2023年03月09日 13:11 弁護士ドットコム
事実無根の誹謗中傷をツイッターに投稿されたとして、セブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長が発信者情報の開示をもとめた裁判で、東京地裁は権利侵害を認め、発信者の情報開示を命じていたことが3月9日までにわかった。2月14日付の判決は確定している。
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永松氏が問題としたのは、2022年7月15日に投稿されたツイート。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長と、永松氏の顔写真を並べた画像を添付したうえで、「勝共連合・原利研・統一教会の田中と、セブン社長永松の人を騙して詐欺する奴の、カルトの目がいっちゃってる度そっくり!」と記載したものだ。
東京地裁の味元厚二郎裁判官は、このツイートが、永松氏の社会的評価を相当程度低下させると認め、永松氏の名誉権と名誉感情を侵害すると判断した。
判決文などによると、このツイートを投稿したアカウントは、「コンビニ関連ユニオン」を名乗るアカウントとされている。
昨年10月に始まった裁判で、永松氏側は投稿が「まったく事実に反する誹謗中傷」と主張した。
そして、仮に投稿者がセブンイレブンに関連するユニオン等に所属する者だったとしても、このツイートは「当社の事業運営や私の経営等に関する批判等とはかけ離れた悪質な誹謗中傷であり、このような記事をインターネット上で広く拡散するようなことは許されてよいことではない」と訴えていた。
ツイートは、投稿から1週間程度で削除されたようだ。しかし、アーカイブで画像を含む投稿内容を確認できた。
判決を受けて、今後の法的措置の考えについて問い合わせたところ、永松氏の代理人弁護士は「本件につきましては、コメントを差し控えさせて頂きます」と回答した。
コンビニ関連ユニオンにも問い合わせたところ、河野正史委員長は投稿が事実だと認め、アカウントの管理状況や、投稿・削除の理由について説明した。
問題とされたアカウント「コンビニ関連ユニオン(@danketsu_cvs)」は、ユニオンが管理するものだという。
「労働組合の執行委員長として私の携帯電話番号を用いてツイッターアカウントを開設しておりアカウントは共有しています。ツイートは組合員のうち誰かが行ったものでありますが、正当な組合活動として行ったものですので、誰がツイートしたのか特定しようとすることは、組合への支配下介入の不当労働行為に当たるので、認められないという立場です」
投稿の意図とあわせて、削除の理由も答えた。
「セブン-イレブン・ジャパンの体質と旧統一教会の体質(霊感商法に近い自爆営業や、加盟店洗脳、多額の上納金など)があまりにも似ているとのことからツイートされたようです。
旧統一教会の会長の画像を添付しましたので、旧統一教会・勝共原理研から組合に対する妨害活動が行われる可能性が否定出来ませんので即時削除いたしました」
さらに、「永松社長が、閲覧数も少ない該当ツイートに対して、名誉毀損などと組合を訴えてくるとは、大手企業の社長としてあまりにも器が小さいとしか思えません。また、組合のツイートを会社側が常に監視していること自体、不当労働行為であると考えています」ともコメントしている。(編集部・塚田賢慎)