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ワークマン『フィールドコア 高耐久シューズ アクティブハイク』。新しいもの好きに“リピ買い”させるオフロード靴

2023年04月07日 14:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
かのスティーブ・ジョブズが生前、いつも同じ格好をしていたことはあまりにも有名な話だ。


イッセイミヤケのタートルネック、リーバイスの501、ドイツのアイウェアブランドであるルノアの丸メガネ、そしてニューバランスのM992を自分のコスチュームと定め、10年以上にわたり常に同じものを身につけ続けた。

○■“決断疲れ”を避けた“スティーブ・ジョブズ”流服装術



世界的大企業であるアップルの最高経営責任者として、日々たくさんの重大な決済をしなければならなかったジョブズは、“決断疲れ”を避け、より重要な仕事や創造に集中するため、毎朝の服装選びに費やすエネルギーを節約したのだという。



そうした考え方は、後にFacebookのマーク・ザッカーバーグやオバマ大統領も採用、また世界中の多くのビジネスパーソンやミニマリストも影響を受けた。


確かに、そうすることによって彼らは、一つの大きなストレスから解放されたのだろう。

でも僕は個人的に、スティーブ・ジョブズ流服装術に共感することはできない。

もちろん、歴史的偉業を成し遂げてこの世を去った巨人、またそれに賛同する人々の先進性を否定するつもりはまったくないが、僕個人としては、身につけるものを選ぶことを、雑事ともストレスとも感じないからだ。



むしろ今日は何を着ようかとか、新しくどんな靴を買おうかと考える時間は、我が人生を豊かにしていると考える。

それも、もちろん僕に限ったことではないのだろうが。



ジョブズ流の考え方をする人たちは、着替え用に同じアイテムを何着も揃えている。

また、服や靴が傷んで買い直すときは、今までと同じものを「リピ買い」(気に入った商品を繰り返し購入すること)する傾向にある。



一方、僕と同じような考え方をする人は、クローゼットの中にはてんでバラバラの服が並び、何かを買うときは、前に買ったのとはできるだけ違うものを探すように努めるだろう。



でも、何にでも例外はある。



買い物については新奇性追求傾向が強い僕にも、あまりにも気に入ってしまったため、連続して同じものを買い求めることが、ごくたまにあるのだ。



今回紹介するアイテムが、まさにそれである。



ワークマンのオリジナルブランドであるフィールドコアのシューズ、商品名は『高耐久シューズ アクティブハイク』。

ワークマンが、登山ギアのレビューサイト「OUTDOOR GEARZINE」編集長である久冨保史のアドバイスを参考に開発したアウトドアシューズだ。


○■躍進著しいワークマンが2020年秋、世に送り出した高性能オフロード用シューズ



創業以来、長年にわたるワークウェアづくりで培ったノウハウを活かし、アウトドアウェアを中心とする一般向け商品を売り出したワークマンの躍進ぶりは今さらいうまでもないが、このトレッキングシューズも、ワークマンによる非・ワークウェアのひとつだ。



発売は2020年秋だったが、リリース直後から大きな話題となったため、店頭ではしばらく品薄状態が続いた。

僕も発売のアナウンスがあった頃から、そのコンセプトとデザインに心惹かれ、これはぜひ買おうと決めていたものの、ワークマンの店頭でもネットショップ上でも、いつも売り切れていた。

そして発売から半年ほど経った2021年春頃にようやく、たまたま運よく入荷直後の店に行きあたり、発見して購入に至ったのだ。

『高耐久シューズ アクティブハイク』は本格的な登山靴ではないが、アウトドアシーンで使いやすいように様々な工夫が施された、全天候型のオフロード用シューズである。

アッパーのシューレースの形状や、ボリューム感のあるフォルムなどは、登山靴らしいデザインだが、全体的にシンプルに仕上げられているので、どんな服にも合わせやすく、街でもおしゃれに履くことができる。



発売された2020年頃に流行最盛期を迎えていたダッドスニーカーを意識したのか、厚底のぼってりした形状が特徴。

だが、アッパーもソールも過剰なデフォルメは避けているので、ダッドスニーカーの流行が収束した現在でもまったく違和感はない。



発売当時にこのシューズをぜひ買いたいと思った大きな理由の一つは、僕がデュアルライフ(二拠点生活)の実践者だからだ。

生活の基盤を置く東京の家以外に、山梨県・山中湖村にも家を持ち、二つの家を行ったり来たりしながら生活しているので、街でもアウトドアでも履けるハイブリッドな靴が重宝しそうだと思った。



山中湖村といえども、別に山奥に家があるわけではないので、歩く地面は基本的に東京と同様の、舗装されたアスファルトだ。

だが、東京よりも未舗装路は多いし、大きな庭はもちろん全体が土だ。

山中湖畔の水際で犬の散歩をしたり、ときには山に入って薪集めをしたりすることも多く、やはりオフロードシューズを履いていた方が、何かと便利だったりする。



購入して実際に使ってみた結果、僕はこの靴をすっかり気に入ってしまった。

ソールのグリップ力が良くて滑りにくく、足をしっかりホールドしてくれるので安心感は抜群。

コーデュラナイロンで作られたアッパーの生地には、SplaTECHという特殊加工が施されているため撥水性に優れ、雨の日やぬかるんだ道を歩いても、中まで水が浸透してくることはまずない。

そして撥水性の高さゆえか、汚れにくいのだ。


○■2種類のカラーバリエーションがある『高耐久シューズ アクティブハイク』



そうした良さに気づいてからは、自然とこの『高耐久シューズ アクティブハイク』をヘビーローテーションで履くようになった。

デザインも、履けば履くほど愛着が湧いた。

季節を選ばないのもこのシューズのいいところなので、四季を通じて履き倒した結果、最初の一足はソールがかなりすり減り、さすがにアッパーもくたびれ気味になってきた。


そこでこのたび、リピ買いをすることにしたのだ。

迷わず同じものをまた買おうと考えたもう一つの大きな理由は、このシューズが驚くほどの低価格だからだ。

税込で1900円なのだ。

ぱっと見、とてもそうは思えないだろう。

僕も最初はこの値段に、本当に驚いたものだ。



そして今この原稿を書きながら、改めてつくづくとこのシューズを眺めているのだが、やっぱりいまだに信じられないような高コスパだと思う。

今回新しく買った方もへたってきたら、きっとまた同じものが欲しくなるだろうから、なんならあと2~3足、あらかじめ買っておいてもいいような気さえする。

何しろ2000円でお釣りがくるのだ……。



とはいえ、やはり基本的に同じものを連続で買うことに抵抗感を持っている僕は、前回とは違う色を選んだ。

『高耐久シューズ アクティブハイク』のカラーバリエーションは、“ブラック”と“リアルツリー”というカモフラージュ柄の2種類がある。


2年前に買った最初の一足は、どちらにしようかと悩んだ末に、オフロードシューズらしい “リアルツリー”に決めた。

でも、今回新しく買ったブラックの方が、より普通の服に合わせやすそうなので、タウンユースには向いているだろう。



僕は結構なワークマンファンで、他にも色々とワークマンアイテムは持っているが、やっぱりここ最近の中ではこのシューズが自分の中での「ザ・ベスト・オブ・ワークマン」。

珠玉の一足だと思っている。



いい年して1900円の安物シューズなんて履けるか、と思っているアナタも、騙されたと思ってぜひ一度履いてみることをおすすめする。

目から鱗が落ちることは請け合いだから。



文・写真/佐藤誠二朗



佐藤誠二朗 さとうせいじろう 編集者/ライター、コラムニスト。1969年東京生まれ。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わり、2000~2009年は「smart」編集長。カルチャー、ファッションを中心にしながら、アウトドア、デュアルライフ、時事、エンタメ、旅行、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動中。著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』(集英社 2018)、『日本懐かしスニーカー大全』(辰巳出版 2020)、『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック』(集英社 2021)。ほか編著書多数。 この著者の記事一覧はこちら(佐藤誠二朗)