■ 勝田文、J・ウェブスター「Daddy Long Legs」(集英社) □ 舞台を昭和初期の日本にリメイクして描かれる「あしながおじさん」 勝田文の短編集「Daddy Long Legs」に収録されている表題作は、アメリカの女流作家ジーン・ウェブスターによる小説「あしながおじさん」を昭和初期の日本の物語としてリメイクした作品。お金持ちの若旦那・辺見千尋は、賛助員として視察に行った孤児院でユニークな作文を書く少女・いつきを気に入り、彼女の後見人となることを決める。援助をする条件として彼がいつきに命じたのは、月に1度手紙を書いて寄越すこと。親しみを込めて彼に「あしながおじさん」という愛称を付けたいつきは、手紙を書きながら会ったことがない「あしながおじさん」への思いを募らせる。一方で、顔を知られていないのをいいことに女学校を見学に来た千尋は「あしながおじさん」としてではなく、いつきのルームメイト・純子のおじさんとして彼女の前に姿を現し……。