人間、あまりに追いつめられると「自分の中の何かがプツンと音を立てて切れる」ことがあるらしい。滋賀県に住む30代前半の男性(素材・化学・食品・医薬品技術職/正社員・職員)が、「私が滋賀の建設会社で現場監督をしていた時のバックレ談です」として
「まるでギャグマンガに出てくるような超ブラック企業で、私は何とか3年はそこで勤務できましたが、ある日、突然自分の中の糸がプツンと切れた音が聞こえました」
と衝撃的な過去を明かしてくれた。(文:okei)
どれだけ働いても「残業代は事実上1円たりとも出ない」
当時、「滋賀の田舎にある中小ゼネコンで現場監督」として働いていた。過酷な労働環境をこう振り返る。
「業界そのものがそうだったのか、うちが特に酷かったのかはわかりませんが、私の会社はどれだけ長時間労働、休日出勤をしても残業代は事実上1円たりとも出ない会社でした」
「かと言って元の給料が良いわけでもなく、数年そこで働いてもせいぜい手取りは日本の大卒の初任給の平均くらいです」
不満は賃金だけでなく、過剰な長時間労働にもあった。
「勤務時間は長く、朝の8時に現場に出勤する前に会社の倉庫に資材の積み降ろしに行くことがあるため、実際には朝の5時ごろから仕事をすることになったり、逆に夜は日付を超えても帰れないこともザラでした」
また平日だけでなく休暇も病欠も取れないという酷いありさまだったようで
「土日祝日もお構い無しで出勤となり、例えインフルエンザにかかっても休めず上記と同様の労働を強いられます。そのため、自分の労働単価が県の最低賃金を下回る月も少なくはありませんでした」
と酷いブラック労働ぶりを振り返る。そんな中、男性が「突然自分の中の糸がプツンと切れた音が聞こえました」と表現した瞬間が訪れた。
「“なんで俺、お金も貰えへんのに我慢してるんやろ”と思ってしまったのです」
「その日は日曜日でしたが、当然のようにサービス出勤でした。そんな中、私は現場の職人と口論になりました。職人が施工図と違うやり方で施工していたためやり直しを求めましたが、今さらそんなことできないと突っぱねられたことによる口論でした」
施工図の通り期間中に工事を終わらせるのが現場監督の仕事だ。実際に施工する職人に対し、男性はなんとか説得を試みるが……
「こっちはなるべく丁寧に、言葉を選びながら話すのに、相手はまるで言葉を選ばず感情的でした」
「まるで、大人の姿をした駄々っ子幼稚園児と話しているようでしたが、私にとってこんな口論は日常茶飯事で、本来ならそこまで気に病むことではありません。 しかし、その日だけは違いました」
「口論の最中、ふと脳裏に『俺、こんな日曜日にギャーギャーと理不尽なこと怒鳴られてるけど、この時ももちろん給料は1円も出えへんのよな。なんで俺、お金も貰えへんのに我慢してるんやろ』と思ってしまったのです」
その瞬間を、「はっきりの自分の中にある糸がプツンと音を立てて切れる音が聞こえました」と回想した男性。
「私は笑顔になり、職人に『そうですね、今さらやり直せないですよね。すいませんでした。そのまま続けてください』 と言い、現場監督としての一切の責任を放棄したのです。そして、とりあえずその日は退勤まで職場に居ましたが、帰宅後、私は所長に1本メールだけを入れ、二度と現場には行きませんでした」
その後「退職の手続きに本社には何度か行きました」というが、男性が現場に戻ることはなかったという。
「そもそも、実はその日の半年前には退職届を提出しており、本来は退職届提出2か月後には辞めている予定だったのですが、会社に『今は忙しいので退職を待ってくれ』と突然退職を遅らされている状態でしたので、特にやましい気持ちはありませんでした」
「それどころか、糸が切れたあの時、体を縛っていた鎖から解き放たれたような清々しい気持ちになったのを今でも覚えています」
と清々した様子で当時の心境を綴った。
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