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フジ医療器『ロースタイルマッサージチェアH AS-LS1』。6年間使い続けた感想と提言

2023年05月03日 11:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
○■全身の凝りと痛みに悩まされ、吟味して買ったマッサージチェア



現存する世界最古の椅子は、エジプト・カイロの考古学博物館収蔵の「ヘテプヘレス王妃の椅子」で、紀元前21世紀に製作されたものと推定されている。


古代エジプト文明の頃、背もたれのある木製椅子は、権威を表す道具として用いられていたのだそうだ。


一方、同じ古代エジプト文明ではマッサージもすでに存在し、象形文字で描かれるほど一般的だったし、中国でも5000年以上前から伝統的なマッサージがおこなわれていたのだそうだ。

リラクゼーションや痛みの緩和に有効な手段として世界中で広く認知されたマッサージについては、ヒポクラテスやアリストテレス、ソクラテスも書き残し、ジュリアス・シーザーは持病であるてんかん発作の痛みを緩和させるために受けていたとされる。



さて…。

いささか大上段に構えすぎちゃったけど、本題の方向に持っていかなきゃなと考えている筆者は、今、自宅のマッサージチェアに座り、膝の上に置いたPCで本稿を書いている。

座っているのはフジ医療器の『ロースタイルマッサージチェアH AS-LS1』という機種だ。


こいつを購入したのは6年ほど前のこと。

40代後半に差し掛かっていたその頃の僕は、いつも体じゅうの凝りに悩まされていた。

フリーの編集者兼ライター/コラムニストであるため、基本的に一日中、自宅の自室でPCに向かって作業をしている。

長時間にわたって同じ姿勢をとり続けることに加え、PCの画面を見つめ続けることによる眼精疲労から、首、肩、腰が凝り固まり、痛みを伴うこともしばしばだったのだ。



そこでマッサージチェアを買おうと決めたのだが、大きくて存在感のある家具だから、できるだけインテリア性が高くてコンパクト、そしておしゃれなものにしたかった。

マッサージチェアを積極的に扱っている家電量販店などを回り、見た目の良さもさることながら、マッサージ効果も高いことをしっかり確認し、購入に至ったのが本機なのである。

○■マッサージチェアが誕生してから、著しい進化を遂げるまで



前述のように、大昔から存在していた椅子とマッサージだが、その両者を組み合わせたらどうなるかという、ツタンカーメンもびっくりのアイデアが生まれたのは、20世紀になってからだった。



世界初の量産型電動マッサージチェアが発売されたのは1954年。

フジ医療器の創業者、藤本信夫が考案・開発した『フジ自動マッサージ機』がそれで、モミ玉がついた2本の金属棒が、垂直の背もたれから突き出た構造のものだった。『フジ自動マッサージ機』は、肩をもみほぐすためにモミ玉が左右に広まったり狭まったりする単純なものだったが、それから幾星霜…。


マッサージチェアは、技術革新によって著しい進化を遂げた。

現在のマッサージチェアは全身を包み込むように大型化し、多彩な機能を搭載した製品が数多くリリースされている。

ユーザーの体型や好みに合わせた最適なマッサージプログラムが選べたりするのは当たり前。

電動オットマン付きのリクライニング機能で、ゆったり水に浮かんだような感覚に浸ることができ、3Dマッサージ機能、空気圧式マッサージ機能、手足マッサージ機能、温熱機能などなどによって、何人もの腕利きマッサージ師による全身施術を、同時に受けているかのような、めくるめく体験ができるようになっている。


でも、我が家の『ロースタイルマッサージチェアH AS-LS1』は、そういう機能性バリバリの、最強マシーンではない。

“やすらぎ”“パルス”“ハードパルス”という三種の自動モードから選ぶことがきるが、体型や体調に合わせた細かい調整ができるわけではない。

骨盤や座面に空気圧マッサージ機能は組み込まれているが、手や足をもみほぐしてくれることはない。

手動調整もできるが、首を中心にするか腰を中心にするかの選択で、モミ玉の高さや位置も、そこまで細かく設定することはできない。

跳ね上げ式の単純なオットマンはついているものの、リクライニング機能はないので、座り心地も調整はできないのである。

だから、「マッサージ効果は高い」と書いたが、それはまあそこそこで、スーパー銭湯や温泉に置いてあるような、超多機能の最新マッサージチェアとは比べるべくもない。



僕も選ぶ段階では、もっと機能性が高い本格マッサージチェアにしようかと、いささか迷ったりもした。

でも最終的に『ロースタイルマッサージチェアH AS-LS1』にしたのは、やはり何よりもこのデザイン性に惹かれたからである。



機能性が高いマッサージチェアは、そのぶん図体もでかいし、デザイン性をうんぬんするものでもない。

それが家の中にドンと鎮座するのは、ちょっと避けたいと思ったのだ。



マッサージチェアが欲しいといっても、その頃はまだ40代だったし、家の中であまりにも“マッサージチェアでございます”と主張されても困ると思った。

それに、本格的なマッサージチェアはきっと、これから歳をとって、全身がさらに言うこときかなくなってきたらマジで欲しくなるだろうから、そのときの楽しみにとっておいてもいいと思った。



ありていに言えば、あまりに爺さん臭いマッサージチェアは避け、デザインと機能性のバランスが取れたシャレオツなブツをセレクトした結果、我が家に迎え入れたのが『ロースタイルマッサージチェアH AS-LSI』だったのだ。

○■機能的にもデザイン的にも気に入っているが、ここを改善したら最高なのに



購入から6年使い続けてきた感想は、そのときの選択は間違っていなかったというものだ。

本格マッサージチェアと比べずっとコンパクトなので、家の中に置いてあっても邪魔にはならない。

ちょっとミッドセンチュリー的な雰囲気を醸し出すデザインなので、家のインテリアに溶け込んでいい感じだ。

今のところこのマッサージチェアで、体の凝りは十分に癒されている。

マッサージ機として使わないときは、首と背中に備え付けのクッションをはめておけば、普通のチェアとして使える点もいいところだ。


もうひとつ、このマッサージチェアの特筆点として挙げるべきなのが、“オーディオ機能”がついているところ。

外側に計三つのスピーカーが組み込まれており、側面のジャックにスマホなどをつなげば音楽を流すことができるのだ。


しかし残念ながら、僕はあまりこの機能を使っていない。

マッサージチェアのオマケだから音質はそこそこで、部屋の中には他にオーディオ機器があるから、わざわざこちらを使う必要性を感じられないのだ。



僕がもしこのマッサージチェアの開発チームにいたら、スピーカーは絶対に外向きではなく、内向きに設置するよう主張していたと思う。

外にいる人に向かって音を出すのではなく、チェアに座っている人だけに聴こえるようなスピーカーであれば、きっと僕も活用したのではないかと思うからだ。



マッサージチェアは、家族で一緒に過ごすリビングに置いてある。

自分だけが好きな音楽を聞いたり、スマホやタブレットで映画を見たりするとき、パーソナルな音空間が実現できたらどんなにいいだろうと思う。

それに、マッサージ機能を使わないときは、音と連動して座面が少し振動するボディソニックになったら最高だ。

もしそんなマッサージチェアがあったら、今すぐ買い替えてもいいくらいだけど。



どうですか、フジ医療器さん!



文・写真/佐藤誠二朗



佐藤誠二朗 さとうせいじろう 編集者/ライター、コラムニスト。1969年東京生まれ。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わり、2000~2009年は「smart」編集長。カルチャー、ファッションを中心にしながら、アウトドア、デュアルライフ、時事、エンタメ、旅行、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動中。著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』(集英社 2018)、『日本懐かしスニーカー大全』(辰巳出版 2020)、『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック』(集英社 2021)。ほか編著書多数。 この著者の記事一覧はこちら(佐藤誠二朗)