先月、信じられない目に遭った。朝からパチスロをしていたところ、みるみる5万円、6万円、7万円と消えて行き、一時は9万円目の諭吉を失うところまで追いつめられた。今のパチスロって、30分ちょいあれば1万円は負けることができるので、この大負けだってせいぜい5時間以内で起こり得る事態なんだけど、滅多に発生しないレアケースなので、非常に戸惑ってしまった。
ダメな日ってのは何をしてもダメなもので、本当に何もできないまま、自分の無力さを痛感してしまった次第である。結局終わってみれば5万ちょいの負けで済んだが、たしか1日で9万円も使ったことってこれまでなかったので、後半はホアキン・フェニックスが映画『JOKER』で化粧台の前に座って見せる地獄みたいな表情になってしまっていた。いやぁ、のめり込んでもいいことないですね。ギャンブルって怖い。
しかし世の中には、僕みたいな愚かな人間など他にもまだまだいるものなのである。今日はそんなガチのギャンブル狂いの話をしたい。(文:松本ミゾレ)
現実を直視できず丸一日気絶
先日、ぼくらの5ちゃんねるに「【悲報】【世界一不幸】昨日パチスロで9万負けた俺現実を直視できず丸一日気絶」というスレッドが立っていた。以下はそのスレ主の言い分。
「今目が覚めた。銀行口座には残り1700円しかなくて絶望している。気絶してたから仕事も無断欠勤しちゃったしもうやめようかな……何やってもうまくいかない人生難しすぎるなんでいつも俺だけこんな理不尽な目に遭うんだよ……」
とこんな具合。つまりこの人、全財産が9万ちょいしかないのに、そのほぼ全てをパチンコホールのサンドにぶち込んで大負けしてしまったわけだ。
ちなみにその仕事というのが日雇いのバイト。つまり正式な勤め人ではないようだが、近々内定をもらえた企業に入社予定ということなので、まあ夜明けの前が一番暗いって言うし、今が一番しんどい時期だということなんだろう。
そんな状況で随分な大勝負に出たもんだって思っちゃうけど、気持ちは分かる。そしてスレ主、内定はもらえたものの、そこに至るまでの転職活動では47社を受けたとも書き込んでいる。今現在の就職活動ってここまで厳しいんだね……そりゃギャンブルで発散したくもなるか。
…ってお前借金持ちやんけ!借金してするギャンブルはギルティ…
と、なんとなくスレ主に同情しそうになったものの、スレッドをよく読むとこの人、普通に借金持ちであると書き込んでいる。「現在借金470万突破……もう無理」とある。
470万も何のために借金しちゃったのか判然としないが、そんなに多額の借金があるならとりあえず9万返せば少しだけでも身軽になれたのに! なんで借金してるのに返済せずにギャンブルしちゃうんだろう。
こちらのコラムでは何度も主張してるけど、ギャンブルはなくなってもいいお金でするもので、借りたお金使ってまですることじゃないのに。そして僕の周りには、他人さまから金を借りた上でギャンブルをしたことで、返済もせず消息不明になった人も数人いる。
借金してギャンブルをするってのは、クズへの特急券になっちゃうのだ。だから絶対、これを読んでいる聡明すぎる読者さんは、同じ轍を踏んじゃだめだぜ!
……と、こんなことを言ってはみたものの、世間のギャンブル好きなんてのは大体このスレ主と似たようなもので。スレッドにはなかなかに怠惰で、終わっている書き込みも目立っていてそれはそれで面白いので、ちょっといくつか引用させていただきたい。
「借りた金でパチ打ち始めてからがスタート」
「債務整理中だけどパチンコ行くわ」
「ゴミだよ俺なんて……人としての尊厳なんて残ってない」
と、こんな感じでギャンブル依存の人たちの赤裸々な書き込みがいくつも。パチンコホールにいる人のすべてがこういうメンタリティでやってるわけではないけど、まあ、そういう人も多いんだねぇ。