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あおり運転の経験者が2割「田舎道を時速30kmで走るな」「危ない車に猛抗議するため」

2023年04月12日 10:21  弁護士ドットコム

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ニュースで目にすることも多い「あおり運転」。2020年6月施行の改正道路交通法で「妨害運転罪」が新設され、他の車両の通行を妨害する目的で、急な進路変更をしたり急ブレーキをしたりする行為は、「あおり運転」として厳しく処罰されることになりました。


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こうした中で、弁護士ドットコムが一般会員1241名を対象に、「あおり運転」に関するアンケートをおこなったところ、「あおり運転」したことがある人は2割で、したことを「後悔していない」が半数となりました。



●「あおり運転」したことのある人は2割

調査は2023年3月1日~3月7日、弁護士ドットコム一般会員を対象にウェブアンケートを実施。弁護士ドットコムの一般会員で回答が得られた1325名のうち、運転免許証を持っている1241名(男性842名、女性392名、その他7名)から回答が得られました。







回答者のうち、車間距離を詰めるなどの「あおり運転」をしたことがあると答えたのは22.8%でした。場所は、一般道が7割超という結果になりました。



年代別にみると、50代男性が40.2%と最も高く、60代男性が29.6%、40代男性が28.5%でした。女性は50代が最も高く13.9%でした。





「あおり運転」をしたきっかけについては、「前の車のスピードが遅かった」(58.7%)が最も多く、「急な車線変更で前に割り込まれた」(27.2%)、「向こうから先に『あおり運転』をされた」(8.5%)と続きました。





「あおり運転」をしたことについて、「後悔している」のは43.5%で、「後悔していない」が半数を上回る結果となりました。



●「あおり運転」した人の声

「あおり運転」をしたことが「ある」と回答した人に、自由回答で具体的なエピソードについて尋ねたところ、以下のようなコメントが寄せられました(抜粋)。



・「走行中、目の前に一時停止無視の車が飛び出してきて危ない目に合ったので、その車の前に出て車線を塞ぎ猛抗議しました」(東京都、40代男性) ・「はみ出し禁止の田舎道(国道)。前の車が30kmで走行していました。10分ほど経過してもノロノロ運転。クラクションを1回鳴らしてもノロノロ。しまいにはブレーキをわざと踏むようになりました。カチンと来て、クラクションを鳴らし、煽り運転をしました」(宮城県、60代男性) ・「あおり運転されるほうが悪いことが多い。早く進まないのであれば後ろに道を譲るべきだ」(福岡県、50代男性) ・「あおり運転の意識は無かったが、車間距離を詰めすぎて、同乗者にあおり運転になると言われた」(三重県、60代男性) ・「相手が危険な割り込みをして来たため、指導するために追いかけた」(兵庫県、50代男性) ・「家族を乗せて運転していた際、合流車線から来た車がこちらを見ずに合流してきたため、急ブレーキと急ハンドルでかわした。家族にも幸い怪我はなく、クラクションを鳴らしたものの、こちらを気にする素振りもなく走行していたため、頭に血が上りあおり運転をしてしまった」(富山県、30代男性) ・「追越車線をゆっくり走っている車を左から抜くのは交通違反だから、どうしようもない」(東京都、40代男性) ・「法定速度より遅い速度で前を走っており、自分も後続からのプレッシャーを感じたため、こちらもプレッシャーをかけるために近付いた」(千葉県、50代男性) ・「加害者ではあるが、同時に被害者でもある。急なハンドル操作はあおり運転に見なされる。事故を未然に防げただけありがたいと思えとさえ言いたい」(東京都、60代男性)



寄せられたエピソードからは、追越車線をゆっくり走ったり、割り込みをされたりしたことを理由に、自分はあえて「あおり運転」をしたと正当性を主張する声が散見されました。



●「あおり運転」されたことのある人は7割



一方、「あおり運転」をされたことが「ある」と答えたのは、7割以上となりました。





「あおり運転」に対してどう対処したかを複数回答で尋ねたところ、「道を譲った」(36.7%)が最も多く、「何もしなかった」(29.2%)、「スマホやドライブレコーダーで記録した」(8.7%)と続きました。





「あおり運転」をされたときに、記録があれば重要な証拠となります。「ドライブレコーダーを取り付けていますか」と尋ねたところ、6割が「はい」と回答しました。



●「あおり運転」された人の声

「あおり運転」をされたことが「ある」と回答した人に、自由回答で具体的なエピソードについて尋ねたところ、以下のようなコメントが寄せられました(抜粋)。



・「後ろから車間距離を詰められ、更にハイビームで運転をしにくくされたため、路肩に寄って道を譲ったら、抜かすタイミングで私の車に対し、睨みつけながら何かを叫んでいた」(愛知県、30代女性) ・「高速道路でのことが多い気がします。どいてほしくて左右に車体を動かしたり、パッシングをされたりしました。避けようにも前も詰まっていることも多く、見えていないのかと思うこともあります」(東京都、50代女性) ・「高速道路で追い越し車線を走行中、後ろから近づかれて法定速度以上のスピードを出さなければいけなくなった。あまり運転しないので恐怖を感じた」(大阪府、50代男性) ・「車間距離を詰められ、ハイビームを着けたり消したりする迷惑行為をされた事があります。軽自動車で初心者マークをつけていたせいで、標的にされやすいように感じました」(静岡県、30代女性) ・「片側一車線の道路で法定速度にて走行中に、何度もスピードを上げて詰められたり離されたりを繰り返しされました。停車する路肩も無かった為、逆にゆっくり走行し脇道へ逃げ込みました」(福島県、30代女性)



高速道路や片側一車線の法定速度で走行していると、猛スピードで迫られて怖い思いをしたという声が複数寄せられました。また、軽自動車や初心者マークをつけているとあおり運転をされるという意見もありました。



●交通問題に詳しい西村裕一弁護士のコメント

「あおり運転をしたことを後悔していない」という回答が半数を超えていることに驚きました。おそらく後悔されていない方は実際にあおり運転をしたのが法改正前であったり、具体的な処罰を受けていないのではないかと思われます。



あおり運転の罰則は重く、3年から5年の懲役または50万円から100万円以下の罰金となっています。加えて、免許は一発で取消しとなり(違反点数25点もしくは35点)、2年もしくは3年間免許の再取得ができないことになっています。



「相手の方が悪い」というコメントも散見されますが、だからといってあおり運転にならない、罪に問われないということではありません。



ドライブレコーダーの普及率がこのアンケートでも60%を超えており、映像として残ることで、あおり運転が後日客観的に摘発できるケースも増えてきていますし、社会問題として関心もあがっています。



「ここで譲るのが普通」、「スピードが遅すぎる」といった運転感覚は、ドライバーそれぞれによって変わってくる側面があります。「指導してやる」などと思わずに、くれぐれも、あおり運転をしないようにしていただきたいと思います。




【取材協力弁護士】
西村 裕一(にしむら・ゆういち)弁護士
福岡県内2カ所(福岡市博多区、北九州市小倉北区)にオフィスをもつ弁護士法人デイライト法律事務所の北九州オフィス所長弁護士。自転車事故も含め、年間100件以上の交通事故に関する依頼を受けており、交通事故問題を専門的に取り扱っている。
事務所名:弁護士法人デイライト法律事務所北九州オフィス
事務所URL:https://koutsujiko.daylight-kitakyushu.jp/