高熱が出ているにもかかわらず仕事を休ませてもらえなかったという経験談が寄せられた。セルフガソリンスタンドのスタッフとして勤務していた60代男性(兵庫県/年収150万円)によると、男性はその時、新型コロナウイルスに感染していたという。(文:林加奈)
「熱があるので帰っていいか?」と聞いたが…
2022年冬の朝、男性は38.5度の発熱があった。これほどの高熱なら休むのが当然だが「上司に電話してもつながらないし、どこにも申し出るところがなく、解熱剤を飲んでガソリンスタンドを開けて仕事をした」という。その後上司が来て
「『熱があるので帰っていいか?』と聞いたが『君が帰ったらスタンド閉めないといけない』と、暗に否定された。その日は何とか勤めて、次の日会社を休んで発熱外来に行ったら『コロナ』陽性でした」
その後、2週間の休養を余儀なくされた男性。その分給料が減ってしまったが、今年3月に「健康保険組合では、コロナ陽性組合員に対して『傷病手当』が出るシステム」があることをインターネット経由で知ったという。
「そんな方法があるのに会社は一切説明がなかったので、そのことに気づいた日に即行で退職することをメールで上司に送り付けた」
と、退職の経緯を綴っている。傷病手当は自身で申請する必要はあるが、会社に誠意があるなら説明があって然るべきだろう。
「本当に従業員をないがしろにしている」
この件とは別に、男性は「年次有給休暇」について勤務先から
「日勤の給与の6割くらいで会社が買い取る仕組みになっている」
と言われ「有給休暇の恒常買い取りは違法なのになぁ~とさらに不信感が募った」と明かしている。有給休暇の買取りは原則禁止されており、実施にも一定の条件を満たす必要があるが、この会社では買い取りありきになっていたようだ。
「結構大手の会社の下請けだったのに、違法行為が日常的に行われていたことに愕然としている」と綴る男性。
「それまでにも、休憩時間がきちんととれない、サービス残業があったりと、いろいろ細かい不満はあったが、コロナでも朝連絡する先がないのと、有給買い取りを堂々とやっていることには、本当に従業員をないがしろにしていると感じています」
と心境を吐露した。最後まで会社に対する不信感を拭えなかったようだ。