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裁判IT化、弁護士の期待と不安…ウェブ期日広がり「自由増す」「和解ハードル高くなるかも」

2023年03月10日 15:31  弁護士ドットコム

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裁判IT化に向けた取り組みが進んでいる。弁護士ドットコムは2023年2月、会員弁護士に対して、裁判IT化への期待と不安についてのアンケートを実施した。464人が回答し、ウェブ期日の拡張などについて高い期待が寄せられていることが分かった。


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アンケートでは、以下の4項目について期待と不安の度合いを聞いた。




(1)訴状・送達等のオンライン提出
(2)ウェブ期日等の拡張や要件の緩和
(3)訴訟記録の原則電子化とネット閲覧
(4)エリア外の事件を受任しやすくなる/他エリアからの弁護士の参入




この結果、「とても期待している」ものについては、ウェブ期日等の拡大がもっとも多く57.6%、訴訟記録の原則電子化とネット閲覧(47.0%)、訴状等のオンライン提出(39.9%)、エリア外の受任しやすさ(34.9%)と続いた。





自由記述では次のようなコメントがあった。



「一般的な情報漏洩等への不安を除けば期待しかしていない。特に時間的制約の厳しい刑事の身柄事件や相手方当事者と直に会いたくない場合の期日対応等、リモートで可能になるものが多くなればなるほど、弁護士の自由さも増えると思う」



●他エリアからの参入、意外と不安は少ない?

不安面については、自由記述でセキュリティや情報漏洩の懸念を訴える弁護士は多かったものの、自身が使用すること自体に関しては、特別強い不安項目は見当たらなかった。





他エリアからの参入についても「とても不安」が10.1%なのに対し、「特に不安ではない」が51.1%と多数を占めていた。



ウェブでのアンケートであることや、回答者に都市部の弁護士が多いことが影響している可能性がある。



自由記述には次のような懸念もあった。



「広告をたくさんうち、事務員を大量に雇っているような東京の事務所にすべて事件を持って行かれる」



「ウェブ期日に参加する場合、非弁業者等が立ち合うのではという不安がある」



「遠隔地でも依頼を受けられるのは良いものの、やはり直接会う機会がないことでの、サポート体制が不十分になる心配がある」



「IT化によりとても便利になったと感じる一方、相手方代理人と顔を合わせないままで進むと和解のハードルが少し上がるような気がする」



●期日調整「FAXのやり取りは資源の無駄」

このほか、裁判IT化で期待することとして、次のような意見が見られた。



「Teamsにアップした準備書面や証拠をファックスで連絡するのはやめてほしい」



「画像データやドライブレコーダー映像等のデータのままでの提出」



「期日調整をオンライン化して欲しい。FAXでのやり取りは資源の無駄である上、タイムラグも大きいように思う」



「裁判官だけでなく、書記官ともチャットでのやりとりを可能にしてほしい」



刑事事件を扱う弁護士からは、接見のオンライン化拡大についての期待も多く見られた。