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小池百合子、山本耀司らが審査 東京都が主催する若手ファッションデザイナー発掘コンテストが開催

2023年04月05日 20:01  Fashionsnap.com

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第1回 NEXT FASHION DESIGNER OF TOKYO 授賞式

Image by: FASHIONSNAP
 東京都が主催する、世界で活躍する若手デザイナーを見出し育成することを目指すコンペティション「ネクスト ファッション デザイナー オブ トウキョウ(NEXT FASHION DESIGNER OF TOKYO、以下NFDT)」の受賞者が決定した。最終審査はファッションショー形式で行われ、小池百合子東京都知事や東京藝術大学学長の日比野克彦、ファッションディレクターの原由美子、衣装デザイナーの黒澤和子らが審査会に参加。

 NFTDは、フリー部門と、障害のある方の着用を前提としたデザインを募集したインクルーシブ部門の2部門を用意。ファイナリストに対しては、最終審査までに作品をビジネス視点やユーザー視点からブラッシュアップするための様々なワークショップが実施され、インクルーシブ部門のファイナリストには障害当事者の視点やニーズをヒアリングする機会が与えられた。
 フリー部門の大賞は文化服装学院の高山光が、優秀賞はエスモードジャポンの松本衣織が受賞。インクルーシブ部門の大賞はエスモードジャポンの河村奈央子、優秀賞は国際ファッション専門職大学の丸山奈月と野島瑛貴が受賞した。山本耀司賞は「いずれも甲乙つけ難く、ひとつに絞ることができなかった」として、山本耀司が選出したフリー部門、インクルーシブ部門のファイナリスト14組全てに奨励賞が贈られた。日比野による講評では、「ファッションは、1番身近な表現でとても影響力がある領域だと考えている。インクルーシブのためにファッションの力が必要なことを実感した。この3年間でコロナなど当たり前の生活を困難にすることが起きているが、ファッションと皆さんの力によって、未来を築いていく一歩になったと思う」と受賞者を祝福した。
 最終審査中に行われたトークセッションには、一次審査員を務めたテキスタイルデザイナーの梶原加奈子とバリアフリーマップアプリWheeLogの代表理事織田友理子、インクルーシブ部門のアドバイザーのバリアフリークリエイター加藤さくらが登壇。自身も車椅子での生活を送っている織田は、「ファッションショーを見ると、立った姿が美しいことを前提に服が作られているファッション業界に疎外感を感じ残念に思うことも多かったが、NFDTは障がい者にのみ焦点を当てるのではなく、健常者も障がい者もみんなが楽しめることをコンセプトに作られているのが良い。NFTDのインクルーシブ部門が今後社会に変化を生むきっかけになれば」と期待を述べた。娘が重度の障害を持つ加藤は「車椅子生活をしている娘は、可愛い服を着ていると、可哀想、ではなく、可愛いねと声をかけてもらえる。ファッションはコミュニケーションになる」と、実体験をもとにインクルーシブなファッションデザインが生むポジティブな影響への期待を語った。
 最終審査会に参加した小池都知事は、「クリエイティブでデザイン性に優れ、マテリアルにもこだわりを感じ躍動感があった」と学生作品への感想をコメントするとともに「2021年のパラリンピック2020大会は、世界人口の15%が何かしらの障害を持つと言われている中で開催された。障害を持つ方が感じている困難や問題点をファッションで明るく楽しくできないか、と設けれらたインクルーシブ部門が、今後のファッション産業にとっても新しい文化として、また東京から世界へファッションを発信していくという意味でもきっかけになってほしい」と第1回の開催ができたことへの喜びと、この取り組みを今後に繋げていく意気込みを見せコンテストを締め括った。

■NEXT FASHION DESIGNER OF TOKYO:公式サイト