2023年04月05日 16:31 弁護士ドットコム
法律の専門家である弁護士には、接客業という側面もある。弁護士ドットコムが会員弁護士に、相談者や依頼者からの「カスタマーハラスメント(カスハラ)」被害の経験をたずねるアンケート(2023年3月実施)をしたところ、100人が回答し、約4割が「ある」と答えた。
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「ネットに事実無根の口コミを書かれた」「執拗に電話をかけられた」といった内容が多かった。中には暴行や脅迫、殺害予告といったケースもあった。
回答の内訳は次の通り。性別やキャリア年数で明確な差はみられなかった。
・よくある:3.0%
・ときどきある:39.0%
・どちらともいえない:12.0%
・あまりない:38.0%
・まったくない:8.0%
具体的な被害内容をみてみると、執拗な電話やメール、頻繁な来訪などが多かった。法的トラブルに巻き込まれたストレスがあるのだろうが、それゆえに感情的であることも多く、対応する弁護士は時間を奪われたり、心理的なダメージを負ってしまう。
「常識的と言えない回数や長さの執拗な電話がくる」
「連絡と称して頻繁に事務所に来る」
「金を払っているのだから、時間関係なく対応しろ、依頼者の都合に合わせて対応しろなどの過度の要求をされる」
自身の主張が通らないことに怒り出す相談者・依頼者も多い。感情をぶつけるだけでなく、ネットに悪口を書き込んだり、弁護士を脅迫したりするケースもあった。
「法的に通らない主張だったため、なるべく丁寧に法的に相手への請求が難しいということを回答したが、自分の主張が通らないことに激怒し、何通ものメールで暴言を吐かれ、弱者を見捨てるのかと言われた」
「きちんと業務をしているのに、結果がでないことで非常識な返金を求める。ただし、本人に業務妨害という意識があったかは不明。自分の要求を通したいということでやや非常識な対応をしていただけかなとも思う」
「ネットの口コミに事実無根の悪口を書かれる」
「着払いで郵便物を送り付けられた」
「手書きで『夜道に気をつけろ』という手紙が入った花束を渡された」
弁護士会に懲戒請求をされるケースも珍しくないようだ。
「納得のいかない結論や、方針になってしまった場合に懲戒するぞなどと言われたことがある」
「まったく理由がないのに不当な懲戒請求申立てをされた。申立書にも具体的記載はなかった」
弁護士が対応するのは相談者や依頼者だけではない。ときにはその相手方から恨まれることもある。
「相手方から暴行・脅迫を受け、刑事事件になった」
「相手方から連日のように殺害予告を含めた脅迫電話を受けた」
「相手方に事務所の入っているビルの玄関前に居座られたことがあるほか、何回も迷惑電話をかけられたことがある」
「相手方からSNSに名誉を毀損する虚偽の書き込みをされた」
「闇金から大量のファックスを送りつけられた」
弁護士はストレスが多く、精神疾患にかかる人も多いとされる。アンケート結果からは、弁護士業務の「感情労働」という側面が見えてくる。