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京都・平等院鳳凰堂で出逢う極楽浄土の彩り

2023年03月14日 10:01  オズモール

オズモール

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◆宇治・平等院をめぐる。鳳凰堂と浄土庭園で出逢った、1000年続く極楽浄土の彩り/京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。

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二十四節気×色をテーマに、京都在住の広報・PRとして活躍する西井さんが紹介する「京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。」。今回は「春分(しゅんぶん)」。

太陽が真西に沈む春分は、西方の遥か彼方にあると考えられていた極楽浄土と、現世が交わる日とされ、お彼岸の起源にもなったという説もあります。そんな極楽浄土の「イロドリ」と出逢える、宇治・平等院を訪れてみました。


◆京都“春分”ノ彩リ、出逢ウ巡ル。/平等院鳳凰堂

写真提供:平等院
平等院とは、そのはじまりは?
今回訪れたのは、京都宇治にある平等院。時の関白であった藤原頼通が、父・道長から譲り受けた別荘 宇治殿を仏寺に改めたことが創建の歴史とされています。

水源の豊かさや、都からほど近い風光明媚な土地であったことから、平安時代には多くの貴族が宇治に別荘を構えましたが、現在ではそのほとんどの寺院や建築は残っていません。

さまざまな困難や災害から奇跡的に免れ、宇治の地で約1000年守られてきた文化や歴史に思いを馳せながら、平等院を巡ってみましょう。



写真提供:平等院
極彩色と丹土色(につちいろ)
平等院といえば、まずは鳳凰堂を思いつく方が多いのではないでしょうか。

創建当時、鳳凰堂内部は極彩色の宝相華(ほうそうげ)文様で埋め尽くされていたとされています。極楽浄土の色彩を表現するために、赤・青・緑の基本配色に加え、色相環で対立上の色である補色を多用するなど、仏教伝来と共に伝わった彩色技術を昇華させ、鮮やかに描かれました。

また鳳凰堂外観では、左右対称に伸びる翼廊は美しく、まるで鳳凰が翼を広げたような姿を連想させます。幸せの前兆に天から舞い降りるとされる鳳凰は中堂大屋根の両端に金色に佇み、まるでその様子は私たちを見守ってくれているように感じます。




写真提供:平等院
印象に残るほど美しい色合いですが、実は平成に行われた大修理において、「丹土(につち)」と呼ばれる赤色顔料を用いて塗装されました。

これは調査の結果、創建時に用いられた塗料であるとされ、昭和の修理で使用された「鉛丹(えんたん)」よりも落ち着いた色調だそうです。ここからも平安時代の人々が見ていた景色と、同じような色彩美を感じることが出来ます。



写真提供:平等院
極楽浄土の彩りを、季節の花咲く回遊式の庭園に
平等院庭園は、西方の遥彼方にあると考えられた極楽浄土の光景を再現しています。仏教の教えに基づき造られた浄土庭園の様式で、鳳凰堂や阿字池だけではなく、宇治川や対岸の山々の景色を含めて、ひとつの庭園とされています。

浄土庭園の特徴でもある回遊できる庭園には、ソメイヨシノやしだれ桜などが植えられており、3月下旬から4月上旬にかけては、桜越しにみる鳳凰堂をご覧いただけます。

また「水に映る不完全な姿こそが真実の姿である」と仏教の経典に説かれており、正面から見るだけでなく、水面のゆらめきに淡く写る鳳凰堂の姿にも意識を向けてしまいます。



写真提供:平等院
平安時代を色濃く反映する鳳凰堂内部
平等院では貴重な鳳凰堂内部拝観が可能となっており、先着受付で各回50名限定ではありますが、職員の方が歴史や文化財についてご案内してくださいます。

平安時代最高峰の仏師と言われた定朝 作の国宝・阿弥陀如来坐像が本尊であり、「仏の本様」つまり仏像彫刻の理想像と讃えられた、そのお姿にぜひ出逢ってみてください。

また本尊を囲むように、長押(なげし)上の小壁にかけならべられている52躯の雲中供養菩薩像(うんちゅうくようぼさつぞう)は、様々な楽器を持っていたり、舞を踊っていたり、どこか可愛らしさと気品さを兼ね備えており、自分だけのお気に入りの像を見つけることも楽しみです。
平等院
住所/京都府宇治市宇治蓮華116
拝観時間/8:30~17:30 (17:15 拝観受付終了)
内部拝観/9:30~16:10(各回50名定員)
※先着順よりなくなり次第終了

拝観料/大人600円、中学・高校生400円
小人300円(鳳翔館入館含む)
※障がい者手帳をお持ちの方は、本人および介添人1名を半額
※鳳凰堂内部拝観料 300円


◆平等院鳳凰堂のよりみちスポット/和旬 Kien

器にもこだわるカウンター和食で、春の彩りをいただく
平等院で極楽浄土の彩りを堪能した後は、美味しい春の彩りを求めて、平等院表門近くにオープンしたばかりの和旬Kienへ。

「本物の和食を、気軽に楽しめる一品料理屋を宇治に。」そう話すのはオーナーの岡本さん。京都や東京など様々な料亭で研鑽してこられた技術を、カウンター越しに楽しめる店内は、穏やかで心地よい空気感に溢れています。

「少しずつ時間をかけて、骨董市などに足を運び集めていました。」子どものような笑顔で取り出した器は、信楽焼から九谷焼まで。欠けたものは丁寧に金継ぎをして、ずっと大切にしているのだそう。料理と器の組み合わせにも、楽しみが広がります。



お昼の献立は、季節の前菜とうな玉重のセット2600円(要事前予約)。彩り豊かな前菜は、岡本さん自らが市場に買い出しに行き、その日ごとに食材を選んで調理しているのだそう。

「旬」のものを彩り良く盛り付ける。丁寧に巻かれた京野菜は、まるで歴史を読み解く巻物のようで、口の中で読みときたくなります。裏漉しされた豆腐もなめらかで、どれも一品料理屋らしい、繊細な仕立てです。



岡本さんが鰻を使った料理が得意だったことから生まれた「うな玉重」。もともとオープン前のテイクアウト限定メニューだったところ、地域の方からのあまりの人気ぶりに復活した看板メニューなのだそう。

目でも味わうことはさることながら、口に入れた瞬間ジュワッと広がる鰻の旨味と、散らされただし巻き卵との組み合わせが絶品です。
和旬Kien
住所/京都府宇治市宇治妙楽32 中宇治yorin 1F
営業時間/11:30~14:00 (13:30LO) 、17:30~22:00 (21:30LO)※日曜は夜営業なし
定休日/月曜日
アクセス/JR宇治駅より徒歩約15分、平等院表門より徒歩約10分