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「桜美林大学がなくなる」私腹を肥やすモンスター理事が学園を私物化! 学校関係者が怒りの告発

2023年05月17日 07:00  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

本部がある東京・町田の桜美林学園の広大な敷地には、大学だけでなく中高の校舎も

「たった1人の常務理事が、学園を私物化しているのです。役員報酬を不正に増額し、不当な人事が横行し、理事長もまるで言いなり。完全に権力を掌握している様は、まさにモンスターですよ」

 そう内に秘め続けた思いを吐き出すように語るのは、桜美林学園の関係者。

東京・町田市に本部を置く学校法人桜美林学園が私物化される

 桜美林学園は、東京・町田市に本部を置く学校法人だ。同法人は2021年に創立100周年を迎え、キリスト教系の幼稚園、中高一貫校、大学を有する。大学からは、タレントのインリン・オブ・ジョイトイや俳優の磯村勇斗などを輩出している。

 そんな桜美林に、いま異変が起こっている。  

発端は2020年に佐藤東洋士(とよし)7代目理事長が急逝したことから始まります。佐藤さんはトップダウンで物事を決めていく“カリスマ”であり、悪く言えば“独裁者”でした。しかし、圧倒的な経営センスを持っていたのです。少子化によって大学全入時代へと突入することを見越し、大胆な改革を打ち立てたことで受験者数は増加。かつては学生数が4000人程度でしたが、今や1万人規模の大学にまで成長させたのです。そんな佐藤さんによって閑職へと追い込まれていた人たちが、“カリスマ”の死によって復権を目指し始めました」(同・学園関係者、以下同)

 佐藤氏が亡くなった2020年10月18日から数日後のことだった。佐藤氏の“独裁”を不満に思っていた学園職員たちが集まって会食をする。

「そこで“佐藤に好き勝手やられたままでいいのか。このままだと佐藤が可愛がっていたアイツが次の理事長になってしまう”などと話し合いが行われた。そして、桜美林の卒業生で中高の校長だった大越孝前理事長を“復権の神輿”に担ぐことを決めるのです。集まった職員たちは、ある男に“あなたが実権を握ってください”と話していました」

 その“ある男”こそ“モンスター”濱健男常務理事だ。

「濱は元文部科学省の役人で、私立学校の監督官として働いていたため、私学経営に精通している人物です。大学に新たな学部を作るときなどの文科省対策として、佐藤さんが採用したのです。学園では10年以上にわたって事務局長として働き、最終的には事務方のトップである法人本部長に上り詰めました。2017年には学園の常務理事になりますが、たった1年で佐藤さんに理事から外されてしまいます。文科省とのパイプ役として活躍した濱としては“あんなに力を貸してやったのに”と、相当な不満を持っていたはず」

役員報酬に関する稟議を起案

 当時は学園顧問で評議員という立場でしかなかった濱氏だが、文科省で培ったその政治力を発揮する。発信力のある外部理事を口説き、当時、常務理事であった現・東京都議のK氏に協力要請を取り付けるのだ。これにより理事会で大越氏が賛成多数によって理事長へと選出される。それが2020年11月のこと。

「かつて濱の部下であり、法人本部で部下のいない“1人部長”だったG氏が、1本の稟議を起案します」

 それこそが大越氏の役員報酬に関する内容だった。

「本来は総務部長が起案するのですが、2020年4月に佐藤さんに指示されて、Gは役員報酬の起案をしていたんです。普段は大学運営に重要な案件も他部署に丸投げしたり、放置したりする人なのに、なぜかそこだけは素早かった。Gの稟議では、佐藤さんと同額の年間2640万円の報酬が設定されていたのです」

 佐藤氏は2020年に私立大学協会の会長に就任していたこともあり、政治的な活動も必要なため、前年度よりも多く報酬が設定されていた。

「さらに佐藤さんは理事長だけでなく学園長も兼務していた。中高の校長でしかない大越前理事長が同じ金額というのはおかしい。本来なら年間2000万円が妥当だと思います。理事長に据えただけでなく、役員報酬も増額して、大越前理事長を完全に懐柔しようと考えたのでしょう。適正な手続きに則っていない明らかに不当な増額です

 学園の規程では役員報酬は稟議をはかり、理事会で承認を得ることが必要だ。しかし、大越氏の役員報酬は稟議のみで決定したという。ただ、これは学園の規程に違反しているだけでなく、法律にも違反している状態だと話す。

「私立学校法(以下、私学法)では2019年の改正により2020年度から役員報酬の具体的な支給基準を示し、公表することが義務付けられています。佐藤さんは、基準を作成して公表することを指示していました。しかし、亡くなったことで、宙に浮いたままに。つまり、2020年度の役員報酬は、その基準が示されないまま、恣意的に決定された私学法違反の状態なのです

 大越氏の報酬問題に加え、不穏な動きが重なっていく。

暗躍するモンスター

「さらには常務理事兼理事長代理という学園の規程にない新たに作った役職にK氏を据え、その役員報酬も稟議のみで年間120万円増額されました。大越氏が理事長に選任されるため便宜を図った見返りでしょう。それに加え、学園の中枢部署である法人本部に副法人本部長という役職が新設され、そこにGが就任しました。副法人本部長という立場を手に入れたGは、ここから濱の手足として暗躍します」

 役員報酬の不当な増額や、不当な昇格人事に疑問を持った職員たちは、大越氏に詰め寄るが……、

「大越前理事長は、学園のトップである自分の給料に文句を言われて逆ギレ。すると濱の手下であるGは“あの職員たちを処分しますか?”とささやき、大越前理事長に何の根拠もない懲戒処分を下させます。Gからすれば邪魔者を排除できると考えたのでしょう。職員の1人はこのパワハラ懲戒に異を唱え、裁判所に提訴した。学園との係争は、現在も続いています」

 濱氏を筆頭とする復権派が学園内で力をつけていく中、危機感を覚えた職員のひとりが立ち上がる。学園の公益通報窓口に役員報酬の不正を告発したのだ。内情に詳しい、学園の元職員が話を引き継ぐ。

「この告発に対して学園の業務や財産状況などを監査する監事3名が、大越前理事長とK氏の役員報酬の支給は私学法に違反していると認定します。また、K氏のために勝手に作った“理事長代理”という役職にも問題があること、Gのために作った副法人本部
長という役職をもうけることも理事会での承認が必要だとされました」

 これに大越氏は、是正すると回答をしたのだが……。

「2021年3月上旬には、役員報酬の新基準が策定され、2021年4月に施行されました。しかし、学園はあくまでも2021年度からの新基準であり、2020年度の役員報酬を支給する根拠とするのを拒否しました。なぜなら新基準を準用すれば大越前理事長は、報酬の一部を返還する必要がでてくるためです」(同・元職員、以下同)

 大越氏は佐藤氏のように私大協会の会長でもなければ、学園長でもない。なのに、役員報酬は600万円ほど高く設定されていた。

「このタイミングで、学園内のトラブルに嫌気がさした外部理事や監事がいっせいに辞任したのです。旗色が悪いと思ったK氏も辞任し、役員報酬を寄付という形で返還しました」

 外から見ても、異常事態が発生していることは明白だった。そして、ついに濱氏が表舞台へと登場してくる。

モンスターたちの非道さ

「理事たちが辞任をすると、根回しをした濱が常務理事に内定します。すると3月下旬、濱やGは“責任を取って辞めろ”と大越前理事長に詰め寄った。全ての責任を大越前理事長になすりつけ、切り捨てようとしたのです」

 学園に混乱を招いた責任をとって、大越氏は辞任する。

「2021年3月31日には、役員報酬の違反について第3者委員会で私学法違反の状態だとする調査結果がでました。理事会に是正を求めるものでしたが、濱が“終わった問題”と理事会で虚偽の説明をして握りつぶします」

 権力を手にした濱氏は、その地位を確固たるものにするため、報復人事を始める。

 現役の学園職員が明かす。

「学園内部で、目に見える異変が起こったのはこの頃からです。2018年に学園改革のため、佐藤さんが有能な人材を募っていました。そこで採用された人のほとんどは、不当な人事によって配置転換をされました。外部との交渉がうまい人が施設管理をさせられたり、佐藤さんの秘書もまったく関係のない部署へと左遷させられたりしました。そして後任に就くのは、濱に連なる職員たちなのです。

 職員の人事評価をすり合わせる人事評定会議も、不当人事が横行しすぎて説明できず紛糾しました。ここ2年は開かれていません。もはや怒りを通り越して、笑えてきます」

 職員たちは、大越氏の後任となった新理事長に学園の正常化への期待を寄せたが、その思いは裏切られる。

「2021年4月に就任した小池一夫理事長は悪い人ではありませんが、濱の言うことに従うだけ……。“私に重要なことを判断させないでくれ”と話したときには呆れました。濱はいつも理事長室に入り浸っていましたよ。扱いやすい駒にする“教育”を、小池理事長に施しているように見えました。副法人本部長だったGを、理事会で法人本部長へと推薦したのも濱なのです」(前出・元職員)

 この際、一部の常務理事は学園に混乱を招いたとして、ヒラ理事に降格されていた。

「それなのに、最初に問題となる役員報酬の稟議を起案したGだけ昇進している。これは常務理事が濱と、濱の言うことにうなずくだけの小池理事長と、新たに選任された3人のみだったため。これにより、常務理事会ではすべての議案が2対1で決議され、濱の思惑どおりに物事が進んでいくようになったのです」

 学園での権力を掌握した濱氏は、佐藤氏への“恨み”を晴らすかの如く、残った抵抗勢力を徹底的に排除した。

難癖のような懲戒処分で脅しも

濱を批判していた職員は、難癖のような懲戒処分がくだされ左遷。最後まで濱と戦っていた財務課長も異動させられてしまいます。粉飾予算を指示するなど、めちゃくちゃなことをしていたのですが、それをずっと抑えていた人でした。その財務課長は濱から“そんなことをやっていると学園にいられなくするぞ”と脅されたこともあったそう」(前出・現役職員、以下同)

 その財務課長だった職員こそが、学園のため不正を告発した人物だった。濱氏の横暴を食い止めていた人がいなくなり、学園の経営も傾いていく。

「財務課長が濱の息のかかった後任に代わって、国からの補助金は1億円減っています。毎年11月に行われる予算説明会でも優秀な財務課長が異動になり、G法人本部長が主導しての説明会が行われました。しかし、ありえない予算編成に各所属長は怒って説明会は紛糾します。Gはしどろもどろになり、意味不明なことを口走る始末でした。すると、2022年度からYouTubeで動画が公開され、質疑応答はいっさい受けない形になりました」

 問題はこれ以外にも。

「2020年9月に経営不振から休園が決まっていた幼稚園も、なぜか2021年8月に再開することが決まりました。この幼稚園の園長も、濱派のひとりです。園長のポストを維持するためだけに再開したとしか思えません」

 学園は、幼稚園の保護者に向けて休園の説明会も開催していた。きょうだいを同じ幼稚園に通わせたいと訴える保護者もいたが、募集を停止。なのに、突然それを覆した。

「そんないい加減な幼稚園に大事な子どもを通わせたいとは思わないでしょう。募集を再開しても、入園者は集まらず経営は悪化。今は年間7000万円ほどの赤字を垂れ流し、学園の経営を圧迫しています。

 佐藤さんは桜美林大学の生き残りのために新キャンパスを建設するなど、大胆な改革を続けていた。そのため学園には多額の借金があるのです。だからこそ、将来性のない事業は切り捨て、経営を引き締める必要があるのに……」

 2000年以降、大学の閉鎖が相次ぐ。直近では恵泉女学園や神戸海星女学院が新規学生の募集を停止した。今は、どの大学も生き残りに必死だ。

 別の現役職員は、学園の業務が停滞していると明かす。

とにかく混乱していますよね……。必要な稟議も、内容ではなく文書にいちゃもんをつけて止められる。個人的な恨みを、関係のない私たちに向けて晴らしているようにしか思えません。学生たちに影響が出ないよう、必死です

不透明な人事で学園を去る職員たち

 不透明な人事も変わらない。

今年4月には、学園内の掲示板に《予算の都合から昇格人事は行いません》と書かれた貼り紙がなされました。なのに部長職3人を外部から採用する。内部で昇格させたほうがお金はかからないのに……。ある担当者は学園の無駄な支出を見直すため、外部業者の再選定を提案するも、濱は“桜美林は地域とともに歩むんだ”と意味不明なことを言って拒否したそうです

 このような現状に、若手や有能な職員が何人も学園を去った。休職する職員もいた。

「今や常務理事となった濱は、年1500万円近い報酬を手にしている。顧問や評議員時代の少ない給与とは、比にならない金額です。さらには濱の指示で外部顧問を複数人雇い、予算外から約2000万円を支出させたとも聞いています。学生が納める学費や、国から税金を原資として支出される補助金は、学生や学園の未来のためではなく、濱やその取り巻きに浪費される一方です」(前出・学園関係者、以下同)

 2021年に日本大学の理事長が、大学を私物化し、脱税や背任行為の疑いで逮捕された事件は記憶に新しい。

「濱のやっていることは仲間や自身が私腹を肥やすため学園を私物化し、学園に損害を与えていると言っても過言ではありません」

『週刊女性PRIME』は事実確認のため、桜美林学園の広報に質問状を送付したが、期日までに回答はなかった。

「2022年5月、匿名での通報があったため、文科省は濱とGを呼び出して聞き取りを行ったようですが、濱に世話になった文科省の人間も多いためか、追及は及び腰です。今、膿を出し切らなければ近い将来に桜美林大学が、ひいては学園がなくなってしまう。現役の学生や卒業生たちのためにも、それだけは食い止めないと……」

 桜美林の未来やいかに――。