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梅田サイファー、メジャーデビューでファンの祝福も「ほんで?」の真意とタイトルに隠された“意味”

2023年03月29日 08:00  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

3月29日(水)にメジャー1stアルバム『RAPNAVIO』をリリースする梅田サイファーの(左から)KOPERU、peko、KennyDoes

 2019年に『Never Get Old』、『トラボルタカスタム』、2021年には『ビッグジャンボジェット』など、精力的にアルバムをリリースしながら、人気YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』への出演や2022年の『キングオブコント』では、芸人たちを紹介するオープニングテーマを手がけるなど、着実にステップアップしてきた梅田サイファーが、2023年3月29日にリリースする『RAPNAVIO』でメジャーに進出する。

 今作には『キングオブコント』オープニングテーマをリアレンジした『KING』なども収録され、梅田サイファーの新たな船出に注目が集まっている。

梅田サイファー・peko、KOPERU、KennyDoes特別インタビュー

 そこで、『週刊女性』ではメンバーのpeko(ペコ)、KOPERU(コペル)、KennyDoes(ケニーダズ、以下Kenny)の3人に特別インタビューを敢行!

 そもそも梅田サイファーとは、あくまで“個”の集合であり、グループやユニットではない。その成り立ちは、大阪・梅田の歩道橋で行われていた、不特定多数が輪になってフリースタイルでラップをする“サイファー”に起因する。そのため、参加した時期もバラバラだ。

KOPERU「僕が初めて行ったのは15、16歳とかですね」

peko「俺が2007年で、たぶんKOPERUも2007年か2008年です」

Kenny「で、僕が2012年」

peko「そんな遅いの?」

Kenny「遅いっす遅いっす。梅田サイファーができて、4年か4年半ぐらいたってからなんで」

 それぞれ、インターネットや友人を介して集まったという。

pekoいわゆるクラブとかの“現場”って呼ばれるところの空気になじめない人たちが、インターネットを通じて、“ラップできる場所がないか”みたいな感じで集まったコミュニティーだと僕は認識してます。解釈はそれぞれで違う部分もあったりするんですけど、ネットで知ってっていうのがほとんどじゃないかなと思いますね」

Kenny「僕はKOPERUくんからの紹介で“フリースタイルしたかったらこういう場所あるけど、どう?”って言われて。別のライブで話しかけたときに、その延長線上で誘ってもらいました」

KOPERU「すごく誘いたい時期があったんです。“友達増やそう”みたいな。たくさん人が集まれば、ラップが途切れずにサイファーがずっと続くんじゃないかと思って、いたるところでいろんな人をスカウトしました」

Kenny「テークさん(テークエム)とかも、そうっすよね」

KOPERU「テークくんと、R(R-指定)とか……」

 “遊び”として楽しんでいたことがメジャーに進出するわけだが、本人たちはいたって変わらない。

メジャーでもやることは変わらない

peko「むちゃくちゃドライに言うと、あんまりやることは変わらないんで。規模感を大きくしていただいてるありがたみはあるんですけど、それで“よっしゃ!”というよりは、逆に“地に足つけて”っていう感じです。ただ、みんなで梅田サイファーっていう“現象”をメジャーのフィールドに持っていったっていう事実が奇跡だなと思って、感動はしますね。それこそ、こういうメンツで全然人がいないクラブでパーティーやってて、みんなで“絶対かまそうや”みたいなことは言ってたので、ドラマチックだなとは思うっすね」

Kenny「そもそも、メジャーデビューを目標にしてきてたら、すげえうれしさが出ると思うんですけど、いろんな人にお手伝いしてもらいながら、さらに自分たちの音楽が届くところを大きくするっていうことやと思うんで。“メジャーデビューおめでとうございます!”みたいな感じで、ファンの方が言ってくれるんですけど、“ほんで?”ってなっちゃいますね

peko「めっちゃイキるやん」

Kennyまあ、これがゴールじゃなくてスタートなんで。新しいスタートに立った気持ちではいます

 梅田サイファーにはソロやほかのユニットでも活動するメンバーが多く、それぞれにいい影響があるという。

peko「技術的なものや、ソロでやってきたことをこっち(梅田サイファー)に持って帰ってくることもあったり、ソロでやりきれないことを梅田サイファーで試してみるみたいなこともあります。1番いい感じで肩の力を抜いてできるのが梅田(サイファー)な気はしてるっすね

KOPERU「ラッパーが何人もいて、1人1人個性がしっかりとあって、自分にはないものを持ってる人がいたりするんで、刺激をひたすら与えてくれる場所が梅田サイファーですね。10年以上いるメンバーばかりなんで、長いからこその刺激がある部分であったり、切磋琢磨できるなっていうのはあります」

Kenny「梅田(サイファー)のほうが楽な部分と、ソロのほうが楽な部分とどっちもあります。梅田はみんなで曲作るから、決めなあかんこととかこの方向を向きたいみたいなときに、自分1人やったら簡単に向けるんですけど、みんなで向くからそこは難しいなって。でも、そのバランスがどっちにもいい作用をしてるというか。例えば、自分以外の意見を聞くことでソロ活動に生きてくることがすごくあるので、いい感じに相互作用があります」

KOPERU「説得するの、めんどくさかったりするよな(笑)」

Kenny「めっちゃめんどくさい。てかもう連絡とるのがめんどくさいです(笑)」

 これまでの作品には、アルバムタイトルと同じタイトルの楽曲“表題曲”があったが、今回リリースする『RAPNAVIO』にはない。

アルバムタイトル『RAPNAVIO』の決め手

Kenny「一生懸命話したんすけど、決まんなかったんですよ。曲の中で、どれもタイトルにするにはしっくりこなくて。例えば『KING』は、アルバムタイトルにするには言いすぎだし、『アマタノオロチ』も何のことかわからなさすぎる。『PARTY』も短いし、“検索しても当たらんやろうしな”とかさまざまな観点から考えて、最後にテークさん(テークエム)が『RAPNAVIO』って言って、それに決まりました

peko「昔、大阪に『HEP NAVIO』っていう建物があって、今はもう『阪急メンズ館』に変わっちゃってるんですけど、梅田の土地にちなんだもので、“NAVIO”っていうのがたまたま“船出”みたいな意味合いもあって“いいじゃん”みたいな感じで

Kenny「そうなんすよ、ラテン語かなんかで船出」

KOPERU「へー、そうなんや」

Kenny「こういう感じ、こういう感じです(笑)」

 タイトルに隠された意味を知らないメンバーがいることも、“個”の集まりである梅田サイファーらしさが感じられるが、今作の楽曲では全員が“個”としてその輝きを放っているものが多い。

peko「全員参加の曲が多いんですけど、“みんなの出所を増やす”っていうのは、意識的にやりましたね。短い小節でラップの個性が出せるのが僕らの強みだっていうのが、『KING』という曲でわかったので、その手法を何曲か試したところ“これは梅田サイファー独自のフォーマットなんじゃないか”っていう発見があったので。そういう意味で“全員でやってる感”っていうのは、特に前半ブロックに強いのかもしれないですね」

Kenny「みんなで集まって作ったのも、でかいかもしれないです」

peko「それもあるね」

KOPERU「合宿して作ったっていうのが」

Kenny「1回につき1泊2日か2泊3日で会議室や事務所を使って、朝10時から夜中2時ぐらいまでやったりとかしてました。それぞれのバースに対して、けっこうディレクションが入るし、短い小節でも、集まってしゃべりながらやとお互いバランスが取り合えるのでよかったです」

KOPERU「今までの作品とか自分たちが出してきた音源っていうのは、他者を入れない自分独自のものを“提出する”感じだったんですけど、今回のはみんなが“こういうのどうやろ”っていう提案を聞き入れることがあったり、“もっとこういうふうにしたらよくなるんじゃないか”“じゃあ、それをやってみよう”っていう、みんなが同じ考えというか、それを受け入れる寛容さを持っていました」

Kenny「同じバイブスでしたよね」

peko「うん、温度感っちゅうか」

 しかし、曲順については明確に考え方が違うという。

メンバーそれぞれの推し曲

peko「ライブのセットリストとか、曲順を決めるのも担当することが多いんですが、僕は世代的にアルバムを1から10まで通して聴くタイプなんですけど、逆にメンバーの中には“もうそういう聴き方しない”みたいなこと言うやつもいるし、バラバラなんです。僕は、アルバムとして売るにあたって、曲順をしっかり意識しなきゃダメって思ってるタイプなので、ライブのことも想定して、これが1曲目でライブが始まったらいいなとか、最後にこの曲で終わったらいいなとかはすごい考えて作りました」

 通して聴くとより楽しめるアルバムになっているそうだが、その中でも“推し曲”をそれぞれに聞いてみると……。

KOPERU「僕は『かまへん』がめちゃくちゃ好きです。今までの梅田サイファーが作ってきた音源より自分たちの色も出しながら、リード曲らしく広い窓口に対して作れた曲なのかなとは思います。あとノリも軽いんで好きです」

peko「まー、重すぎないっちゅうか」

KOPERU「重すぎないですね。ようあるんすよ、梅田(サイファー)。1回の衝撃が重すぎて、“次聞くときしんどい”みたいな。それが『かまへん』はあんまないんで、僕はめっちゃ好きですね」

peko「僕は、別のところでは、『BIG BANG』って答えたんですけど、いろいろ聞いてて好きやなって思ったのは『トメラレランナイ』って曲です。梅田サイファーの中でも“新しいことできたな”みたいな。みんなのこと信頼してる部分がめっちゃよく出た曲だなと思っていて、新境地が感じられて好きですね」

Kenny「僕は『KILLING TIME』っすね。曲の内容で表現してる自分たちのスタンスとかテーマっていうのが、自分的には“梅田サイファーそのもの”やと思ってて。“暇つぶし”っていうテーマで、それはある種強がりではあるんですけど、暇をつぶすには犠牲にしすぎた面も俺たちの中にあると思うんです。それでもまだ“暇つぶし”っていう、あの曲調からはあんま見えてけえへん梅田(サイファー)の意地みたいのが、作ってるほうとしてはありますね。僕、ワンフレーズの繰り返しでしか声が入ってないんですけど、めっちゃ好きっすね」

 では、お気に入りの“韻”やバースは?

Kenny「一瞬にして古武道さん(KBD)に支配されてる」

peko「韻の話をすると、どうしてもあの人(KBD)に引っ張られる(笑)。でも自分は、Cosaquくんですね。彼のことは2007年ぐらいから知ってて、別のグループでやってるときからずっと見てました。ずっと“ラップやったらいいのにな”って思ってたんですけど、作品としては多分10年ぐらいやってなくて。でも、今回ひさびさにやったときに“出てくる、出てくる”っていう感じで。『かまへん』のCosaquの2バース目とか、“やっぱめっちゃいいな”と思ったし。全編がめっちゃ上手っていうか、“まだまだこの人やる気やな”と思って、うれしくなったワンラインでしたね」

——今後もっとCosaquさんのラップが聞ける?

Kenny「絶対聞けるっす」

peko「聞けると思うんすね、もうソロ曲とかあり得るっす」

KOPERU「そこまで行くんすね」

peko「『Never Get Old』的な立ち位置で(笑)(※2019年リリースのアルバム『Never Get Old』に収録されたKennyDoesのソロ曲)」

KOPERU「聞きたいな、それ」

 KOPERUのお気に入りは、Creepy Nutsとしても活動するR-指定だという。

KOPERU「1番外に出てるR(R-指定)が“まだラップ進化するねや”っていうのもありましたし、ほんまに各メンバーが突出していてすごくいいんですけど、でもやっぱね、頭に残んのは“唐揚げー!”なんですよね」

 寝坊や借金など、さまざまなことに対して“かまへん”と肯定するリード曲『かまへん』のteppeiのバースだ。

Kenny「あ、俺も同じとこ考えてた! “20㎏も太る、嫁の料理幸せ、身体はそれのしわ寄せ、唐揚げー!止まらんけどかまへん!”ってのがやっぱ好きっすね。しわ寄せって、嫁さんが悪いみたいな言い方するけど(笑)」

peko「ソニーチームも“唐揚げー!”が1番パンチラインって」

KOPERU「唐揚げTシャツ作ろうって言ってた(笑)」

Kenny「どんどん“幸せ”を追っかけていきましょう、俺たちも」

 

 

 

 

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【出演】
peko さん(@peko_sugarless
KOPERU さん(@koperu5802
KennyDoes さん(@kennydoes06

【パーソナリティ】
八木志芳(ラジオDJ)

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