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『ソフト/クワイエット』不穏な空気が漂うイラストポスター公開。七尾旅人、マヒトらのコメントも

2023年05月16日 19:10  CINRA.NET

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Text by CINRA編集部

5月19日公開の映画『ソフト/クワイエット』のイラストポスターが到着した。

ベス・デ・アラウージョ監督の長編デビュー作となる同作は『ゲット・アウト』『セッション』などのブラムハウスが製作するクライムスリラー。アメリカで社会問題化しているヘイトクライムの狂気を92分全編ワンショットで描いている。

イラストポスターはペインティングバージョンと線画バージョンの2種類。柳智之(ex.cero)の作品を、坂脇慶がアートディレクションした。ポスターは公開劇場で先着配布。詳細はオフィシャルサイトをチェックしよう。

また同作を鑑賞したマヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)、七尾旅人、柳智之、東紗友美のコメントが到着した。

【マヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)のコメント】
数多の映画が省いてきたカット後の時間によって、ドキュメンタリーとも呼べる緊張がうまれ、動揺する波として数えられた私は白人至上主義者の一員の視点として90分間の奇行に同行し、最後現実という虚空に裸のまま放たれる。

【七尾旅人のコメント】
筋金入りの白人至上主義者や、社会からの疎外感を“有色人種への嫌悪”に結びつけてしまった、ある意味では平凡な人々が、仕事帰りの密やかな会合から、やがておぞましいヘイトクライムへと至る様を、90分ほどのワンショット撮影で描写。同じブラムハウスが手掛けた傑作ホラー『ゲット・アウト』の知的で抑制的な恐怖演出と無意識に比べてしまっているうちは、この狂騒的で救いのない物語が最終的に何をもたらすために企図されたものなのか掴みづらかったが、カラードの女性監督による作品であることと、作中で、昼間から黄昏時を挟んで夜に至るまで、一度もカメラが途切れないまま演技が続いていくことに気づいた2度目の視聴では、陽が落ちるにつれファナティックさを増し、瓦解しながら夜の暗がりへと呑み込まれていくこの悪夢的な時間を具現化して見せた制作陣と役者陣の凄みに背筋が凍った。まるで街路に飛び出した演劇のようでもある。カラードが抱える切迫した身体感覚が、強いライブ感を伴いながら現実を引きずり寄せ、変化を拒み続ける古い社会の喉元に突きつける。かつて人種問題やレイシズムを扱った映画は、リベラルな他者(非当事者)が人間の尊厳を重厚にドラマティックに描ききるというものが多かったが、より広範なジャンルで被差別当事者が意欲的な作品を提示する機会が増えつつある現在のダイレクトさをつよく表している作品のひとつだと思う。

【柳智之のコメント】
1カットで魅せる狂気のクレッシェンド。その繊細なグラデーションとレンジの広さに驚愕し戦慄する。

【東紗友美のコメント】
華やかな女子会も一歩間違えば悪口大会。どうやらそれはどこの国でも変わらない。でもさすがにこれは、ヤバいんじゃ?映画史に残る、凶悪女子会ここにあり。いや、凄いもの見てしまった…。本物の恐怖と対峙する。大好きだった女子会。しばらくしなくて良いかも…あれ?私、この映画に相当やられてる!?

『ソフト/クワイエット』©︎ 2022 BLUMHOUSE PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.