仕事で疲れていたら、電車でうっかり寝てしまうこともある。東京都に住む30代後半の男性(教育・保育・公務員・農林水産・その他/年収400万円)は、終電手前の電車で寝過ごし、寒さに凍えながら徹夜で始発を待ったという。(文:永本かおり)
極寒の駅で「こんなんで死んだらマヌケすぎる!」
12年程前の3月頃、電車で寝過ごしたという男性。深夜0時近くに、立川駅から青梅線の奥多摩行に乗った。
「当時はブラック企業に勤めており、終電手前の帰りが当たり前だったので、よく寝過ごしていました」
日ごろから多少の寝過ごしはしていたものの、「この日は更にお酒を飲んでいて」寝過ごし距離が段違いだったようだ。
「下車駅で降りるつもりが駅員さんに起こされて気付くとそこは奥多摩駅…翌日が休みだったので気を抜きすぎました」
なんと始発駅から終着駅まで電車に乗っていた。
「降りたら近くの派出所のお巡りさんが『近くに民宿があるからそこで泊めてもらったほうがいい、寝たら死んじゃうよ~』と冗談めかして言ってきましたが全く笑えなかったので歩いて民宿へ」
既に終電はなく、しぶしぶ民宿へ向かうことにしたが、「午前1時過ぎだった事もあり、玄関は開くのですが中は真っ暗で非常灯の灯り」だけだった。
どうすべきか、わからなくなった男性。こんな決心をしたという。
「そこで呼び鈴を鳴らすなり、お巡りさんに助けを求めるなりすればよかったのですが怖くなった私は駅へ引き返し誰かに頼るのも悪いと思い、始発まで寝ずに待つことを決意」
とはいえ、3月の夜はまだまだ寒い。しかも奥多摩駅は標高343メートルと東京都内にある駅で最も高い。さぞかし生きた心地がしなかったことだろう。
「午前2時には携帯電話の充電も切れて、こんなんで死んだらマヌケすぎる!と必死にコーヒーを飲みながら始発を待ったもんです」
「やがて始発が無事来る時間になって喜んで電車に乗り、暖房の効く車内でまた眠りこけてしまう始末…あの日以来乗り過ごしは絶対しなくなりましたね」
と懲りた様子で綴っていた。