春の新生活にあたり引っ越しシーズンがピークだが、数が多ければ引っ越しにまつわるトラブルも増えるだろう。長野県に住む30代前半の男性(技能工・設備・交通・運輸)は、
「引越会社に勤めていた時なのですが、私が担当したお客様で凄まじいクレームになったことがあります」
と苦い経験を語り始めた。当時、男性は営業で「お客様の家に訪問し、持っていく荷物の確認、値段の提示をして契約」をする役割を担っていた。(文:okei)
「他のものは自分で運ぶから安くしてくれという依頼」だったが
「そのお客様は家財を全て運ぶのではなく、一部の大きな物のみを運んでほしい、他のものは自分で運ぶから安くしてくれという依頼でした。そのため冷蔵庫やタンスなど、大きな物のみを運ぶという見積もりで、単身引越と同等の料金で契約になりました」
そこは一戸建てだったが、単身引越と同等なら半額以下ほどにも安くなる。ところが、「いざ引越当日、作業員がそのお客様の家に訪問し、運ぶ荷物を確認すると」驚くことに
「は?全部運ぶに決まってるでしょ?」
と言い出したそう。料金的にも作業員の人数的にも、とても全部運べる状態ではなかった。それを説明しても相手は
「私は営業に全部運ぶと伝えた。運べる状態じゃないのはただのそちらのミス、仕方ないから少し手伝ってやるから荷物を全部運べ」
の一点張りだったという。初めからそのつもりだったのではと疑いたくもなるが、客の落ち度を証明するすべもなかったのだろう。「しかしその家は一軒家。単身と同等レベルの荷物しかないと思っていた為、到底人数もトラックも足りない」と危機的状況だった。そのため、
「急遽店舗にいる元作業員であった管理職数人がトラックを運転しその引越現場に行き、引越作業を行うということになってしまいました」
と管理職がフォローしてなんとか急場をしのいだようだ。
「すさまじい負い目で吐きそうでした」
男性は「当時新卒4か月目」だった。入社早々起きた想定外の出来事をこう回想している。
「私はそのとき営業に出ていたため、そんな状態になってるとは知らず、営業から帰ってきた時にその話を聞かされました。管理職が自分のせいで駆り出されたとすさまじい負い目で吐きそうでした」
その現場に関わった人全員に謝ると、
「みんな『お客さんが悪い』と言ってくれましたが、私がもっと『一部の荷物しか運びません』と強く押すべきだったと自分を責めました。その日から自信がなくなってしまい契約も取れなくなってしまいました」
社内でひどく責められることはなかったようだが、すっかり萎縮してしまった男性。この件は後々まで尾を引いてしまったようで「人間の汚さを垣間見た気がする出来事でした。あの日からなんとなく人間不信になってる気がします」と悪影響を綴った。
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