Text by CINRA編集部
オリヴィエ・ダアン監督の映画『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』が7月28日に公開。ビジュアル、予告編、場面写真が到着した。
『エディット・ピアフ 愛の讃歌』『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』に続き「世紀の女性」を描く3部作のラストを飾る『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』は、アウシュビッツを生き抜き、人権のためにフランス議会で闘い、女性初の欧州議会議長となったシモーヌ・ヴェイユの生涯を描いた作品。シモーヌ・ヴェイユ役を演じたエルザ・ジルベルスタインは8キロ増量して作品に臨んだという。当時を再現した美術や衣装も見どころの1つとなる。
2017年に89歳で生涯を閉じたシモーヌ・ヴェイユは、1974年にカトリック人口が多数を占め、さらに男性議員ばかりのフランス国会でレイプによる悲劇や違法な中絶手術の危険性、若いシングルマザーの現状を提示して「喜んで中絶する女性はいません。中絶が悲劇だと確信するには、女性に聞けば十分です」と圧倒的反対意見をはねのけ、後に彼女の名前を冠してヴェイユ法と呼ばれる中絶法を勝ち取る。1979年には女性初の欧州議会議長に選出され、大半が男性である理事たちの反対の中で「女性の権利委員会」の設置を実現した。
ビジュアルは「世界を変えた、崇高なる不屈の魂」というコピーと共に、シモーヌがフランスから強制収容されたユダヤ人の名前が刻まれた「Wall of Names」を見つめる姿を切り取ったもの。
予告編では、家庭に入り学業を断念した母が幼いシモーヌに「勉強して自立しなさい。女性も働かないと」と言い聞かせる場面や、16歳で家族と共にアウシュビッツ強制収容所に送られ壮絶な体験を強いられた記憶、中絶法成立のために闘う姿、欧州議会で弁舌を振るう様子が描かれている。