2023年04月12日 14:11 弁護士ドットコム
元ジャニーズJr.の岡本カウアンさんが4月12日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見を開いて、ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川さんから「性被害」を受けたと語った。岡本さんによると、初めて被害を受けたのは、中学を卒業する直前だったという。
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この日の会見では、性的行為があったとされるジャニーさんのマンションで、岡本さんが撮影した動画も公開された。ジャグジーやカラオケ施設、ジュニアが寝泊まりする際に使う布団なども映し出されていた。
岡本さんは、在籍期間中に、はっきりとわかるかたちで同様の被害を受けたのは3人だとしながらも、被害はもっと多いのではないかと推測する。
「自分の体験したことや見たこと、思ったことを正直に話したいと思います」と冒頭で宣言したショッキングな告白は1時間以上続いた。
声を上げたことで、被害を受けた他のジュニアも続いてほしい。そうすれば何かが変わる――。そう呼びかける岡本さんは「一番は事務所のトップや事務所の人たちに認めてほしい」と強調した。
ジャニーさんによる一連の問題を報じた英放送局BBCのドキュメンタリー番組が話題となる中、岡本さんは文春オンラインの取材に実名・顔出しで応じており、今回の日本外国特派員協会で開かれた記者会見もまた国内外に向けてYouTubeでも配信された。
岡本さんがジュニアとして活動を始めたのは2012年2月(当時、中学3年生=15)のこと。岡本さんによれば、翌3月、渋谷にあったジャニーさんの自宅マンションで初めて性被害を受けたという。岡本さんは次のように主張した。
「足のマッサージを始め、徐々に上に上がり、パンツの上から性器を触られました。パンツを脱がされ、直接性器に触れ、その後ジャニーさんに口淫されました。ずっと寝ているふりをしました。翌日、エレベーターの中でジャニーさんから1万円を渡されました」(岡本さん)
2016年に退所するまでに、合計で15~20回ほどジャニーさんから性的被害を受けたという。お金を渡されることもあれば、ないこともあったとしたが、行為がおこなわれた翌日、ジャニーさんは何もなかったような態度で接したという。
過去には、ジャニーさんによるジュニアへの性加害を報じた記事をめぐって、ジャニーズ事務所と週刊文春側が裁判で争い、東京高裁がその重要な部分で真実であることの証明があったと認めた。
しかし、岡本さんは、入所前にはジャニーさんの行為の「噂」さえ知らなかったという。入所して初めてそれを認識し、被害を受け続けても、告発したり、明確に拒否することはなかった。
性的行為を受け入れなければ、タレントとしての立場が不利になるなどの言動をジャニーさんから直接言われたことはない。だが、拒絶すると干されるような実態は「暗黙の了解」であったという。
「ジャニーさんは『それをしないと売れないよ』とかは言わないんですけど、そもそもジャニーズというのは、ジャニーさんが気に入っている子、推している子が基本的にデビューします。特殊だと思います。
ジュニアの中でも『マンション行かないと売れないよね』とか『むしろ自分から行かないといけないよね』ということとかも多かったので、そういう認識でいます」(岡本さん)
岡本さんもまた、寝たふりをしながら寝返りを打つなどして、ジャニーさんを「あきらめ」させたことがあったという。その翌日は、挨拶をしても無視されるなどの態度を取られたそうだ。
今回の会見を日本外国特派員協会で開いた大きな理由は、国内の新聞・テレビなどの大手メディアが、ジャニーズに関するネガティブな話題を取り上げにくい状況にあるため、海外に向けて発信しようと考えたからだそう。
「(日本の大手メディアは)取り上げないだろうと覚悟して話しています」(岡本さん)
同じような被害を受けた元ジュニアらが声を上げることを期待しているという。
「現在、僕は日本と両親の出身地のブラジルでミュージシャンとして活動しています。ジャニーさんには個人的には感謝の気持ちをもっています。人生が変わったし、僕のエンターテインメントの世界はジャニーさんが育ててくれたと思う。一方で、行った性的行為は悪いことだと思います」(岡本さん)
岡本さんは「みんながしゃべることで、何かが変わるんじゃないか」と期待している。
ジャニーズが好きで、応援しているファンに向けてもメッセージをもとめられ、「答えるのは難しい」としながら、次のように語った。 「自分の好きなアイドル、タレントを応援するのを続けるのは全然いいんですが、そういうことも事実としてあるので、目を背けるのでなく、事実としてあるのは理解したうえで、リスペクトして応援するという感じだと思います。
みんな耐えてデビューしています。僕もメンバーをリスペクトしている。ファンもそれを知ったうえで、これが認められて次のステップにいけたら、新しいジャニーズに、理想のジャニーズになるんじゃないかと思います」(岡本さん)
この日の会場には10台以上のビデオカメラが入り、日本テレビやテレビ朝日などのテレビ局のカメラが複数台、NHKのスタッフもやってきた。
日本外国特派員協会では3月17日に、BBCのドキュメンタリー制作者が記者会見をおこなった。その際はビデオカメラは3台だった。日本の大手メディアがどのようなかたちで報じるかもまた注目される。