荒木飛呂彦原作によるTVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」の最終話放送直前上映イベントが、去る3月26日に東京のユナイテッド・シネマ アクアシティお台場で開催された。
【大きな画像をもっと見る】イベントには空条徐倫役のファイルーズあい、エルメェス・コステロ役の田村睦心、ウェザー・リポート役の梅原裕一郎、ナルシソ・アナスイ役の浪川大輔と、鈴木健一総監督が登壇。トークイベントに先立ち、スクリーンでは第36話と第37話、最終回となる第38話が上映された。
4月7日に最終話の放送を控えた現在の心境として、鈴木総監督は「疲れたねー……。でも無事に終わることができました。目指した方向にいい感じに進むことができましたし、役者さんもスタッフもがんばって、いいフィルムになったと思います」と出来栄えに自信を見せる。徐倫たちの前に立ちはだかるプッチのスタンドであるメイド・イン・ヘブンの表現には工夫を凝らしたといい、鈴木総監督は「どうやって“時の加速”を見せるか、というのはこのシリーズが始まったときから考えていて。ここは大変だとわかっていたので、頭を悩ませましたが、皆さんが驚くような絵を作りたいと思って挑戦しました」とコメント。苦労の甲斐あってか、田村がメイド・イン・ヘブンの映像を見た際には「速すぎてこれは勝てる気がしない」と感じたという。
徐倫としてプッチとの最終決戦に挑んだときの気持ちを問われたファイルーズは「今までプッチと戦うときは徐倫が1人で立ち向かうことが多かった」と前置きしつつ、「最後は自分だけじゃなく、みんながそれぞれの力を合わせて立ち向かうことで、その場にいるみんながバディのようで勇気を貰えました」とほほ笑んだ。アニメでは原作にないセリフも多かったとして、ファイルーズは「F・F(フー・ファイターズ)も含め我々3人のセリフを増やしていただきました。でも原作にないからこそ、違和感のないセリフ回しをどうするか、睦心さんに先輩としてリードしていただき、(伊瀬)茉莉也さんと一緒に考えていました」と振り返った。
エルメェスについて田村は「(最終決戦の頃には)エルメェス自身の目的は、一応果たせた状態でしたよね。その後はわりと、リアクションと解説担当だったというか……(笑)。いかにこの敵がヤバいか、いかに徐倫が成長したかを説明するポジション」と表現する。しかし田村は疑問に思っていたことがあるようで、鈴木総監督に「なんであんなに『なにィイイーーッ!!』っていうセリフが多かったんですかね……?」と質問。鈴木総監督は「過去シリーズを見ても、ポルナレフとかスピードワゴンもそうだったでしょ」とあっさり答える。田村は「そのポジションをいただいたっていうことですね。大切な役割をいただきました」と感謝した。
作中では無念の退場となったウェザー・リポート役の梅原が、「みんなに意志は託しているので、本日はいち視聴者として参加しています」と姿勢を正すと、浪川から「いち視聴者がここにいるのすごくない?」とツッコミが飛ぶ。自身演じるウェザー・リポートという人物に対して、梅原は「確かに報われない人生で、彼が世界を恨んでしまうのももっとも。でも自分が何者か知らないまま死んでいくよりは、自分の真実を知れてよかったのではないでしょうか。自分の人生を清算するつもりで、徐倫にあとを託せたことは彼にとって大きいかなと思います」と意見を述べた。
ファイルーズたちから、「アナスイが承太郎に徐倫との結婚を許してもらおうとするタイミングが意味不明過ぎる」と言われた浪川。アナスイの心情について浪川は「たぶん自分が先に進むきっかけが欲しかったのかな。アナスイも怖かったろうから、覚悟というスイッチを押してほしいという気持ちがあったと思います」と分析する。決死の訴えを承太郎に訝しがられ、意気消沈するアナスイの演技に鈴木総監督が「最高の演技でした。あそこはギャグ過ぎてもシリアスになり過ぎてもダメなので。感動しました」と絶賛すると、浪川は「ありがとうございます」と笑顔を見せた。
続けて浪川は鈴木総監督に向け「『ストーンオーシャン』はキャラのポーズも服も凝っていて作画が苦労されそうですが、特に苦心したのはどういう点ですか? ウェザー・リポートのフワフワ?」と質問。鈴木総監督はファッションという点に絞り、「徐倫の服のしましまを含めみんな苦労しましたけど、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズはあのデザインだからカッコいいんです。その良さを表現できるように頑張りました」とコメントする。徐倫のキャラクターデザインについては「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」の流れも組み込むため、徐倫がジョースター家からどういう血を受け継いでいるかというところまで考えられたという。ファイルーズは「徐倫の前髪や髪の毛の明るい部分にお母さんの要素がありますよね。お母さんのことも大事にしてくれてるところがうれしかったです」と声を弾ませた。
最後に登壇者たちは観客に向けて挨拶。ファイルーズは「空条徐倫役です、と皆さんの前で言えることが本当に幸せです」と話した直後、感極まり目頭を押さえる。目を赤くしたファイルーズは「『ジョジョ』のおかげで辛いことも苦しいことも乗り越えてこられました。人生の道しるべになった作品に関わらせていただけたことは、感謝しかありません。『ジョジョ』を愛する人に徐倫の生きざまを見せられたことは人生で最大の誇りになりました」と熱い思いを述べ、イベントを締めくくった。
(c)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険 SO 製作委員会