求人情報に掲載されていた仕事内容と実際が大きく異なる、という経験談が数多く寄せられている。都内に住む30代女性(企画・マーケティング/年収400万円)もその一人。もともと広報の仕事をしていて、キャリアアップを目指し転職したが「内定から入社までの間に組織が変わり、企画の仕事に」なった。ところが、
「企画といっても名ばかりで、実際は『現場を知らないと企画はできない』という名目で週に3~4日店舗に入って接客販売」
と希望していた職種とは全く違う仕事をするはめになった。(文:林加奈)
「現場を知らないと企画はできない」という名目で接客させられる
おまけに思いがけない長時間労働となった。
「店舗の人員不足でそのうち土日も駆り出されるように。勤務時間も店舗の営業時間に合わせて就業がほぼ毎日20時過ぎ」
人手不足の現場に配置されたのは誰の目にも明らかだ。女性は「もう十分現場の仕事もお客様の動向も知ることができた」と判断し、人事に店舗勤務はいつ終わるのか尋ねたところ、こんな回答だった。
「『店舗の人員と教育が安定するまでお願いしたい』と歯がゆい返事。その間に若い店舗スタッフはどんどん辞めて行ってしまい、『人員安定なんていつだろう……』という感じで、このままでは永遠に接客しかできないと思い、退職しました」
女性は本来希望していた仕事とは異なる仕事を半年間続けて退職した。キャリアアップどころかキャリア停滞で、退職の判断は妥当といえるだろう。今回は失敗した女性だが、次の転職には成功している。
「在職中に転職活動をし、今は別の会社で広報としてキャリアを積めているので、早く辞めて良かったです」
と前向きに綴っていた。