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ワークマンの冷暖房ウェアは「上着の下に着込める」優れもの

2023年03月13日 07:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
低価格・機能性でアパレル業界をけん引する企業の一つとなったワークマン。元々は現場作業に従事する職人向けの衣料がスタートだったのは有名だ。



そんな同社が5月より新しい「冷暖房服」を発売。パナソニックのグループ企業「Shiftall(シフトール)」とコラボ開発した製品の発表会で試着してきたので紹介したい。


○ファン付きウェアと何が異なる?



以前よりファン付きウェアを展開し国内で一定のシェアを獲得していた同社。しかしファン付きウェアは、「服の中に風を循環させ涼感を得る」機能が評価されつつも、「35度を超える猛暑では熱風が回るだけで逆効果」という声もあったという。



そこで今回はペルチェ素子を使って製品自体が冷却する、「『冷暖房』ICE×HEATERペルチェベスト」(1万9,800円)を開発したと、ワークマン快適ワーク研究所で所長を務める柏田大輔氏は話す。


「ベストに取り付けたユニットが瞬間冷却で最大約マイナス10度、瞬間温熱で最大約43度まで温度を調整できます」(柏田氏)



「手元のスイッチだけでコントロール可能」「音が静か」「膨らまない仕様」が特徴となり、特に音が静かなのは従来のファン付きウェアとは大きく異なる。



「ファン付きウェアは静かな場所での利用が憚られる、作業現場で周囲の音が聞こえないことによる弊害という点がありました。本製品は冷却時のファンの音が小さいので、そうした部分を解消できます」(柏田氏)

○開発の経緯



ペルチェ素子を使った冷暖房技術だが、「ペルチェ素子はプラスからマイナスに電気を流すと逆側が冷え、電気を反転させてプラスからマイナスへ流すと熱くなります」と開発を担ったシフト―ル 代表取締役CEO 岩佐琢磨 氏は説明する。



元々はメタバース内で「温度」を感じるデバイス開発で使った技術だったそうだが、VR内だけでなく屋外でも利用可能なものだったと岩佐氏。しかし、VR界隈でビジネスを展開する同社にはそうした機会がなかった。



そこにワークマンからの打診があり、コラボレーションが実現したのだ。


「VRで使うデバイスは体に密着する面が小さくて構いませんが、屋外使用、しかも猛暑・極寒の環境で機能させるにはおよそ4倍の素子を必要だと判断し、さらに夏に間に合わせるよう急ピッチで製品化にこぎ着けました」(岩佐氏)



製品は5時間利用でき、またバッテリーは動作保証外だが、市販されるスマホの予備電源(いわゆるモバイルバッテリー/5V、10,000mAh)も使用可能となる。


○試着してわかったこと



実際に製品を試着したところ、ベストは体に密着させる必要があり、締め付けは少しタイトだが、すぐに慣れるだろうという気がした。


残念ながら、着用時はTシャツに長袖のバスクシャツという厚着のため、製品の持つ「本来の力」を100%は感じ取れず。しかし、冷却時に発生するファンの音はかなり小さく、気にならない程度だった。



また30~40秒で冷却を感じ取れる冷たさになるという。ただ真夏の屋外だと、やはり個人の感覚もあり違うようだ。



商品本部長(兼)生産管理部長の大内康二氏は「効果をきちんと出すには、体にフィットさせることは大事ですね。また、現場作業をされる職人さんの多くは薄手の伸びやすいインナーを着用されていますが、そうした衣類だとより冷たさを感じやすいと思います」と実際の利用シーンを踏まえて説明してくれた。



次に温熱機能を試してみた。手元のコントローラーのボタンを長押しするだけで簡単に切り替えできる。


こちらも冷却時と同じく着用した厚い生地に邪魔されて、機能性を完全には体感できず。



大内氏は「Tシャツくらいの生地感だと一番分かるでしょう。ただ、直接肌に触れさせるのはお勧めしません。平気な方もいるでしょうが、金属アレルギーなどが懸念されます」とくぎを刺す。



その上で、ジャケットの下に着ても「大きな違和感や、見た目の不格好さ」を相手に与えることはないでしょうと本製品の利点を強調する。



実際、ベストに上着を重ねたが、元々少しオーバーサイズのジャケットだったこともあり、外からはまったく分からなかった。


本製品はワークマンが労働寿命の延長を目指す「快適ワーク研究所」から発案されたもので、この商品が正解という訳でなく、毎年アップデートしていくようだ。



大内氏も2024年の夏へ向けた開発も進んでいると明かしてくれた。これから登場する製品にも注目したい。(金井唯)