4月16日、ポルトガル南部のアルガルベ国際サーキットで行われたWEC世界耐久選手権第2戦ポルティマオ6時間。レース終盤にセーフティカーが導入され、最後の1時間がスプリントの様相を呈すなか、最終ラップまで続いたLMGTEアマクラスのトップ争いに注目が集まった。
クラストップを走行していたのは、コルベット・レーシングの33号車シボレー・コルベットC8.R(ベン・キーティング/ニコラ・バローネ/ニッキー・キャツバーグ)のキャツバーグ。
これに猛チャージをかけて追いついてきたのが、リシャール・ミル・AFコルセ83号車(ルイス・ペレス・コンパンク/リル・ワドゥ/アレッシオ・ロベラ)のロベラだった。
フェラーリのファクトリードライバーであるロベラは、何度となくキャツバーグに仕掛けたが、その度に33号車は必死にトップを守った。
そして迎えた最終ラップ、ヘアピン状のターン5への進入でロベラはキャツバーツにアウトから並び、完全にサイド・バイ・サイドの状態でブレーキング競争に持ち込んだ。しかし、ロベラはコーナー出口でトラクション不足に陥り、コルベットを攻略することはできなかった。フィニッシュラインまで追走したロベラは、わずか0.260秒の差で悔しい2位を得ることとなった。
「(最終ピットで)左側のタイヤだけを交換したので、トラクションにとても苦労したんだ」とロベラは説明した。
「(ターン5出口で)パワーをかけたとき、完全にリヤを失ってしまった。正直、あれはいい機会だった」
ロベラはまた、ライバルのコルベットは最終ピットで燃料補給時間を切り詰めていたものとみている。しかし、AFコルセがタイヤを4本交換しないという戦略的決定をしたために、自らはタイムゲインが得られなかったと考えている。
「我々はピットで(2輪交換を)試みたが、コルベットは燃料補給を少なめにしたのだろう。彼らはピットで5秒くらい稼いでいたからね」とロベラ。
「正直、僕らも2輪交換にすることでピットで彼らを逆転しようとしたのだけど、うまくいかなかったんだ」
首位を走っていたキャツバーグは、彼の担当パートに関して、ロベラの発言に同調した。
キャツバーグは、最後の燃料補給時間を削ったかとの問いに「ああ、そうだよ」と答えている。
「僕らは最後のピットストップを(ライバル勢と比べて)遅いタイミングで行ったので、ちょっとだけアドバンテージがあったんだ。でも、チームは素晴らしかったと思う。ピット作業は毎回、とても速かったからね」
「だから毎回、大きなリードを得ることができたし、それがなければ、今日の勝利はなかっただろう」
キャツバーグはさらに、ロベラのレース運びを称賛し、バトルのクリーンさについてイタリア人を褒め称えた。
「彼はとても速いペースで近づいてきていたので、あそこでレースが終わって良かったよ。彼のペースはすごかった。(無線で)ギャップを聞く気も失せたよ」
「だけど、近づくことと、追い抜くことは別だからね」
「彼は本当に紳士的だったから、それには敬意を表したい。彼は僕を押し出すこともなく、クレイジーなこともしなかった」
「近頃は常にそうではないものだけど、彼はちゃんとしたレーサーだ。良い仕事をしていたと思う」
ロベラはまた、開幕戦セブリング1000マイルレースの序盤にブロンズドライバーのコンパンクがクラッシュしたことから、第2戦ではチームが新品のシャシーでレースに臨んでいたことを明らかにした。
ロベラは第2戦の結果に落胆していることを認め、終盤にコルベットとの距離を縮めても、キャツバーグに対して決定的な動きをすることは難しかったと付け加えた。そこには、タイヤ以外にも要因があった。
「僕は完全に満足しているわけではない。なぜなら、接近するたびにオーバーテイクが難しいものになっていたからだ」とロベラ。
「(接近すると)フロントのダウンフォースを失ってしまった。でも、そうだ、チャンピオンシップはまだ続いてる。僕たちはバトルに強いんだ」