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『チェンソーマン』第二部は宮沢賢治作品がモチーフ? 賢治ファンしか気づかない細かすぎる共通点

2023年04月17日 15:31  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2020年12月発売の「週刊少年ジャンプ」にて、第一部の最終回を迎えた藤本タツキ原作の『チェンソーマン』。約1年半の休載期間を経て、2022年7月からは「少年ジャンプ+」で待望の第二部がスタートしている。


(参考:【写真】『チェンソーマン』美しすぎるマキマのフィギュア。全方位からその姿をチェック


 連載を再開した『チェンソーマン』第二部だが、いまネット上で「宮沢賢治作品をモチーフにしているのでは?」と話題を集めている。そこで今回は、作品内に散りばめられた宮沢賢治作品のモチーフを探していこう。


宮沢賢治の短編小説『よだかの星』と三鷹アサの共通点とは!?


 最初に「宮沢賢治作品モチーフ説」が囁かれ始めたのが、宮沢賢治の短編小説『よだかの星』のよだか(ヨタカ)が登場したことから。登場したのは第二部の1話目にあたる98話。第二部の主要キャラクター・三鷹アサが契約している「戦争の悪魔(ヨル)」が、元々「ヨタカ」の姿をしていたのだ。


 98話の時点では「ヨタカ」のような鳥が登場しただけで、まだ宮沢賢治作品をモチーフにしていると言い切れる状況ではなかった。しかしストーリーが進むにつれ、宮沢賢治作品との共通項が浮き彫りになってくる。


 例えばアサの置かれた境遇もよだかとリンクしている部分が多い。よだかは作中で、見た目の醜さのせいで他の鳥から忌み嫌われ「よだか」という名前すら取り上げられてしまっている。そしてアサもまた、ある出来事がきっかけでクラスメイトから下駄箱に生肉を入れられるなどの陰湿ないじめを受け孤立しているのだ。


 他にもアサの苗字が「三鷹」で、「鷹」という漢字が使われていることも『よだかの星』を連想させる理由のひとつと言えるだろう。ここまで『よだかの星』と三鷹アサの共通項を話してきたが、他の宮沢賢治作品を連想させるエピソードも多数登場している。


「クラムボン」に『注文の多い料理店』まで……


 例えば123話で登場する、アサのかつての飼い猫の名前は「クラムボン」という。「クラムボン」といえば宮沢賢治の短編童話『やまなし』に登場する、「クラムボンは死んだよ。」という有名な一節と同じである。


 また同じく123話に登場する落下の悪魔は、料理人のような恰好をしていることから「『注文の多い料理店』をイメージしているのでは?」と話題を集めているのだ。


 『注文の多い料理店』といえば、料理人である山猫が狩りの最中に道に迷った紳士たちを料理して食べようとする話。『チェンソーマン』124話では落下の悪魔が自身を狩りに来たデビルハンターを調理する場面があり、『注文の多い料理店』をモチーフにしている可能性は高そうだ。


 ネット上では「第二部は宮沢賢治モチーフなのかな? 『注文の多い料理店』の結末を考えると犬(デンジ)が助けに来るのか?」「よだかの最期のように、第二部のラストでヨルが悲しい結末を選ばないといいけど……」と宮沢賢治作品になぞらえたストーリー予想が飛び交っている。果たしてどのようなラストを迎えるのか、今後の展開を楽しみに待とう。


文=ヨークシャー