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タイヤセット数1セット減でチームの選択はどう変わる? ドライでもウエットでも鍵を握る持ち込みセレクト

2023年04月15日 13:40  AUTOSPORT web

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ウエットコンディションとなった第1戦岡山の予選日。タイヤ選択はどのように影響するのか
 スーパーGTでは今季、製造過程でのCO2削減やカーボンニュートラルなどへの環境配慮の取り組みとして、持ち込みタイヤのセット数をGT500ではドライ、ウエットタイヤをそれぞれ1セット削減しているが、その影響は実際、どのような形になるのか。チームエンジニアなどに取材した内容をベースに、シミュレーションした。

 今季のGT500では、開幕戦岡山の300kmレースではドライタイヤがこれまでの6セットから5セットへ、ウエットタイヤは7セットから6セットに削減されることになった。

 まずは昨年までの6セットの場合のスタンダードなタイヤ選択と、その使用状況を振り返ってみよう。

●Aタイヤ
本命タイヤ1(フリー走行で確認)
本命タイヤ2(予選Q1に投入→レース用)
本命タイヤ3(予選Q2に投入→レース用)

●Bタイヤ
バックアップ1(フリー走行で確認)
バックアップ2(専有走行に投入)
バックアップ3(ソフトを選んだ場合は気温の下がったレース後半スティント用など)

 以上のように、6セットの場合はAとBの2種類のタイヤをそれぞれ3セットずつ持ち込むのが基本パターンになる。もちろん、Aの本命タイヤを外してしまった場合、Bのバックアップ側が本命となり、AとBの2種類でコンディションに備えることができる。

 では、5セットではどのように変化するのか。

●Aタイヤ
本命タイヤ1(フリー走行で確認)
本命タイヤ2(予選Q1に投入→レース用)
本命タイヤ3(予選Q2に投入→レース用)

●Bタイヤ
バックアップ1(フリー走行で確認)
バックアップ2(専有走行に投入/ソフトを選んだ場合は気温の下がったレース後半スティント用など)

 以上からもわかるように、Aの本命タイヤを3セット、Bのバックアップを2セットという形が基本になるが、Aの本命タイヤを外してしまった場合、Bタイヤで予選にそれぞれニュータイヤを投入できないなど、本命を外した場合のリスクが大きくなる。そのため、Aの本命タイヤの選択が重要になるだけでなく、温度レンジの広い、いわゆる保守的なタイヤ選択になる可能性がある。

 もうひとつの攻めの選択肢としては、本命4セット、バックアップ1セットという決め打ちプランも有効になる。

●Aタイヤ
本命タイヤ1(フリー走行で確認)
本命タイヤ2(専有走行に投入して予選アタック確認)
本命タイヤ3(予選Q1に投入→レース用)
本命タイヤ4(予選Q2に投入→レース用)

●Bタイヤ
バックアップ1(ソフトを選んだ場合は気温の下がったレース後半スティント用など)

 このいわゆる4-1プラン、さらに攻めた5-0プランは、リスクを取ってでも上位結果がほしい時に有効になる。今回の開幕戦ではそこまで攻めた選択をしたチームは少ないと考えられ、おそらく3-2プランがほとんどかと想像される。

 ウエットタイヤに関しても、6セットになったことで、以下のパターンが基本になると考えられる。

●Cタイヤ
浅溝/ダンプ用(フリー走行で確認)
浅溝/ダンプ用(予選Q1に投入→レース用)
浅溝/ダンプ用(予選Q2に投入→レース用)

●Dタイヤ
フルウエット用1(フリー走行で確認)
フルウエット用2
フルウエット用3

 以上の2種類の3-3プランが基本になるが、フルウエットでソフト、ハードなどコンパウンドを分けて3種類の2-2-2という選択も考えられる。

 3本のグルーブド(縦溝)が特徴のミシュランは、浅溝/ダンプ用の雨量の範囲が広いことから、コンパウンドの選択がより細かくセレクトできることになると想像される。

 開幕戦の岡山は土曜日からウエットコンディションとなったが、各チーム、どのようなタイヤの持ち込み、そして使用状況となるのか。もちろん、チームにとっての極秘事項となるため、レース後まで正解はわからないが、タイヤの使用状況、各タイヤメーカーのコンペティションなどを想像しながらセッションを見ると、スーパーGTの面白さがさらに増すことになる。