4月16日、岡山国際サーキットで開催されたスーパーGT第1戦岡山の決勝レースは、2回のフルコースイエロー、3回のセーフティカー、さらに3回の赤旗と、不安定な天候のなかで近年まれにみる荒れた展開のレースとなった。そんななか、GT300クラスで3位を獲得したのは、佐藤公哉/三宅淳詞組HACHI-ICHI GR Supra GT。終盤まで11番手周辺を走っていたが、2回目の赤旗中断後のピットで、大ジャンプアップを果たしての表彰台となった。
序盤の強雨の後、急速に路面が乾く展開となっていた今回の第1戦では、ふたたび雨が降り出した直後の46周目、SUBARU BRZ R&D SPORTがコースアウトしてフルコースイエローが導入され、そのリスタート直後のクラッシュ発生によるセーフティカーラン、さらに近くの落雷により15時15分には赤旗中断となるが、そのタイミングではほとんどの車両がスリックを履いていた。予選12番手から佐藤がスタートドライバーを担当し、33周で三宅に交代した後、11番手前後を走っていたHACHI-ICHI GR Supra GTもこの時点でスリックだった。
15時35分のリスタート後、セーフティカー先導のもと、各車は一斉にピットに殺到するが、ここでHACHI-ICHI GR Supra GTが一気に順位を上げた。その要因はピット位置だ。Max Racingのピットは最も最終コーナー寄りの3-Aにあった。つまり、ピットイン後ライバルに邪魔されることなく、停止位置に入ることができる場所だ。
今季、HACHI-ICHI GR Supra GTには笠井昭則エンジニアが加わり、4月15日の公式練習では、佐藤の気づきからスプリング交換を実施。これが奏功し、Q1では僅差のなかで突破を果たした。「そこから流れを作ることができました。チームのみんなの頑張りが繋がったと思います」と田中監督は振り返った。
幸運を活かし、展開を味方につけるためには、その時にそれに相応しい場所にいることが必要だ。今回のHACHI-ICHI GR Supra GTは、その鉄則によりチャンスをつかんだ。「まだやることはたくさんありますが、昨年苦しかった分、今年は上向きの方向にきていると思います。こうしてラッキーで表彰台に上がれる位置につけられています」というのは佐藤だ。