2023年04月16日 10:01 弁護士ドットコム
大量のコショウや爪楊枝を入れたり、隣の客を暴行死させたりするなど、ラーメン店で起きるトラブルの数々にこころを痛めている弁護士がいる。兵庫・神戸の西山良紀氏だ。
【関連記事:カーテンない家を「全裸」でうろつく女性、外から見えてしまっても「のぞき」になる?】
子どものころからラーメンは「元気の源」だった。学生時代は司法試験を乗りこえ、弁護士になってからはプレッシャーやストレスに打ち勝つチカラをくれた。好きが高じて自作してしまうほど、愛は深い。
だからこそ「神様」であるかのように振る舞う客に疑問を抱く。「店の味に飽きたことはない。常に食べていたい」と語る西山氏に、話を聞いた。
「どちらかといえば、関西の味が好きです。『天下一品』や『第一旭』とか」と語る西山氏は、神戸だけではなく、東京や仙台などの味も堪能してきた。
小学生のころから、大のラーメン好き。3時のおやつは「うまかっちゃん」や「好きやねん」などのインスタント製品を食べていた。
今でも食べることはあるが、人がつくる店の味にはかなわない。もっとも思い入れがあるのは、浪人時代も含めて約4年間、足繁く通った兵庫・西脇の個人経営店「三和ラーメン」の味だ。1杯500円のラーメンは、あっさりした澄んだスープの関西風・しょうゆ味。行くたびに「がんばって」と飴やチョコレートをくれた店主のことは、今でも覚えている。大人になり、人づてに閉店を知ったときは、寂しさが込み上げた。
慶應大学法学部に進学後は、大学前にある「ラーメン二郎」に週1ペースで通った。豚骨スープにライスを入れて雑炊にし、溶き卵を加えれば、しあわせが沁み渡る。1日1食は、食堂や近くにある店のラーメンを食べる日々だった。勉強をがんばるためのエネルギーを蓄え、同大学のロースクールを卒業後、司法試験を突破した。
弁護士になってからも、週のランチの大半はラーメンだった。夜遅くに仕事が終わったときは、深夜まで営業している店に駆け込む。仙台の法律事務所から独立する際には、寸胴鍋と名入りの鉢を餞別にもらった。
「よく一緒に仕事をしていた司法書士法人と弁護士仲間にいただきました。仲間は、毎月facebookに写真をアップするほどのラーメン好きです。弁護士の間でも人気メニューなので、おいしい店の情報交換もしますよ」
インターネット上の記事や動画を参考にしながら、年に数回、寸胴鍋を使ってラーメンを自作する。麺は機械なしで細く切ることが難しく、既製品を使っているが、出汁や醤油、チャーシューは、すべて手作りだ。約8時間ほど、一晩かけてじっくり煮込む。理想の味にはまだ近づけていないが「ストレス発散」のひとつだ。
この数年は、3人の子どもたちの育児に追われ、ほとんど作っていない。さらに、健康のために店に行く頻度も減らし、昼食は弁当にしているという。「二郎を食べたい。油そばも試してみたい」などと、欲は尽きない。しかし、父親、そして弁護士として「細く長く」生きていくため、制限しているという。
食べる量を減らしたからといって、愛が冷めたわけではない。客によるトラブルが起きるたびに「お客様は神様ではない。対等だ」とこころが痛む。
「お酒を飲んだ後に寄る場所でもありますし、特に狭い店だと客同士がぶつかりやすい。背景には、こうした環境の問題もあるように思います」
「マチ弁」として働く彼の元には、民事・刑事を問わず、日々さまざまな相談が寄せられる。
座右の銘は「憂きことの なおこの上に 積もれかし 限りある身の 力ためさむ」。たとえ、自分の身につらいことや悩みごとがさらに降りかかったとしても、力の限り、挑戦していくー。子どものころに『ドラえもん』で知ってから、モットーにしていることだ。
ラーメンは、困難に挑み続けるための「力」をくれる。近い将来、子どもたちと美味探訪する日を夢見て、西山氏は今日も励む。
【取材協力弁護士】
西山 良紀(にしやま・よしのり)弁護士
兵庫県弁護士会所属。
離婚・男女問題、遺産相続、労働問題、債権回収などを多く扱う。
昼食の大半はラーメン。鶏がら・豚骨から出汁をとってラーメンを自作することもある。独立する際に、前所属事務所からもらった餞別は寸胴鍋とオリジナルラーメン鉢。
事務所名:リライト神戸法律事務所
事務所URL:http://relight-kobe.jp/