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ジャニオタの憂鬱 カウアン・ショックで「肩身狭い」「事務所は時代の変化に対応を」

2023年04月23日 08:21  弁護士ドットコム

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ジャニー喜多川さんの「性加害」を告発した元ジャニーズJr.岡本カウアンさんの記者会見が波紋を呼んでいる。4月21日には、ジャニーズ事務所が内部調査したことを関係者に伝える文書について報じられた。


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事務所のタレントを応援するオタク(通称ジャニオタ)4人に話を聞くと、今回は、自分たちへの周囲の反応がこれまでの不祥事とはわけが違うと感じているという。



「事務所はタレントのケアを含めて公式な発表をすべきだ」という人がいる一方で、「すでに被疑者死亡。性加害“問題”という言葉に違和感がある」と静観を決め込む人も。ただ、4人に共通するのは、「推し」が働く場、そして自分たちの応援する場を奪わないでほしいとの思いだった。





●「ああ、社会問題なんだ…」

純粋に「推し」のためにうちわを作り、コンサートや舞台を楽しんでいた4人に起きた「カウアン・ショック」はどんなものだったのか。いずれも、ジャニーさんの行為については、かねて報道などで知っていたと明かす。



「スペオキ(スペシャルお気に入り)への性的な行為があるという噂は知っていたけど、ゴシップの類という認識でした。私の推しは仕事も少なく、被害とは無関係だろうなと。今回、BBCの報道がきっかけで『ああ、社会問題なんだ』と改めて思いました」(Aさん)



周囲にジャニオタを公言しているものの、会見以降は肩身が狭い思いがあるという。



「スキャンダルや不祥事の時は、周囲から『あれどうなの?』と聞かれましたが、今回は誰も聞いてきません…」(Cさん)「ジャニオタだというだけで加害に加担していると思われがちです。推しの商品価値が下がるようで、それもつらい」(Bさん)



●「自らの平和のために皆が黙っていた」

1999年から元ジュニアたちの性被害証言などを報じたキャンペーンを張った「週刊文春」に対して、ジャニーズ事務所らが名誉毀損で提訴した裁判では、2003年に高裁で性被害の事実が認定され、04年に最高裁で確定した。



その後、強制性交罪に口淫が含まれ、強制わいせつ罪ともに親告罪ではなくなるなど性犯罪の厳罰化がなされた刑法改正は2017年のことだ。そして、#MeToo運動で被害者が声を上げ始め、セクハラや性犯罪に対して社会の目も厳しくなった。



「私たちオタクも、テレビ局も、自分たちの平和のために黙っていたということです。ジャニーさんが存命中の2005年に『Newsweek』にデビット・マクニールさん(FCCJ会見で司会を務めた英ジャーナリスト)が書いた時は黙殺されています」(Dさん)



「ジャニーさんが亡くなった今、リアルに証言する者が出てきた。BBCの大々的な報道がSNSなどで広がる時代で、新聞も報じざるを得なくなった。なるべくしてなったということだと思いますね」(同)



それでもやはり「葬儀でも愛されていたジャニーさんが犯罪者だということには割り切れない思いも残る」とAさんは言う。



Dさんも「性加害“問題”という言葉には違和感があります。たとえ立件されたとしても被疑者死亡で終了ですよね。行為者がいない中で、何が“問題”で、どう改善すべきかを語れない。被害者本人ではないのに『謝罪せよ』と訴えている人たちにも、疑問を感じます」と話す。



●「辞めジュ」の反抗に複雑な思い

辞めジュ(退所したジャニーズJrの略)であるカウアンさんの現役時代を知る彼女たちには、複雑な思いもある。Bさんは、退所後の彼がYouTubeで現役タレントについて暴露して投げ銭をもらっていたことに違和感があったという。



「お金に困ってるのかな、と思いました。告発者がカウアンじゃなかったら、もっと素直に受け入れられたかも…」(Bさん)



こうしたジャニオタならではのモヤモヤを抱えつつも、やはり、この問題については事務所が公式に対策を発表すべきだという意見が大半だった。



「カウアンが“被害者”として声を上げたのは事実です。自衛隊内での被害を訴えた女性を批判できますか? 全ての人権は守られるべきで、事務所は考えなきゃいけない時なんだと思います。たった数行の公式回答では、企業として不誠実です。時代に置いていかれます」(Cさん)



「(民放が報道しないなど)芸能界とテレビの暗部の一端が可視化された。本当は誰もが嫌なことは嫌と言えなきゃいけない。(相次ぐ告発は)自分を大事にしてくれなかった事務所への雪辱でもあるのかも。カウアンが声を上げた意味が少しでもあればいいと思います」(Aさん) 



所属タレント、そしてそれを懸命に応援するジャニオタに支えられてきたジャニーズ事務所。朝日新聞の報道によると、文書について「近々発表する」と回答したとされる。近く具体的な公式見解を発表するのか、注目される。