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追悼カラーのヒョンデ快走、ヌービルがWRCクロアチア初日首位。トヨタ勢は序盤にトラブル

2023年04月22日 12:20  AUTOSPORT web

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デイ1を総合トップで終えたティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1) 2023年WRC第4戦クロアチア・ラリー
 4月21日、同日から23日にかけてクロアチアの首都ザグレブを拠点に開催されるWRC世界ラリー選手権第4戦『クロアチア・ラリー』の競技初日は、SS1~8が行われ、ヒョンデ・シェル・モビスWRTのティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ組(ヒョンデi20 Nラリー1)が総合トップに立った。日本人ラリードライバーの勝田貴元は総合5番手につけている。

 前日20日(木)に行われたシェイクダウンとセレモニアルスタートに続き、競技初日のデイ1が行われたクロアチア・ラリー。SSの合計距離が8つのステージで都合130.18kmと3日間で最長の一日となったこのデイ1は、全体的にドライコンディションが保たれたが、午後の一部のステージでは降雨によりダンプ路面や湿り気を帯びた状態でラリーが行われた。

 そんななか初日のSS1からSS8を終えてトップに立ったヌービルは、TOYOTA GAZOO Racing WRTの2台が相次いでタイヤ交換を余儀なくされたSS2の終了時点でラリーのリーダーとなって以来、このポジションを守っている。彼はベストタイムこそSS2の一度きりだったが安定したタイムを刻み続け、午前中のループが終了した段階で2番手のエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)に16.1秒のギャップを築いた。

 一方、僚友のセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)とカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が、ホイール破損のトラブルによりSS2で大きく後れを取るなか奮闘するエバンスは、午後のループでペースアップ。雨混じりの難しい路面コンディションのなか首位ヌービルとのギャップを徐々に縮めていき、一日の最後にはステージ優勝を飾りライバルとのタイム差を8.4秒から5.7秒にまで縮めてみせた。

「路面がかなり汚れていて最高のスタートとは言えなかった。午後は雨が降ってきて、少し運試しのような状況だったけど、適切なタイミングで適切なタイヤを履くことができたと思う」と語ったエバンス。

 一方のヌービルは「僕たちは適切な仕事をしたが、決して容易ではなかった」と認めた。

「今日の終盤は(フィーリングが)少し良くなっていたし、午後は少し楽しめたので本当にうれしい。最終的には1位でフィニッシュできることを願っている。それはチームと僕たちにとって素晴らしい成果になるだろう」

■オジエに60秒ペナルティが下る

 トップから30秒遅れて総合3番手につけたのは、Mスポーツ・フォードWRTのオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)だ。彼は午後のSS6で降雨を見越しウエットタイヤを選択したが、予想に反して路面はさほど濡れず。その結果、ドライタイヤでこのステージを制したエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)から17秒の後れをとり、2.2秒の僅差でフィンランド人に総合3番手の座を奪われてしまう。

 しかし第2戦スウェーデンのウイナーは、続くSS7でベストタイムを刻みラッピを再逆転すると、SS8でもエバンス、ロバンペラに次ぐ3番手タイムを記録しライバルとのギャップを3.4秒に拡げている。

 勝田貴元は初日のステージを6番手で終えたが、オジエがSS2でタイヤ交換を行った直後にハーネスを正しく固定しないまま再スタートを切ったことに対し、スチュワードから60秒のタイムペナルティを受けた後、総合5番手に順位を上げた。

 一方、SS5で勝田を逆転し5番手に順位を上げていたピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)は、SS8でハイブリッドパワーを失ったほか、左リヤタイヤにダメージを負いペースダウン。このステージで勝田に逆転を許した。

 オジエは序盤のタイヤ交換で約1分30秒を失ったあと総合5番手まで順位を挽回していたが、前述のペナルティにより総合7番手に後退。同8番手には“8冠王者”と同じくSS2でタイヤ交換を強いられ2分以上を失ったロバンペラが続いている。

 WRC2のリーダーのヨハン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)が総合9番手、同クラス2番手につけるニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2)がこれに続き初日のトップ10リザルトを形成した。

 土曜日のデイ2も初日と同様に、計4本のステージをミッドデイサービスを挟んで1回ずつ走行するスケジュールとなり、その合計距離は116.60kmとなっている。リエゾン(移動区間)を含めた一日の総走行距離は793.98kmだ。