工具が組み込まれているが、ウエンガーブランドの消滅と共にディスコンティニュー(製造中止)になったモデルだ。


○■オススメはスモール・マルチツール



1本手に入れるならまずオススメしたいのはスモールサイズのマルチツールのベーシックモデル「クラシックSD」とこの派生モデルだ。スモールブレード(ナイフ)に加えてハサミ、爪やすり、マイナスドライバー、ピンセット、樹脂製のつまようじ、キーリングと7つの機能が長さ58×幅18×厚さ9㎜のサイズに凝縮されている。しかも重さはわずか21g。キーリングとしても使ってもいい。


機能の中でも便利でよく使うのが超小型のハサミ。封筒を開封したり、商品タグのプラスチック製の紐(ループロック)を切って取り外したりするときは本当に便利だ。個人的にはミニ文房具よりこちらの方が使いやすい。



ただこのスモールサイズでも、飛行機の機内に持ち込むことはできないから、乗る予定がある場合は要注意だ。国内線なら、チェックインの際にお預けして、到着地で返してもらった経験があるが、国際線の場合はそんなことはしてもらえない。セキュリティチェックゲートで自主的に「捨てる」か、没収されてしまうことになる。大したものではないけれど、お気に入りの道具を「捨てる」のは悲しい。



個人的に今、ぜひ実物に触れてみたいのがスモールサイズの「クラシックSD」のスペシャルバージョン「クラシック SD ブリリアント ダマスカス」。その名の通りナイフマニア垂涎のダマスカス鋼を素材に使った逸品。使い切れないほど何本も持っているので、ただ憧れているだけなのだけれど。


最近のモデルにはネイルクリッパーなどパーソナルケア機能をビルトインしたものや、プライヤータイプで大型で工具としての機能性を追求した「スイスツール」などもあるし、ハンドル部分にウッドなど定番のABS樹脂とは違う素材を使ったものもある。



カラーバリエーションも豊富だからまだお持ちでない方はぜひ1本、手に入れてみては?



文・写真/渋谷ヤスヒト



渋谷ヤスヒト しぶややすひと 時計ジャーナリスト、モノジャーナリスト、雑誌編集者。大学法学部入学後、書評誌「本の雑誌」の助っ人を経て卒業後は出版社で文芸編集者、モノ情報誌の編集者に。食品からおもちゃ、文房具、家電、スマートフォンやPC、時計、クルマ、ファッションまであらゆるジャンルで「本当に良いモノ」を追求した記事を企画・編集・執筆中。時計ブーム最初期の1995年から開始したスイス時計の現地取材がライフワーク。編著書にセイコー腕時計の歴史をまとめた「THE SEIKO BOOK -時の革新者セイコー腕時計の奇跡」(1999年刊・絶版)がある。 この著者の記事一覧はこちら(渋谷ヤスヒト)