Text by CINRA編集部
4月7日公開の映画『ザ・ホエール』のアートポスターが公開された。
『第95回アカデミー賞』主演男優賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した同作。ボーイフレンドを亡くして過食状態になった40代の男チャーリーが自分の死期を悟り、家庭を捨てて以来別れたままだった娘に再び会う決意をするというあらすじだ。監督はダーレン・アロノフスキー。272キロの巨体の男チャーリー役をブレンダン・フレイザーが演じたほか、セイディー・シンク、ホン・チャウらが出演。
台湾出身アメリカ人アーティストのジェームズ・ジーンが手がけたアートポスターには、チャーリーの顔が全面に配され、「僕は信じたかった」というコピーが添えられている。
ダーレン・アロノフスキー監督はポスターについて、「僕とジェームズは古くからの友人。今までもコラボレーションしていますが、アーティストとして彼は超多忙なので『公開前に映画を観ないか』という誘い方で、ある意味、罠を仕掛けました(笑)。すると彼は『ああ、この映画のために絵を描かなくちゃ』って言ってくれたんです」と語っている。
日本公開に合わせてブレンダン・フレイザーが来日。都内劇場での公開記念舞台挨拶『ブレンダンを祝福・応援しよう!』のオンライン参加者の募集が本日3月29日18:00からスタートする。上映付き舞台挨拶のチケットは3月31日から先行抽選販売。
【ジェームズ・ジーンInstagramのコメント】
昨年『ザ・ホエール』を観て、ダーレン・アロノフスキーからポスター制作の依頼を受けた時、私はすぐに画家のルシアン・フロイドが描いたリー・バウリー(パフォーマンス・アーティスト)の肖像画や、キキ・スミス(アーティスト)の自画像“My Blue Lake”を思い浮かべました。
後者は、キキ・スミスが自分の胴体の表面を特別なカメラで撮影し、皮膚の立体地図のようにもみえるイメージを作り出したものです。
ブレンダン・フレイザーが演じるチャーリーを描く間、私はフロイドに倣おうとしました。モデルであるバウリーに対して親しみを込める一方で、情け容赦のない―彼の観察眼です。
映画の中で、チャーリーの苦悩の深さは彼の肥大した体で表現されています、そこにすべての感情を押し込めるように。
皮膚は外部と内部の単なる薄い境界線で、彼の苦悩は画面いっぱいに余白をも超えて広がる。そして彼の人間性や楽観性が顔の凹凸において破壊します。しわくちゃの紙の繊細な質感がその肖像に組み込まれ、それはチャーリーが長い間大切にし、ぎりぎりの彼を支え握りしめていた、娘エリーのエッセイを思わせます。
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