中年になるとゲームをできなくなる人って多い。子供の頃は「そんなわけあるかいな」とか思っていたが、今年39になる僕は既にゲームハードを最後に起動したのがいつかも思い出せない。
PSNなんてログインするたびに期限切れになって再加入するんだけど、都度すぐに遊ばなくなってお金が無駄になってしまう。
ゲームをしたいという気力は、今やほとんど消え失せている。近々『アーマード・コア』の新作も出るが、恐らくこんなんじゃ仮に買ったとしても昔ほどやりこんだりは出来ないだろう。『サイレントライン』で自分の動きをトレースさせるAIを日々学習させまくっていたあの頃のやり込み王の姿はもうどこにもない。
しかし、唯一僕が数か月おきというスパンながらも発売日から継続して遊んでいるタイトルがある。それが『fallout76』だ。オープンワールドゲーとしては非常に著名で、今なお精力的にアプデが行われているゲーム。間もなくガメラみたいなアボミネーションも登場するようで、怪獣好きとしても注目している。(文:松本ミゾレ)
オープンワールドは、目的なくぶらつくと面白いことが待っているのがいい
先日、5ちゃんねるに「オープンワールド『ワクワクするのは序盤だけで結局ファストトラベル多用する説』」というスレッドが立っていた。ファストトラベルってのは、広大なフィールドをワールドマップ上から任意の場所を選んで瞬間移動できるという機能。徒歩や乗り物を使って移動するよりも、時間を節約することができるので忙しい人にもオススメの機能だ。
僕もファストトラベルはたまに使う。だって便利だし。ただしオープンワールドって基本的にほとんどのエリアがシームレスで繋がっているので、地図を見ながら右往左往して土地勘をつけることができる。現実世界と一緒ね。
だからファストトラベルを極力使わずに徒歩で移動することで、自分が今ゲームの中の世界のどのあたりにいるかも把握できるようになる。ファストトラベルに頼りきりだと、この土地勘を培うことができないのだ。まあ、だから損ってわけでもないんだけど。
僕はリアルでもゲームでも散歩が好きなので、オープンワールド系のゲームは基本的に1回起動するたびに必ず徒歩での移動に時間を割くようにしている。時間経過によって景色も変わるのが面白いし、以前ふらふら歩いているときに偶然出会ったイースターエッグやNPCと再会すると、なんとなく得した気分にもなる。
また『fallout76』の場合は好きな場所に家を建てられるので、お気に入りの景勝地探しも捗るのである。よりゲームの世界観を楽しむために、徒歩での移動をすることが多いというわけだ。もちろん、遊んでる最中に「市民のみなさま…」というアナウンスが流れたら核が落とされるので、急いで爆心地にファストトラベルするけれど。
意外とフラフラ散歩するゲーマーは少ない…?
しかし先ほど引用したスレッドには、ファストトラベル多用派がやや多いのか、オープンワールドでうろうろして遊ぶという人の書き込みは少ない。むしろそういった遊び方は想定していないとする意見が目立つ。ちょっとその例を引用のもと、紹介させていただきたい。
「結局ファストトラベルしか使わなくなるからならエリア制でええやんってなる」
「オープンワールドって暇人向けのシステムなんだよね」
「むしろFT(※編注 ファストトラベル)スポット登録するために探索してる感すらある。どうせお使いクエストばっかりだろうから全部無視して先に全域FTできるようにしとこうみたいな。そして、クエストがFTリスト選択だけの完全な作業になる」
「知らない所を探索するのが面白い、それが重要で本質。見知った道をトコトコ往復するのは時間の無駄。ファストトラベルは必須」
僕はこのような意見も凄い大事だと思う立場だ。だってオープンワールドって徒歩移動で攻略もできれば、ファストトラベルを使って便利に時短しての攻略もできる。結局プレイヤーに遊びの選択肢が複数用意されているわけで。
この、やり口の多様性が好きなんだよね。効率重視でガンガンストーリー進める人も、じわじわ最初のスタート地点からうろうろ遊んでるような人も、どっちも共存できるのがやっぱり楽しい。遊び方の違いが目に見えて分かるんだもの。
ファストトラベルをする人はどんどんすればいいし、ロールプレイングにこだわり、山野を行くタイプの人は虫や獣にどんどん襲われればいいのだ。ぶっちゃけどんなゲームも、最後はワクワクしなくなるんだし、味がしなくなるまで好きなように遊んでみるのが一番健全だよね。たとえ全クリできなくても。