2023年のWEC世界耐久選手権ハイパーカークラスに新型車両フェラーリ499Pを投入して戦っているフェラーリAFコルセは、開幕戦でワン・ツー・フィニッシュを遂げたトヨタGR010ハイブリッドとのギャップを最小限にすることを目標に掲げ、ポルティマオで行われる第2戦に臨む。
ミゲル・モリーナ/アントニオ・フォコ/ニクラス・ニールセンがドライブする51号車フェラーリ499Pは開幕戦のセブリング1000マイルレースで、フェラーリにデビュー戦での表彰台をプレゼントしており、4月14~16日に行われる第2戦の6時間レースでもその勢いを維持したい構えだ。
■課題はタイヤのデグラデーション
セブリングでフェラーリは、デビュー戦でのポールポジション獲得に沸いたが、翌日のレースではトヨタの圧倒的なワン・ツー・フィニッシュを許した。モリーナによれば、チームは決勝レースでの競争力を改善しようとしているようだ。
モリーナは、ハイパーカー2戦目となるポルティマオでどれだけの差をつけられるかは分からないが、そのギャップを縮めるための努力はしている、と述べている。
「とりわけ初めてレースウイークエンドですべてを走らせたということで、ネガティブな要素よりもポジティブな要素を多く持ってセブリングを離れた」とモリーナは言う。
「このプロジェクトは本当に始まったばかりだ。僕らはクルマの開発に専念していたから、レースの状況に集中する充分な時間がなかった。レースではもっと多くの問題を抱えることになるだろうと分かっていたんだ」
「ポルティマオのレースでは、いくつかの異なるセットアップの選択肢を試してみるつもりだ。すでにここでは、2回の耐久テストも行なっているから、僕らにはデータもある。だが同時に、トヨタ勢とのギャップを最小にすることを目指したい」
モリーナは、フェラーリがレースコンディションでより良い競争力を引き出すことができると考えている主な分野として、タイヤのデグラデーションを挙げた。
セブリングのチェッカー後、フェラーリのGTおよびスポーツカー部門の責任者であるフェルディナンド・カニッツォは、1000マイルレースで499Pが「2スティント目の終盤に苦戦していたのは明らかだった」と認めている。
「セブリングは、デグラデーションがレースの鍵だった」とモリーナ。
「ここポルティマオでも、多かれ少なかれその重要性は変わらない。デグラデーションの程度が高いか低いかはわからないが、レース中のデグラデーションは少ないほどいい。だから、このアプローチに取り組む必要がある。タイヤのデグ(の管理)が、今週末の作業の目標になる」
■「いまはトヨタがベンチマーク」
モリーナは、トヨタとの差を縮める作業は徐々に進んでいくだろうし、他の新しいハイパーカーメーカーも同様の道をたどり、セブリングで圧倒したトヨタに追いつくことを目指してるはずだと述べている。
「僕らは謙虚に、このプロジェクトがまだ若いということに目を向ける必要がある」とモリーナ。
「トヨタはこのクラスで多くの経験を持っているので、僕らは自分の仕事をし、学び、彼らに近づく必要がある。いまは彼らがベンチマークだからね」
「この差を少しずつ縮めていく必要があり、そのための唯一の方法は、地に足をつけて、いまやっているように仕事をすることだ」
「僕らは本当にいい仕事をしていると思う。みんな昼も夜も働いている。セブリングのアプローチを続けて、自分たちがどこにいるのかを確認する必要がある」
フェラーリ、ポルシェ、キャデラックといったハイパーカーのニューカマーがスピードを上げてくることが予想されるなか、トヨタはシーズン序盤にできるだけ多くのポイントを貯めたいと考えている。
ドライバーズチャンピオンのセバスチャン・ブエミは先週、ライバルたちがシーズンを通して「強くなる」と予想していると語っていた。